アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
野生下で誕生したトキ同士の抱卵確認
2015年04月14日
佐渡
皆様、こんにちは。
現在、佐渡ではトキの本格的な繁殖期を迎えています。この時期のモニタリング業務では、ペアの営巣場所を特定し、営巣・抱卵行動の確認などを行いますが、この「営巣場所の特定」が非常に困難で、時間のかかる作業です。日々のモニタリングの積み重ねにより個体の出入りするおおよその場所は見当がつきますが、繁殖行動に影響を与えないよう遠目からの観察になるため、その中で正確に巣の位置を把握し、営巣状況をよく観察できるポイントを見つけ出すのは至難の業です。
巣の多くは林の中に造られるため、トキが林に入ってしまうと全く姿が見えないことが多く、下の写真のように体の一部分が見える場所を見つけるだけでも大変な時間がかかります。
<枝にとまるトキ。写真中央奥の枝に尾羽と脚が見えます。>
<写真中央右:下を向いて木にとまるトキ>
このような困難を乗り越え、モニタリングチームは4月10日、野生下で誕生したトキ同士の2組のペアの抱卵を確認しました。
<抱卵する野生下で誕生したNo.A03>
しかし、残念ながら4月12日(日)にこのうちの1組のペアが抱卵を中止し、現在、野生下で誕生したトキ同士のペアによる抱卵は1組となっております。
今回のこのペアが、ヒナを孵化させれば、野生下生まれの個体同士による孵化の実現は、1976年以来、実に39年ぶりのこととなります。どうか無事に孵化を迎えることができますように。引き続き、ペアの動きに注意して観察を続けていきたいと思います。