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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

トキを守る・広める ~長岡市トキ分散飼育センターの紹介~

2021年12月20日
佐渡

皆さん、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の右田です。

佐渡では雪が降る季節となりました。寒さが厳しくなるこの季節は、新型コロナウイルス感染症だけでなく、風邪やインフルエンザなども注意しなければなりませんね。

【雪が積もり始めた金北山と飛翔するトキ6羽】

そしてこの時期は渡り鳥の飛来が増えるため、トキ保護増殖事業にかかわっている私達にとって、「高病原性鳥インフルエンザ」にも注意が必要です。

2021年12月16日現在、既に国内各地で家きん飼養農場で9事例、野鳥で8事例の発生が認められています。県内での発生はまだ確認されていませんが、トキを飼育しているエリアに私たちがウイルスを持ち込まないよう、予防対策を実施しています。例えば、飼育エリアに入る際の職員や来訪者の靴底の消毒、車両の原則進入禁止(進入する際は車体へ消毒液を噴霧)などを行っています。

 

【ゲートや管理棟入り口に設置している靴底の消毒槽】    【車両用消毒液噴霧器】

また、高病原性鳥インフルエンザ等の感染症や環境変動によるリスク対策として、地理的に距離を離してリスクを分散する分散飼育の取り組みも行われています。

佐渡トキ保護センターと野生復帰ステーションの他に、実は国内各地5施設(多摩動物公園、いしかわ動物園、出雲市トキ分散飼育センター、長岡市トキ分散飼育センター、佐渡市トキふれあいプラザ)でトキが飼育されているのです。皆さんご存じでしたか。

【トキの分散飼育施設】

 

先日、本州での仕事の際に、公開施設のある長岡市トキ分散飼育センターを見学させて頂きましたので、ご紹介します。

まずは、トキを間近で観察できる観覧棟「トキみ~て」です。

   

【観覧棟「トキみ~て」】      【トキと虫眼鏡をモチーフにしたキャラクターがお出迎え】 

 

【左から、ひかり、のずみ、ほたる】       【しなの、けやき】

生まれ年と性別: 2010♂、2005♂、2010♂        2004♂、2008♂

大きな窓で、とても見やすいです!近いです!

餌を食べる様子や池で餌を探す様子などをじっくり見ることができます。

なお、トキにストレスを与えないよう、施設館内は暗くしてあり、また窓には特殊なガラスを用いているため、トキ側からは人の動きが見えにくい工夫がされています。

ここには観覧棟の飼育ケージとは別に、非公開の繁殖ケージもあり、現在2つがい(4羽)のトキがいます。春に新しい命が生まれるのが楽しみですね。

そして、観覧棟「トキみ~て」の横にある展示施設「トキと自然の学習館」です。

【トキと自然の学習館】          【とてもきれいなトキの羽の展示】

標本や資料などいろいろな展示物で、トキや自然環境のこと、長岡市の取り組み等についてわかりやすく学ぶことができます。

最後に、こちらをご覧ください。

観覧棟「トキみ~て」のすぐ横にある林です。

2008年から佐渡でトキの放鳥を開始していますが、そのほとんどが佐渡島内にとどまる中、佐渡から本州に渡った個体は27例確認されています。そして、その中の1羽が飛来したのが、この林です。

しばらくの間、ここから仲間を求めてしきりに鳴いていたそうです。

いつの日か本州へ渡るトキが増え、定着してくれるといいですね。

分散飼育は感染症等のリスク分散のために行われていますが、こうした施設を通してトキの保護増殖事業のことや環境保全についての普及啓発が進み、各地でトキが暮らしていけるように、生息環境整備や社会環境整備が積極的に実施されると良いなと改めて感じました。

トキも立ち寄る「トキみ~て」、ぜひ皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか。