アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
トキ放鳥の挑戦 ~その① 2024年を振り返る~
2025年01月09日
佐渡
みなさん、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の右田です。
新年が始まりましたね。2025年をスタートする前に、あっという間に過ぎてしまった2024年を振り返りたいと思います。
2024年も佐渡自然保護官事務所では、トキの野生復帰に向けた様々な取り組みを行いました。特にトキ放鳥では、新しい試みがたくさんありましたので、その様子をお伝え致します。
2024年も春と秋の2回、トキの放鳥を行いました。春のトキ放鳥は30回目、秋の放鳥は31回目です。
佐渡自然保護官事務所の右田です。
新年が始まりましたね。2025年をスタートする前に、あっという間に過ぎてしまった2024年を振り返りたいと思います。
2024年も佐渡自然保護官事務所では、トキの野生復帰に向けた様々な取り組みを行いました。特にトキ放鳥では、新しい試みがたくさんありましたので、その様子をお伝え致します。
2024年も春と秋の2回、トキの放鳥を行いました。春のトキ放鳥は30回目、秋の放鳥は31回目です。
「大佐渡地域」での初放鳥
第30回、31回トキ放鳥は、2008年にトキ放鳥を開始してから初めて「大佐渡地域」で実施しました。
まず、佐渡の地域を簡単にご紹介すると、
北側の金北山などの高い山が連なる地域が「大佐渡地域」、南側のなだらかな丘陵地帯が「小佐渡地域」、そして、間の平野部分が「国仲平野」と呼ばれています。
これまでは、トキを飼育する施設がある国仲平野と野生絶滅前のトキが最後まで生息していた小佐渡地域の東部(地図の水色の丸印部分)でトキを放鳥してきました。このようなこともあり、トキは佐渡の中でも国仲平野と小佐渡地域に集中して生息しています。
小佐渡地域や国仲平野に比べると、大佐渡地域はトキの生息数が少ないですが、外海府と呼ばれる海岸沿いには段丘を利用した棚田が広がっていることに加え、地域の方が以前からビオトープを整備したり、ねぐらとなる林があったりと、トキの生息環境が十分に備わっている場所です。そんな大佐渡地域にもトキが定着し分布が広がることを期待して2024年は大佐渡地域でトキの放鳥を行いました。
北側の金北山などの高い山が連なる地域が「大佐渡地域」、南側のなだらかな丘陵地帯が「小佐渡地域」、そして、間の平野部分が「国仲平野」と呼ばれています。
これまでは、トキを飼育する施設がある国仲平野と野生絶滅前のトキが最後まで生息していた小佐渡地域の東部(地図の水色の丸印部分)でトキを放鳥してきました。このようなこともあり、トキは佐渡の中でも国仲平野と小佐渡地域に集中して生息しています。
小佐渡地域や国仲平野に比べると、大佐渡地域はトキの生息数が少ないですが、外海府と呼ばれる海岸沿いには段丘を利用した棚田が広がっていることに加え、地域の方が以前からビオトープを整備したり、ねぐらとなる林があったりと、トキの生息環境が十分に備わっている場所です。そんな大佐渡地域にもトキが定着し分布が広がることを期待して2024年は大佐渡地域でトキの放鳥を行いました。
第30回トキ放鳥
第30回トキ放鳥は、6月4日に「ハードリリース方式*1」によって実施しました。
初めての場所での放鳥とあって、事前に現地確認など、地域の方をはじめとした関係者との調整を入念に行いました。さらに、2024年は日本で初めて人工繁殖に成功したトキのペア「友友」と「洋洋」が、中国より贈られてから25年目の節目ということもあり、第30回トキ放鳥は、「「友友」「洋洋」贈呈25周年記念」と題し、観覧者も募って、盛大に行いました。約120名の観覧者が見守る中、過去最多の17羽のトキを無事に放鳥しました。
初めての場所での放鳥とあって、事前に現地確認など、地域の方をはじめとした関係者との調整を入念に行いました。さらに、2024年は日本で初めて人工繁殖に成功したトキのペア「友友」と「洋洋」が、中国より贈られてから25年目の節目ということもあり、第30回トキ放鳥は、「「友友」「洋洋」贈呈25周年記念」と題し、観覧者も募って、盛大に行いました。約120名の観覧者が見守る中、過去最多の17羽のトキを無事に放鳥しました。
放鳥箱は、子どもたちをはじめとした地域の方々に開けていただきました。
また、これまでトキ野生復帰事業に取組んでこられた関係者の方々にも放鳥を行っていただきました。
また、これまでトキ野生復帰事業に取組んでこられた関係者の方々にも放鳥を行っていただきました。
第31回トキ放鳥
第31回トキ放鳥では、①「ハードリリース方式*1」、②「ソフトリリース方式*2」に加え、③「仮設ケージからのソフトリリース方式*3」の3種類の方法でトキ放鳥を実施しました。6月5日から14羽のトキの順化訓練※4を行い、そのうち6羽をハードリリース方式、7羽を仮設ケージからのソフトリリース方式、1羽をソフトリリース方式で放鳥しました。
①ハードリリース方式による6羽の放鳥
9月23日のハードリリース方式でのトキ放鳥の様子です。
22日を予定していましたが、この日は台風から変わった低気圧の影響で大荒れの天気となり、23日に延期しました。23日は天候に恵まれ、約50名の地域の方々が見守る中、放鳥を行うことができました。
22日を予定していましたが、この日は台風から変わった低気圧の影響で大荒れの天気となり、23日に延期しました。23日は天候に恵まれ、約50名の地域の方々が見守る中、放鳥を行うことができました。
②ソフトリリース方式による1羽の放鳥
9月30日には、ソフトリリース方式による放鳥を行いました。
悠々と2時間半かけて、順化ケージ内の池のドジョウを堪能してから、放鳥口から勢いよく飛び立っていきました。
悠々と2時間半かけて、順化ケージ内の池のドジョウを堪能してから、放鳥口から勢いよく飛び立っていきました。
③仮設ケージからのソフトリリース方式による7羽の放鳥
9月23日は、ハードリリース方式での放鳥後に、仮設ケージからのソフトリリース方式による放鳥も行いました。
15年ぶりに行われた仮設ケージからの放鳥は、内容が盛りだくさんとなりましたので、その様子については、次のAR日記で詳しくお伝えしたいと思います!
15年ぶりに行われた仮設ケージからの放鳥は、内容が盛りだくさんとなりましたので、その様子については、次のAR日記で詳しくお伝えしたいと思います!
~おまけ~
放鳥の際は必ず、トキの行方を確認するため、見通しの良い場所(田んぼや高台)でモニタリングを行っています。モニタリングの準備中に、サドカケスに遭遇しました。普段目つきの悪い印象のサドカケスですが、この日は珍しく笑顔!一緒に放鳥の成功を祈ってくれているようでした。
放鳥の際は必ず、トキの行方を確認するため、見通しの良い場所(田んぼや高台)でモニタリングを行っています。モニタリングの準備中に、サドカケスに遭遇しました。普段目つきの悪い印象のサドカケスですが、この日は珍しく笑顔!一緒に放鳥の成功を祈ってくれているようでした。
※1 ハードリリース方式:順化訓練後のトキを放鳥箱に入れて放鳥場所に移動し、直ちに放鳥する方式で、既存の群れサイズの拡大とトキの分布拡大を促すことを目的としています。
※2 ソフトリリース方式:放鳥場所で順化訓練したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。
※3 仮設ケージからのソフトリリース方式:順化訓練後のトキを放鳥場所に設置した仮設ケージで約2週間順化訓練してから放鳥する方式で、トキが放鳥場所に慣れ放鳥後に放鳥場所に留まることを目的としています。
※4 順化訓練:放鳥後に野生下で自立して生活できるよう、飛翔、採餌、群れ行動、人との共生等の力を身につけることを目的に、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションに設置してある里地里山の自然環境を模した順化ケージ(W50m✕D80m✕H15m)で3ヵ月間飼育します。
※2 ソフトリリース方式:放鳥場所で順化訓練したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。
※3 仮設ケージからのソフトリリース方式:順化訓練後のトキを放鳥場所に設置した仮設ケージで約2週間順化訓練してから放鳥する方式で、トキが放鳥場所に慣れ放鳥後に放鳥場所に留まることを目的としています。
※4 順化訓練:放鳥後に野生下で自立して生活できるよう、飛翔、採餌、群れ行動、人との共生等の力を身につけることを目的に、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションに設置してある里地里山の自然環境を模した順化ケージ(W50m✕D80m✕H15m)で3ヵ月間飼育します。