アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
マニアックな新規放鳥トキの識別方法
2017年11月02日皆様、こんにちは。
環境省 佐渡自然保護官事務所がある、
新潟県佐渡市では、紅葉が見ごろを迎えています。
9月22日に放鳥されたトキたちは、佐渡の自然に馴染み、元気に過ごしているようです。
今回は、「放鳥されたばかりのトキ(以下、新規放鳥トキ)」か、「野生下での生活が長いトキ(以下、野生下トキ)」かを見分ける方法についてお話しします。
この見分け方は、トキの観察を日々行っているモニタリングチームのメンバーが使っている方法で、正式なものではありません。また、すべてのトキに当てはまるわけではありません。
こんなことを知っているのは、相当なトキマニア。トキマニアの第一歩を踏み出したいとお思いの方は、是非読み進んでいただきたいと思います。
さて、新規放鳥トキか、野生下トキか。
識別のポイントは「目」です。
この2枚の写真のトキの「目」にご注目ください。
何かお気づきになられたことは、ありますか?
トキの目(成鳥)は、虹彩がオレンジ色、瞳が黒色をしています。
しかし、放鳥されたばかりのトキは、虹彩にほとんど色がありません。
先ほどの写真をもう一度見てみると、左のトキの虹彩には、ほとんど色がなく、ほぼ透明です。
右のトキはオレンジ色の虹彩をしています。
新規放鳥トキ 野生下トキ
よって、左が「新規放鳥トキ」、右が「野生下トキ」です。
では、次の2枚の写真をご覧ください。どちらが「新規放鳥トキ」でしょうか。
虹彩にほとんど色がないトキ。
正解は、右のトキです。
すべての新規放鳥トキの虹彩に色がないわけではありませんが、多くがこのような傾向にあるようです。
放鳥されるまで飼育下にあったトキと、佐渡の自然の中で生きているトキとでは、目の色に差が出るようです。理由ははっきりしていませんが、エサがある程度影響しているのではないかと考えられています。
飼育されているトキたちは、馬肉が主な成分である飼料や、ドジョウを食べています。野生下のトキたちは、ドジョウやミミズ、ザリガニやバッタなど様々なものを食べています。
放鳥されたトキたちは、野生下のトキと同様のエサに切り替わります。新規放鳥トキたちも、野生下で暮らす時間が長くなるにつれて、虹彩の色が濃くなっていき、いずれ目の色をもとに識別することができなくなります。
9月に放鳥されたトキの多くが、現在でも薄い色の虹彩をしています。
環境省 佐渡自然保護官事務所が毎週更新している ☞「放鳥トキ情報」HP には、最新のトキの写真が掲載されています。HPをご覧いただくときに、目の色にも注目していただくと、新規放鳥トキの識別ができるかもしれません。
新規放鳥トキ 野生下トキ