アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
トキ放鳥(ほうちょう)までの道のり
2018年06月28日突然ですが、みなさんは放鳥と聞くとどんなイメージを持ちますか?
佐渡では、6月8日(金)に第18回のトキ放鳥を行いました。
▲ケージから飛翔し放鳥された19羽のトキ
放鳥とは、簡単にいうと飼育下で増やした個体を野外に放すことです。
トキたちは厳しい自然界で生き抜いていくために、放鳥をむかえるまでに3ヶ月かけて様々な準備をしています。6月21日(木)には第19回放鳥のための訓練が開始しました。
【放鳥までの道のり】
道のり 其の一 健康診断
▲足環の装着
野外でも個体の識別ができるように足環を付けます。左足には写真のような個体
番号の入ったナンバーリングを装着します。写真の個体はNo.324で放鳥後も新穂地区で確認されています。他にも飛翔したときに識別しやすいようにアニマルマーカーを塗布したり、体重測定なども行います。
道のり 其の二 訓練開始!
▲順化ケージに放されるトキ
道のり 其の三 順化ケージ内での生活
▲順化ケージの中の様子。山の傾斜を利用して水田もつくられています。
順化ケージの広さは4,000㎡あり、サッカーコートより2まわり小さいくらいで、高さが15mある放鳥個体の訓練専用のケージです。ここで3ヶ月生活をして、野外で生活するために必要な飛ぶ力・エサを捕る力・社会性を身につけていきます。訓練を無事に終えると、いよいよ放鳥です。
道のり 其の四 放鳥
上の写真はどちらもトキの放鳥の写真です。
左は第1回放鳥の様子で1羽ずつ箱に入れ、一斉に蓋をあけるハードリリース方式です。右は第2回放鳥以降の方法で順化ケージの扉を開放して自然に飛び立つのを待つソフトリリースの様子です。
佐渡では2008年からトキの野生復帰の取り組みとして再び佐渡の空にトキを戻す放鳥を行っており今回までの18回で、のべ308羽のトキを放鳥しています。
放鳥日は朝6時にケージの扉が開放され、私たちはケージから野外に飛翔したトキがどこへ行くのか、落下などの事故が起きないかを少し離れた場所から観察します。いつトキが飛翔するのかはトキ次第。この方法を始めてからの記録では最長で6日間、最短で半日で放鳥されています(15時には扉を閉じ、翌日の6時に再び扉を開放します)。
▲放鳥モニタリングの様子。モニタリングボランティアさんたちと行います。
▲離れた場所から、どこへ飛んでいくかを追いかけます
今回は全19羽が無事に1日で全羽放鳥されました。放鳥が終わって、2週間経ち半分以上の個体が既存個体に合流してねぐらをとったり、とまり木にいる様子が確認されています。短い日数で放鳥された方が、その後の生存率がよくなる傾向が確認されているため今後の動きにも期待し、モニタリングを続けていきたいと思います。