ミヤコタナゴの生息状況
栃木県による生息状況調査は、セルビン(プラスチック製の罠)を用いて毎年秋に行われています。その結果を図にすると次のようになります。
平成11年まで、ミヤコタナゴの採捕数は減少の一途でした。平成12年には一旦持ち直したものの、平成14年以降の3年間、秋の生息状況調査ではミヤコタナゴが確認されていません。調査がセルビン方式で行われたことから、全く生息していない(=絶滅)のか、採捕できなかったのか、この結果から判断することはできませんが、現在ミヤコタナゴの個体数がかなり少ないであろうことは確かです。このままの状態で自然に個体数が回復することは難しいと考えられ、羽田のミヤコタナゴ個体群は絶滅の危機にあると言えます。
ミヤコタナゴの産卵母貝であるマツカサガイは、現在も多数生息が確認されていますが、昔はより多くのマツカサガイが生息していたとのことです。
その他の魚類の生息状況
平成7年9月の生息状況調査では、ミヤコタナゴが優占種であり、ドジョウ、ヨシノボリ、タモロコがそれに続いていましたが、平成10年・11年を境に、ドジョウとタモロコの採捕数や、全採捕数に占める両者の割合が大きく増加しています。
平成10年・11年の両年には、集中豪雨による大増水が3回発生しており、これが水路の生物相に影響を与えたとも考えられています
水路内の環境(水質・底質等)
多数のミヤコタナゴが生息していた頃の羽田に関するデータは少なく、過去と現在の環境の変化をデータで比較することはなかなかできませんが、地元の方々は、水質の悪化、水路に堆積する泥の増加、といった環境の変化を感じているようです。
水路の両岸にコンクリート護岸工はされておらず、木杭と割竹による護岸工が一部にあります。法面には崩壊している箇所も散見されます。
オオクチバス、ブルーギルの侵入状況
オオクチバスとブルーギルが羽田沼に持ち込まれたのは平成7年前後と考えられています。両種ともに繁殖に成功し、稚魚や幼魚が用水路に流入するようになったため、用水路の上流端に侵入防止ネットを設置していますが、用水路への侵入を完全に防ぐことはできていません。両種の除去作業も実施されていますが、根絶には至っていません。
なお、水路内では例年、体長10~20cm程度の個体が数個体捕獲されています。
水鳥飛来の状況
栃木県有数のハクチョウ飛来地として知られる羽田沼には、毎年多くのハクチョウ類(オオハクチョウ、コハクチョウ)とカモ類(マガモ、オナガガモ、カルガモ等)が飛来しています。ハクチョウ類は平成8年から飛来が確認されはじめ、毎年その数を増やしています。
羽田ハクチョウを守る会による餌付けが行われている他、県内から多くの観光客や親子連れ、子ども達が訪れ、水鳥にパンなどを与えています。