アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
トキを観察する際に
2016年02月02日皆様、こんにちは。
先日降った雪は大分とけましたが、寒さは相変わらず厳しい佐渡です。
トキたちは繁殖期に入り、ペアで行動するようになりました。群れで行動していた時と比べ発見が難しくなっています。モニタリング時にもトキが雪の背景等に紛れてしまい、気付かず近くを通行して飛ばしてしまう事があります。
トキを観察する上で、「トキを飛ばさない」ことが実はとても重要なのです。
トキは現在でも日本では「野生絶滅」扱いとなっているため、観察する際の特別なルールが存在します。
(佐渡観光協会 http://www.visitsado.com/00sp/1211/02.pdf)
① トキに近付かない
② 車内から観察する
③ 大きな音や光を出さない
このルールがなぜ設定されているかと言いますと...
① トキに近付かない
人が近付くと、トキは警戒して餌を採ることをやめ飛び立ってしまいます。人が頻繁に近付くなどして、トキが落ち着いて餌を採ることができない場合、餌場を放棄してしまうこともあります。トキを観察する時は双眼鏡やフィールドスコープ(望遠鏡)を使い、遠くから静かに観察しましょう。また、観察する時も配慮が必要です。トキが木にとまっている時、付近の田んぼなどが餌場になっている可能性もあります。そのような場所に長い時間人がいると、トキが餌場におりられなくなってしまいます。
<モニタリングチームによるトキ観察時の様子>
② 車内から観察する
トキは人の姿を見ると警戒して飛び立ってしまうため、車から降りずに観察しましょう。車を停める場合は、以下の点に注意しましょう。
・他の通行の妨げにならにようにする。(目立つ場所に車を停めない)
・私有地に無断で入らない。
・ぬかるんだ場所に入って道を痛めない。
<車内でトキの群れが横断するのを待つ地域の方。トキは警戒することなく、のんびり餌を採りながら水田へ移動しています。>
③ 大きな音や光を出さない
大きな音やカメラのフラッシュなどは、トキを驚かせてしまいます。エンジン音や話し声に配慮し、写真を撮影する時は、フラッシュをたかないようにしましょう。またカメラ機能付き携帯電話やコンパクトデジタルカメラなどでは、トキが大きく写るような写真を撮ることはできません。
トキを観察したい方にはこれらのルールは少し窮屈に感じるかもしれません。しかし、こうしたルールを地域の方々が守ってきたことで、現在の佐渡のトキたちは人間の生活圏まで生息域を広げたのではないかと思います。
もうこうしたルールが必要のないほどトキが増えることを願い、今はこのルールを私自身も守ってモニタリング業務に励んでいきたいです。
※農林業に従事されている方へ
農林業に従事されている方は、田んぼ等での作業中にトキが近くにいても特別な配慮は必要ありません。普段通りの作業を行うことで、人とトキの共生を目指しましょう。