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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

尾瀬の自然と保護

2012年09月19日
尾瀬国立公園
9月の1日~2日にかけて、燧ヶ岳中腹にある熊沢田代で環境省が行っている、植生復元事業の本年度作業事前調査に同行してきました。



熊沢田代は標高2000m付近にある高層湿原


初日の打ち合わせ会議のようす


二日目は雨の中、現地調査

御池駐車場から燧ヶ岳に至るこのルートは、木道が敷かれ、途中に湿原もある人気のコースです。

今は福島県が整備したしっかりとした木道があるものの、今より約20年前はただ枕木が置かれただけのような状態でした。

その頃は今のような自然保護の規制も厳しくなく、湿原も入り放題でした。
その結果、湿原が踏み荒らされ、植物が生えなくなってしまった箇所が熊沢田代には何カ所かあります。


土壌の硬度を確認中

裸地化した所は、高層湿原に生える植物が根を下ろすことが出来ず、雨などによって土砂が流れてしまいます。
また、乾燥によってどんどん裸地が広がってしまう可能性もあります。

しかし、この踏み荒らしは昔だけではありません。現在でも起こっているのです。


木道の周りが踏み荒らされている状態

尾瀬一帯は冬は豪雪地帯になる上、湿原に敷かれた木道は傷みやすく、いたる所で木道の劣化や傾きがみられます。
そうした箇所を登山客が避けて歩くことによって、新たな踏み荒らしが増えていくのです。


過去の植生復元事業によって徐々に植生が戻っている所

湿原は1年に1ミリという泥炭が積み重なり成長しています。
荒らされたところが自然の状態まで戻るのは、気が遠くなる位の年月が必要です。

長い自然の営みをこれからも残していくためにも、不用意に木道から降りないようお願いします。