アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
ようこそ日本へ!
2017年11月29日皆様、こんにちは。
新潟県佐渡市では、佐渡最高峰の金北山で冠雪が確認されました。
日本海が荒れる日も増え、冬の到来を感じます。
<11/11撮影 佐渡市真野の海岸を埋める"波の花">
この日本海に浮かぶ佐渡島は、冬、遠く離れた外国から、海を渡ってやって来た渡り鳥たちの貴重な中継地・越冬地となっています。
「佐渡と言えばトキ」と、ついトキだけに目が行ってしまいますが、トキがいるということは、言い換えれば、トキが生息できるほど佐渡の自然が豊かだということ。佐渡の自然は、トキだけでなく、多くの渡り鳥たちの命をも支えています。飛び続けて疲れた羽を休め、豊富なエサで体力の回復を図ることができる、渡り鳥たちのオアシスと言えるでしょう。
現在、たくさんの冬の渡り鳥が飛来している佐渡ですが、先日、珍しい鳥が確認されました。確認された鳥は、コハクチョウというハクチョウの仲間。それだけであれば、佐渡では特段珍しいわけではありませんが、このコハクチョウ、何と「足環」と「ネックバンド」が装着されていました!
<個体識別のための足環とGPSシステムが付いたネックバンドを装着したコハクチョウ>
写真を確認すると、左脚には、「A45」と記載された赤い足環が、右脚には、「Moscow(モスクワ)」の文字と番号が記載されたメタルリングが装着されていました。
鳥に標識(足環)をつけて放鳥し、再捕獲することで、渡りルートや寿命などを調べる、「鳥類標識調査」は、世界各地で行われており、このコハクチョウは、ロシアで足環をつけられたようでした。
日本の鳥の研究機関である、山科鳥類研究所に確認したところ、2017年8月20日にロシアのチャウン湾で標識された成鳥であることが判明しました。このコハクチョウは約4,000kmもの距離を飛んで、佐渡にやって来たことになります。
ようこそ、日本へ!
この身ひとつで大陸を渡り、大海原を越えて、遠くロシアからやって来たことが証明されたコハクチョウ。渡り鳥たちが大陸から渡ってきていることは知識として分かってはいましたが、実際にそれが証明されると、「よくぞここまで生きてやって来た!」と、愛おしく感じられました。
こうした感動を私たちに与え、トキを含む多種多様な生き物の命を支える佐渡の自然が、失われることなく続くことを願ってやみません。