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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

トキのえさって?

2018年08月03日
佐渡 原奈緒子

みなさん、こんにちは。佐渡の原です。

佐渡の野生下では今期60羽の幼鳥が新たに巣立ちました。

今では、親から離れて幼鳥だけで行動したり、30㎞近く離れた場所に飛来している様子が確認されています。

▲田んぼでエサを探す今年生まれのNo.B52およびB53

トキは動物食で野生下ではドジョウ、カエル、バッタ、サワガニ、ミミズなどの田んぼにいる生きものを好んで食べることが観察されています。

▲佐渡にしかいないサドガエルを食べるトキ

▲ドジョウを食べるトキ

トキが1日に必要なエネルギー(232kcal)をドジョウに換算すると、50匹程度になります。

1羽のトキが150匹のドジョウを食べているとすると、現在佐渡には約350羽のトキが生息しているので、なんと1日で、50(匹)×35017,500匹!!!のドジョウが必要との計算になります。

※野生下のトキは、上述のとおりドジョウだけでなくさまざまな動物を食べており、ここで紹介させて頂いた例はあくまでも全てドジョウに換算した場合の数です。

佐渡の田んぼは私たちにおいしいお米を供給してくれるだけでなく、たくさんの生きものの生活を支えている場所なのです。

では飼育下のトキはどのようなものを食べているのでしょうか。

野生下のトキのように生きたドジョウもあげます。

しかし、それだけでは栄養に偏りがでるため、トキのために考えられた馬肉飼料をあげています。佐渡トキ保護センターの馬肉飼料作りをご紹介させていただきます。

▲馬の肉を使ったトキ専用の特別なエサ(馬肉飼料)

栄養バランスのとれた馬肉飼料は月に12回飼育員さんたちが手作りします。原材料は馬肉、にんじん、たまご、魚粉やトウモロコシなどを合わせたトキ専用の粉末飼料です。にんじんはヘタをとり、ゆでてつぶします。たまごは鳥インフルエンザの懸念から生卵ではなくゆで卵にしたものを購入し、殻ごとつぶします。

▲馬肉を入れる前の材料

材料を混ぜたものをミンチ機にかけて、粗挽きのひき肉になったら完成です。

▲馬肉を混ぜてミンチにする様子

飼育下では1日にドジョウ50(40kcal)、ペレット30g(122kcal)とこの馬肉飼料50(90kcal)を与えています(ペレットとは魚粉を主にした乾燥飼料です)。

今の時期は育ち盛りの幼鳥がいるため給餌量は少し多くなっています。

エサを盛り付ける時も、馬肉飼料のこのひき肉状の形がくずれると食いつきが悪くなるため、つぶさないように扱います。

このまま焼いたらおいしいかも、、、と思わず考えてしまいました。

この馬肉飼料のレシピはもともとスイスの動物園でトキの近縁種を対象に考案されたものを参考に、トキの獣医さんがトキの栄養面を考慮し、試行錯誤して考え出したものなのです。

「飼育はエサが命。どんなに良いケージにいてもエサが良くなければ健康なトキは育たない」とエサの重要さについて佐渡トキ保護センターの山本飼育員に教えて頂きました。