檜枝岐
尾瀬沼に新ビジターセンターがオープンしました
2021年08月04日みなさん、こんにちは。
檜枝岐自然保護官事務所の前川です。
尾瀬には尾瀬沼と山の鼻の2箇所にビジターセンターがあります。そのうち福島県側のビジターセンターである尾瀬沼ビジターセンターが新築され、7月にオープンしました。
尾瀬沼ビジターセンターは当初昭和39年に設置され、昭和60年には建替え工事を行い、翌年の昭和61年にリニューアルオープンしました。旧ビジターセンターは尾瀬の自然情報のみならず、公園の利用やマナーといった幅広い情報を提供する利用拠点として親しまれてきましたが、30年以上が経過し、老朽化が進んできたため、今回の新ビジターセンターの開設となりました。
新ビジターセンターは旧ビジターセンターに隣り合って建設され、写真のように晴れた日には旧ビジターセンター越しに燧ヶ岳を望むことができるという恵まれた立地です。建物は旧ビジターセンターと同様に周りの景色になじむようなこげ茶色です。
新ビジター周辺から見た燧ヶ岳 正面から見た新ビジターセンター
(画像はクリックすると拡大します)
では、まずテラスを通って、靴の泥をよく落としてから館内に入ります。入口正面の右側には尾瀬の天気予報やコースタイムなどの情報が表示されています。左側はリュックなどの荷物を収容するための大型の棚があり、山から下山した人でも利用することができます。建物に入るとすぐ右側には受付があり、尾瀬やこのビジターセンターに関して質問すれば、知識の豊富なスタッフが何でも親切に答えてくれます。左側を振り向くと、尾瀬周辺の山などに関する情報が掲示されていますので、これからどこか尾瀬周辺に向かう人にはとても役立ちます。
入口正面の様子 続々と来訪者が訪れます
受付と常設展示コーナー 入口近くで尾瀬の情報を集める来訪者
入口からまっすぐに進むと常設展示コーナーがあります。ここは新ビジターセンターのメインの展示場所となります。まず最初に目にするのが正面に置かれている尾瀬のジオラマです。大変丁寧に作り込まれていますので、これを見れば自分がどこにいて、これから向かおうとする場所の位置関係や距離感を立体的につかむことができます。尾瀬という湿地の特殊な地形もよく分かると思います。
常設展示コーナーをジオラマから壁面に沿って時計回りに見ていくと、まず尾瀬国立公園や尾瀬の自然環境についての概要説明があり、尾瀬の成り立ちについては液晶スクリーンで視覚的に知ることができます。続いて、尾瀬の生きものたち(昆虫、両生類、魚類、野鳥、花)、尾瀬と人の歴史のパネルが展示されています。中央部の展示台の上にはさらにはキツネの剥製など尾瀬に生息する動物たちと、シカの皮や角が展示されています。また、このコーナーの最後には尾瀬の周辺情報のパネルがあり、周辺観光地の写真が展示されています。この写真は尾瀬近隣の市町村や関係団体から選りすぐりの写真を提供していただいたもので、これを見ると尾瀬周辺には本当にきれいな景色がたくさんあることに驚かされます。
常設展示コーナーを巡る来訪者 一番奥に設置されているキツネの剥製
入口から左側に向かうと企画展示コーナーになります。ここではホワイトボードスクリーンを使って、オコジョとヤマネに関する情報を提供しています。両方とも非常にかわいい動物なので、尾瀬のアイドル的な存在です。貴重なオコジョの映像もあり、オコジョやヤマネに是非会いたいと思っている方はここで情報を仕入れていくのが良いと思います。
企画展示コーナーの奥にはレクチャー室兼休憩コーナーがあります。大型スクリーンや音響システムが設置されており、講演会などで活用する予定となっています。両側の壁には尾瀬でのベストショットの写真パネルが飾られており、尾瀬の自然を歩くことの楽しさが伝わってきます。
企画展示コーナーのオコジョとヤマネ レクチャー室兼休憩コーナー
これまで旧尾瀬沼ビジターセンターにおいても、現在の尾瀬がどのような状態にあり、いつ、どこに行けばどのような動物や植物に会えるというような訪問者への対応やリアルタイムの情報発信がなされてきました。さらに定期的な自然観察会や自然ふれあいイベントを通じて、これまで数多くの方々に自然に親しむ機会を提供してきました。
このようなビジターセンターの活動は今後も新ビジターセンターにおいて引き継がれ、これまで以上にたくさんの方々に尾瀬の自然の素晴らしさに気付いてもらえるような活動を行っていきますので、皆様方のご来訪をお待ちしております。