関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

羽の色と顔の色

2022年11月07日
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。

ひんやりとした空気に触れながら、紅葉で色づき始めた佐渡の山々を眺めていると、秋の深まりを感じます。
テラスから見られる紅葉の写真
▲トキのテラスから見える景色
秋を彩るのは、紅葉だけではありません。トキも1年の中で最も朱鷺(とき)色が鮮やかな時期になります。
トキは年に1度、野生下では繁殖期終了後の8月頃からに徐々に羽が生え換わります。朱鷺色のもとであるカロテノイドという色素は紫外線で分解されていってしまうので、羽が生え換わった直後、つまり秋が一番朱鷺色の美しい時期なのです。
太陽の光を受けた朱鷺色の翼は一層美しく、秋晴れの空によく映えます。
飛翔するトキ3羽の写真
▲秋晴れの空をバックに飛翔するトキ
さて、この写真を見て何か気がつくことはありませんか?
なんだか後ろの方を飛んでいるトキの方が・・・色が・・・。

どうでしょう?
前を飛んでいるトキ2羽と比べると、後ろを飛んでいるトキの方は朱鷺色が薄いと思いませんか?
実は、後ろを飛んでいるトキは今年生まれの幼鳥です。

幼鳥は、成鳥と比べて朱鷺色が薄く、場合によっては「幼羽(ようう)」という、先端が黒っぽい羽が残っていることがあります。
幼羽の残るトキの幼鳥の写真
▲幼羽が残っているトキ
この違いを知っていると、遠目からでも幼鳥かどうか判断することができます。

さらに別の方法でも幼鳥を見分けることができます。ポイントは・・・顔の色!
トキの成鳥と幼鳥の写真
▲顔の色の違い
顔の色を比較してみると、成鳥は赤いですが、幼鳥はオレンジ色です。
幼鳥の顔の色は徐々に赤色に変化していきますが、今はまだ区別がつきやすい時期です。
トキの群れを見かけたら、羽の色や顔の色に注目して、幼鳥探しにトライしてみてください。ただし、トキを観察するときは車の中からそっと観察するなど、「トキのみかた」を守ってくださいね。
虹をバックに刈田で採餌するトキの写真
おまけ:虹をバックに刈田でお食事中のトキ