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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

公園内の石積みを撤去しました。

国立公園の石積み

2024年07月11日
善養寺聡彦
みなさま、こんにちは。
日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。
 
今回は国立公園の問題の一つを紹介します。
 
国立公園では風景はとても重要な要素です。
自然の風景を護り維持することは、国立公園の最も重要な使命の一つです。
 
山に登って、こんな風景を見ることはないでしょうか?


これは人が積んだものです。
あなたには心当たりはありませんか?
 
この石積みはおそらく、
ある人がいくつかの石を積んだ後に、
別の人が次々と積んでできたものと考えられます。
これは自然の風景を変更したことになります。
「こんな小さな変化はべつにかまわないのでは・・・。」
と思うかもしれません。
しかしどうしたものか、誰かが石を積むと、
同じように石を積む人が出てきます。
そしてこんなものができてしまったりします。


これは明らかに風景を変えてしまっています。
 
石積みの問題は、風景の変更だけではありません。
上の写真の上部にある石くらいは、那須の強風で簡単に飛びます。
人に当たることも考えられます。
大きな落石の弾みになることも考えられます。
 
その他石積みの問題点を挙げてみます。
・安定している石を動かすことで自然の浸食を助長する。
・石を取りに行くときに歩道から外れたりして、植生を踏みつけて傷める。
・植生の上に石を置くと、植生の成長を害したり、枯らしたりする。
・自然石を住処とする小動物の生活環境を奪うことになる。
 
那須連山ではこの数年特に石積の行為が盛んに行なわれるようになっています。
自然公園の自然を守るために、石積はやめましょう。

 ※ 山岳には道標などの重要な意味を持ってつくられた石積み(ケルン)もあります。
   また、文化的意味のあるものもあるでしょう。
   そうしたものに該当しない、思いつきで積む石積みはやめましょう。 

 現在那須連山に存在する石積みは危険なものが多い上に、
これを放置しているとますます石積みが増えてしまいますので、
先日石積みの撤去を行ないました。


作業は、地域の登山関係者・アウトドアガイド・企業の方々の
ボランティア活動として行なわれました。


足場が悪いので、慎重に作業します。


大小様々な石を手やバケツを使って運びました。
崩した石は、周囲の歩道の整備に使いました。



実施前は、
「大量の石を簡単には運び出せないのではないか?」
「運び出した石をどこへ持って行くのか?」
など心配もありましたが、
石を歩道の整備に使うことで上手く作業が出来たと思います。


           石積み撤去前




            石積み撤去後
だいぶすっきりしました。


  左:剣が峰   右:朝日岳  手前:峰の茶屋跡避難小屋

この日は快晴!
青空の下、那須連山の素晴らしい景観を護る活動が出来て
参加者の皆さんの笑顔が素晴らしかったです。