個体数が少なくなってしまった現在においても、羽田はミヤコタナゴの生息地として非常に重要な場所です。営農方法、水路の維持管理体制、現況の水路構造など、羽田はミヤコタナゴ個体群の安定した存続を保証する潜在能力をもっています。したがって、羽田については、今後も生息地保護区の指定による生息環境の保全を図りつつ、保護増殖事業により個体群を回復させる取り組みを実施したいと考えています。
環境省と栃木県では、個体数が非常に少ないと考えられる羽田においてミヤコタナゴの個体数を回復させるには、栃木県水産試験場で保存されている羽田系統のミヤコタナゴの放流が必要と考え、現在、放流を視野にいれた取り組みを行っています。
ミヤコタナゴの減少原因は特定されていませんが、水質の悪化や泥の過剰な堆積等の水路環境の変化、ブラックバスの侵入による捕食、ミヤコタナゴ個体数の減少による繁殖機会の喪失、さらに平成10年・11年の大増水の影響など、様々な可能性が指摘されています。また、ここ10年ほどで急速に水鳥の飛来数が増えたことも、ミヤコタナゴの生息環境に何らかの影響を与えている可能性があります。
放流にあたっては、減少原因の究明の取り組みと並行して、地元の協力と理解を得ながら生息環境の改善(減少要因を取り除く)に取り組むことが不可欠です。環境省は、関係機関や地元の方々と共に、上述の可能性を1つ1つ検証しながら、環境改善に取り組んでいきたいと考えています。