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関東環境局

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

温浴処理施設『ははの湯』とは?

2026年08月07日
那須瑞生
お久しぶりです!母島自然保護官事務所の那須です!
今回は母島での取り組み『ははの湯』を紹介したいと思います。

ははの湯とは?

『ははの湯』と言っても温泉ではなく、土付き苗の温浴処理設備のことです。

島外から母島に植物の苗を持ち込んだとき、土の中に母島にはいない昆虫などの外来種が潜んでいるおそれがあります。
外来種の侵入を防ぐための設備が『ははの湯』で、苗を一定温度のお湯に一定時間浸す『温浴処理』を行います。

今年春に実施したので、そのときの写真を交えながら簡単に説明していきます。

温浴処理の手順

まずテントを張り、テントの内部に苗や資材を搬入します。温浴処理はテントの内部で行います。
青いビニールシートの上に白いテント。テントの前には「ははの湯」の説明が書かれた看板
▲ははの湯用のテント
テントの内部。苗が3本、温浴装置が1台、冷却用の水槽が1台置かれている。
▲テントの内部
水を入れた水槽を用意し、専用の機械で所定の温度まで水温を上げたら、苗を浸けながら、お湯を苗にかけ流します。
土の内部まで所定の温度に達したら、そこから一定時間温浴を継続します。
苗を温浴装置のお湯に浸けているところ。
▲入浴中
このとき、温度や時間が不十分だと土の中の外来種が生き残ってしまい、逆に熱湯に長時間浸けると苗が傷んでしまうため、手順を守り適切な条件で処理することが重要です。
温め足りなくても温めすぎてもダメです。
半熟卵を作るコツに似ていますね。
                  徹底比較!苗の温浴処理と半熟卵の作り方
  苗の温浴処理 半熟卵の作り方
加熱の目的 外来種の死滅 サルモネラ菌の死滅など
加熱時間 お湯に浸けた苗の土の内部まで所定の温度に達してから15分程度 お湯が沸騰してから卵を浸けて7分程度
加熱後の処理 水に浸けて常温まで冷やす 水に浸けてよく冷やす
加熱不足だと…… 外来種が残存する 白身が凝固しない
加熱しすぎると…… 苗が衰弱する 黄身が凝固する
温浴が終わったら苗をお湯から取り出し、今度は水をかけ流して冷却し、土の中まで常温に戻して終了です。
 
野外。金属製の網目のバスケットに土付き苗が乗っている。土には温度計が差されている。
▲湯上り後、風乾中の苗
終了後はテント内に外来種が潜んでいる可能性もあるため、使用した道具一式を中に入れたまま、テント内を殺虫剤で燻煙します。
温浴に使った水もそのまま捨てずに、フィルターネットを通して捨て、ネット内に虫がいないか確認します。
こうして温浴処理完了となります。

外来種対策について

母島には固有のカタツムリをはじめ、この島にしかいない希少な動植物がいます。

小笠原は、海洋島の著しく高い固有種率と現在進行形の生物進化が評価され、世界自然遺産に登録されましたが、登録後も新たな外来種の侵入がみられ、世界自然遺産の顕著な普遍的価値であるカタツムリなどの固有種に対する影響が懸念されている状況になっています。

人間の活動によって、本来母島に居ない外来種が持ち込まれ、広まることで、島で暮らす固有の生き物や島民の生活、産業に思いがけない影響を及ぼすことがあります。

一度侵入して広まってしまった外来種を根絶することは困難で、以前投稿した記事
母島の外来種を知ろう!母島外来種ツアー ~動物編~ | 関東環境局 | 環境省
の外来種も島内に広がっており、対策に多大な労力がかかっているため、外来種侵入のリスクを下げることが重要になります。

今回紹介した『ははの湯』はそうした水際対策の一つです。

みなさまも母島にお越しの際は以下のリンクを参考に、外来種を持ち込まない対策にご協力をお願いいたします。
外来種対策のお願い | 小笠原世界遺産センター

小笠原世界遺産センター公式Instagram

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