アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
トキの繁殖期が終わりました
2020年07月29日
佐渡
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
<佐渡自然保護官事務所敷地内のナラの木にやってきた昆虫たち>
今年の夏は雨が続きますね。
連日、報道で豪雨による被災地の状況を見ますが、心が痛みます。
亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、ご遺族と被災された方々へ心からお見舞い申し上げます。支援が行き届き、必要が満たされ、1日も早い復旧・復興を心より願っております。
新潟県佐渡市では、7月3日にモニタリング対象となっていた野生下のトキのペアの繁殖が終了しました。
今期、誕生を確認したヒナの数は83羽。
うち、巣立ちが確認できたのは67羽でした。
誕生したヒナが全て巣立てるわけではありません。
今回の繁殖期間中、私が観察を続けていた巣のうちの1つで、ヒナが動かなくなっているのを確認しました。親鳥がしきりにヒナを羽繕いしますが、全く動きがありません。
3羽いたヒナのうち2羽が巣内で死亡していました。
残る1羽は、見つかりませんでした。
間もなく巣立ちを迎えるはずだったヒナ3羽。
天敵に襲われたようです。
誕生から見守ってきた私には、とても悲しい現実でした。
トキの放鳥が始まって12年。
佐渡では日常的にトキが見られるようになりました。
青空を光を浴びて飛ぶトキ。
彼らの美しさの背景に、厳しい環境を生き抜いてきた強さが見えます。
もしトキを見つけたら、彼らのたどってきた道のりにも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
大空を飛ぶNo.135。野生下では最高齢の14歳オス。
今年初めて繁殖に成功し、ヒナ1羽を巣立たせました。
私たちが目にする鳥たち1羽1羽にも、多くの試練を乗り越えて今があるのかもしれません。