檜枝岐
尾瀬沼の除雪作業に行ってきました
2022年01月28日みなさん、こんにちは。檜枝岐自然保護官事務所の前川です。
昨年の暮れから檜枝岐では大量の降雪があり、朝暗いうちから除雪車が国道を行き来し、家の前や事務所での除雪作業はここに住む人の日課となっています。
村内の積雪の状況 早朝から活躍する除雪車両
さて、今週初めに尾瀬沼にある環境省施設の除雪作業に行ってきましたので、その時の様子を報告します。尾瀬沼には冬期間は人が住んでいないので、建物の屋根には大量の雪が積もったままになっています。雪の重さによる建物施設への被害をなくすためには冬期間の除雪は不可欠なものです。
檜枝岐村集落の外れからは国道が除雪されていないので、当日は尾瀬沼ヒュッテの除雪を行う檜枝岐村役場の人たちと一緒に雪上車やスノーモービルに分乗して総勢十数名で尾瀬沼に向かいました。私は雪上車に乗せてもらいました。乗り心地が良いとは言えませんが、それでも客室内はヒーターが効いていて、快適に移動することができました。
雪上車の後部が客室です モービルの跡をたどって歩きました
雪上車は約2時間かけて沼山峠に到着しました。ここからは各人スキーに履き替えて沼を目指します。先行したモービルはそのまま沼に向かうことができたようで、峠には残っていませんでした。深雪の中、沼を目指して登り始めましたが、モービルの跡は雪が踏み固められているので、楽に歩くことができました。大江湿原まで降りてくると、モービルが迎えに来てくれたので、沼まで同乗させてもらいました。
尾瀬沼に到着すると新ビジターセンターも旧ビジターセンターも、ほぼ雪で覆われていて、単なる雪の隆起のような感じです。積雪は優に3mから4mはありそうです。
新(左)・旧(右)ビジターセンター 到着時の沼施設の様子
新ビジターセンターと旧ビジターセンターに分かれて、それぞれ屋根の雪下ろしにかかりました。パワーのある村の若い人はスコップやスノーダンプでガンガン雪を落としていきます。私は旧ビジターセンターにまわりましたが、掘っていくと堅くて重い雪の層に当たり、なかなかはかどりません。建物周りは歩くと埋まってしまうような深雪でしたが、除雪機のお陰でいつの間にか立派な道がついており、行き来がだいぶ楽になりました。
屋根の上での雪下ろし1 屋根の上での雪下ろし2
旧ビジターセンターが姿を現してきました 道ができると歩きやすい
旧ビジターセンターで大変だったのは屋根からぶら下がった雪庇(せっぴ)落としです。最後に残ったものは長さが3mにもなり、スコップではどうにもならないので、スノーソー(ロープに歯を付けたもの)を使って切り落としました。
雪庇を落とす前 雪庇を落とした後
翌日は朝から除雪作業でしたが、除雪機の調子が悪く、最初はどうにもエンジンがかかりません。屋根から落ちた雪を人力で取り除くことは無理なので、どうしようかと途方に暮れていたのですが、そのうち何とかエンジンがかかり作業を継続することができました。冬の尾瀬沼という圧倒的な大自然の中で人間の力は余りに小さく、この仕事をするのに除雪機は命の綱と言えるほど大切なものだと思いました。
何とか復活した除雪機 白い衣をまとった燧ヶ岳
作業を終えてふと見上げると、山頂部に雪煙を吹き上げて荒れ模様だった燧ヶ岳は、まるでご褒美のように晴れ上がった姿を見せてくれました。