アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
南アルプスに咲く花(稜線編)
2019年04月16日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
関東平野部でも雪の予報があった先週10日、芦安では朝から雪が降り続きました。4月だというのに、冬らしさを感じました。
△辺り一面が真っ白になった芦安
この日は山の神ゲートから上の道路は積雪のため、通行止めになりました。現在は通行止めも解除され、芦安は雪の白さのかけらもないですが、夜叉神峠までの登山道および鳳凰三山へ向かう登山道には雪がありますので、アイゼン等の冬装備を持って行くようにしてくださいね。
さて、前回の「南アルプスに咲く花(亜高山帯編)」、前々回の「南アルプスの咲く花(低山帯編)」に引き続き、今回が最後です。稜線(2,700mから3,100m)で見ることができる高山植物をご紹介します。
【タカネビランジ】
南アルプス固有種の1つです。主に北岳、鳳凰三山、荒川岳などの広い範囲で咲いています。北岳や荒川岳で見られるタカネビランジは左の写真のような淡いピンクまたは白っぽい色のものが多いです。対して、鳳凰三山や北岳の一部では右の写真のような淡いピンクが多く咲きます。地域によって色の濃淡が違うので、南アルプス各地で探してみるのもいいですね。
【イブキジャコウソウ】
伊吹山で発見されたことからイブキジャコウソウという名がつきました。岩の周囲に密集しており、小さい花をたくさん付けます。冬は葉をつけた状態で雪の中で越冬します。花は濃いピンク色をしていますが、実になると鮮やかな赤色になります。また、植物全体からはハッカの香りがするそうです。
【キンロバイ】
キンロバイはバラ科の低木です。イメージとしてはノバラを黄色くしたもので、花そのものは2センチほどで小さく可愛らしい花です。漢字で表記すると「金露梅」と書きます。字の通り、梅の花に似ていますよね。キンロバイは黄色ですが、色違いで白い花もあり、ギンロバイやハクロバイと呼ばれています。盗掘により個体数を減らしており、現在では環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。
【シコタンソウ】
名前の由来は千島列島の色丹島で発見されたからですが、中部以北から北海道の高山帯に生育しています。大株を作り、稜線のあちこちで見かけます。白く似たような花がいくつかありますが、シコタンソウの特徴は間近で花をよく見てみると茶色と赤色の小さな斑点が付いていること、花弁は5枚になっていることです。
今回は稜線(2,700mから3,100m)で見られる花をお送りしました。このあたりは相応の体力が必要となってきます。3,000mの稜線を縦走しながら、高山植物の観察をじっくりするのもいいですね。
3回に渡りお届けした南アルプスに咲く高山植物はいかがでしたでしょうか?私自身、まだ見つけることができていない花がたくさんあります。種類が多すぎて、覚えきれていない花もあります。今年の夏はたくさん南アルプスの山々に行き、いろんな花を見つけて、何種類も覚えて、勉強していこうと思います。