アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
とき色
2020年04月14日
佐渡
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、佐渡自然保護官事務所でも交替での在宅勤務、いわゆるテレワークが始まりました。野生下トキのモニタリング業務は、職員同士の接触を減らした形で継続して行っています。
佐渡では桜が満開となり、見頃を迎えています。色が乏しい冬が終わり、春らしい桜色のアクセントが加わって、佐渡は華やかな雰囲気になりました。
この華やかさ...まるでトキが羽ばたいた時のよう!
と、ふと思い、今回は佐渡に咲く「とき色」をお届けしようと思います。
トキの羽の色は「とき色」と呼ばれ、日本では昔から着物の染め色として親しまれてきました。それほどまでに日本人にとってトキは身近な鳥だったようです。
「とき色」は、トキのエサとなるザリガニやサワガニなどの甲殻類に含まれる色素を羽に蓄えることで発現すると考えられています。
トキの羽は、年に1度、6月から9月に生え換わります。換羽後の9月から11月は、1年で最も鮮やかな「とき色」を見ることができます。「とき色」は紫外線で分解されるため、徐々に色あせていきます。
次の写真は、トキの幼鳥です。
トキの幼鳥の羽は灰色がかった白色です。「とき色」とは言いがたい色です。トキですが。
美しい「とき色」の羽になるまでには1年以上かかります。
1年で一番美しい「とき色」が見られる秋。
佐渡の野生下では、今年新たに誕生する幼鳥たちが飛び回っていることでしょう。
その頃には皆様が安心して佐渡に来島できますように。
1日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を願います。
<1本ずつ枝を運び、巣作りにはげむトキ。2020年3月25日撮影>