アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
北岳へ防鹿柵の設置確認に行ってきました
2020年07月07日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月下旬に北岳に設置されている防鹿柵の現場確認に行ってきました。
北岳では草すべりや右俣にて、ニホンジカの採食圧の影響が見られ、早急に保全を図らなければ植生が衰退する恐れがあるとされています。その中でも草すべりや二俣登山道沿いの斜面に広がるお花畑は北岳の重要な景観を構成している場所です。お花畑の保護を図るため、平成23年度より防鹿柵を設置しています。¨この防鹿柵、見たことがある!¨という方も多いのではないでしょうか。
△草すべりにある防鹿柵
防鹿柵の中ではシナノキンバイやキバナノコマノツメなどが咲き、つぼみの株もありました。私はニホンジカの被害を受けている北岳のお花畑しか知らず、それでも¨お花がたくさんある¨という印象ですが、昔から登られている方の多くが「ここにはもっとお花があったんだよ」と教えてくださいます。柵を設置すればすぐにお花が戻るというわけではないですが、私も当時の素晴らしいお花畑を見てみたいです。
写真の通り、今回の行程では青空は一度も出ることはなく、雨が降りずっとガスで真っ白でした。足元や目先を見てみると、ミネザクラが咲いていたり、初夏を漂わせるタカネグンナイフウロが咲いていました。
△ミネザクラ
△タカネグンナイフウロ
他にもゴゼンタチバナやショウジョウバカマなど、この時期らしい高山植物が元気に咲いていました。
例年ですとこの時期はたくさんの登山者で賑わいますが、今年は山小屋休業や公共交通機関の運休によって登山者がいない静かな北岳でした。その一方で、樹皮剥ぎや登山道脇の斜面や雪渓にはニホンジカの足跡があったりと、ニホンジカの動きは活発なようです。南アルプスが誇る高山植物を守るため、防鹿柵の設置などの対策に今年も積極的に取り組みたいと思います。南アルプスへの入山ができるようになりましたら、皆さんにも南アルプスの高山植物を楽しんでいただきたいと思います。
なお、令和2年度は、北岳は閉山状態となることが決まりましたので、ご注意ください。先日、山梨県および南アルプス市、早川町から登山道の利用禁止やマイカー規制を行わず通行止めとすること等関する情報が発表されました。詳しくは下記URLをご覧ください。
山梨県HP:https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/50915161945.html
南アルプス市HP:https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/8468.html
早川町HP:https://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/tour/traffic-info/regulation.html