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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

日本産トキ最後の生息地での放鳥

2019年10月10日
佐渡

 皆様、こんにちは。佐渡自然保護官事務所の近藤です。

 2019年9月27日、佐渡市片野尾(かたのお)の棚田でトキの放鳥を行いました。地域の方々が放鳥箱を開けてトキを放す、初めての試みです。

 片野尾は、佐渡海峡に面する前浜地区に位置し、前浜地区は日本産トキ最後の生息地として知られています。日本産トキが生息していた時からずっと、前浜地区ではトキの保護活動が行われています。

<佐渡市片野尾の棚田>

 私たちが勤務する佐渡自然保護官事務所は、トキの順化訓練を行う施設「佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション」の管理棟内にあります。放鳥当日、ここで放鳥のための順化訓練を受けた17羽のトキのうち10羽を、1羽ずつ箱に入れ、今回の放鳥場所とした片野尾へ運びました。

<最後の健康チェックを行い、1羽ずつ箱に入れていきます>

 片野尾へ運ばれたトキが入った箱は、海が見える棚田の一角に並べられました。トキ保護に尽力した片野尾の住民の方々が各箱の脇に立ち、放鳥箱のテープカットを行いました。箱の蓋が開き、地域住民の方々や関係者が見守る中、10羽のトキが片野尾の空へ飛び立ちました。

<放鳥の様子>

<飛翔するNo.382>

 放鳥を見守っていた地域の方々からは 「わあ!綺麗だなあ!」、「みごとだ!」、「歴史的瞬間だ!」などの歓声があがりました。

<放鳥されたトキを見上げる地域の方々>

 片野尾での放鳥には、日本産最後のトキを見ていた方々もいらっしゃいました。

 1981年、前浜地区に生き残った日本産最後の野生トキ5羽が人工繁殖のために捕獲されてから38年。

 「ああ、懐かしい...」とトキを見上げる姿を見ていて、佐渡の人々のトキへの思いが、今のトキたちを支えているように感じました。

 現在、片野尾で放鳥されたトキを含め、434羽のトキが日本の空を舞っています。

 この先もトキが舞う佐渡でありますように。心から願います。