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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

三伏峠・塩見岳の巡視に行ってきました。【塩見岳編】

2020年10月08日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

前回の三伏峠・塩見岳の巡視に行ってきました。【三伏峠編】に続き、今回は塩見岳編をお伝えします。

塩見岳の山頂は双耳峰(山頂が2つ)になっており、標高は今年1月に西峰の3,047mから東峰の3,052mに改定されました。あまり知られていませんが、山頂の北側は北岳にもある、¨バットレス¨(切り立っている急峻な岩壁)になっています。

三伏峠からは三伏山、本谷山を経由して山頂へ向かいます。道中、縞枯現象(シラビソ、オオシラビソ一部分が帯状に枯れ、白い縞模様ができること)に似ている景色の中を歩きます。

木々の間からは荒川岳や小河内岳を見ることができます。

森林限界を超えると塩見小屋(今年は休業中)があり、付近からは仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、小河内岳や烏帽子岳が一望できました!

△仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳方面      △小河内岳、烏帽子岳方面

写真では分かりづらいですが、所々で紅葉が始まっていました。

塩見小屋を過ぎ、「天狗岩」が見えてきたところで塩見岳最大の核心部であるガレ場を登ります。

危なくないように見えるこの場所は落石が多く、足場も悪いです。ヘルメットの着用を強くおすすめしたい地点です。このガレ場を超えると・・・

△南アルプス北部方面

△南アルプス南部方面

南アルプスの真ん中に位置する塩見岳からは北部と南部を一望できます。この日は天気がとても良かったため、南部の中盛丸山や兎岳などもよく見えました。

塩見岳東峰直下では環境省事業として、伏工を実施しています。以前の塩見岳東峰直下はシナノキンバイやハクサンイチゲが広がるお花畑でしたが、ニホンジカの採食圧・踏圧によりお花畑が消失するだけでなく、土壌が流失し、裸地化してしまいました。そのため、植生回復および表土浸食防止を目的とし、平成21年から伏工(植生マット)を行っています。今年度は新型コロナウイルスの影響により、伏工の実施業務が中止となっていまいましたが、過年度に設置した植生マットには植物が根を付けていました!


一見、暴風で植生マットが飛ばないように設置している石しかないように見えますが、よく見ると植物がしっかりあります。着実に戻ってきている様子を今年も確認することができて安心しました。

今回の巡視は比較的晴れている時間が多く、山頂からは富士山と蝙蝠岳がよく見えました。