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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

トキと一緒にいる生き物

2018年03月09日
佐渡

 皆様、こんにちは。

<佐渡自然保護官事務所のふもとから撮影した夕日 2/22撮影>

 新潟県佐渡市は、暖かく晴れる日が増え、春の気配を感じられるようになりました。トキたちも、凍り付いた水田が減り、ようやくエサを確保しやすい時期になったのではないでしょうか。

 間もなく、春の訪れとともに、渡り鳥たちが佐渡にもやって来ます。

今回は、渡り鳥も含め、トキと一緒にいる生き物をご紹介したいと思います。

 トキと一緒にいることが多い生き物。まずはサギ類。


<あぜで日光浴するトキとアオザギ>     

<水路で採餌するトキとダイサギ>

 トキもサギもどちらも大型の水鳥で、水辺でエサを取ります。トキが下りているところにサギが下りてきたり、サギが下りているところにトキが下りてきたり。サギ類は、トキにとって時としてエサ場の目印となる、ありがたい存在なのかもしれません。

 次によくトキと一緒にいる生き物。それは、カラスとトビ。

 

<採餌中のトキとハシブトガラス>


<トキと同じ木にとまるトビ>      

 カラスは、トキの放鳥が始まった2008年から、トキの天敵とされてきました。トキを追い回し、トキの卵を盗んだり、トキのヒナを攻撃して死なせてしまったりと、佐渡では悪者のイメージが強い鳥です。しかし、放鳥10周年を迎える2018年現在、トキを追いかけるカラスを見ることはほとんどなくなりました。トキの数が佐渡島内でも増加し、カラスにとって見慣れた鳥になったからかもしれません。

 また、トビは猛禽ですが、トキと一緒に木にとまっているところをよく目にします。営巣林もトキとトビとで共有していることも多く、トキの巣を見ていると思ったら、トビの巣だった。なんてこともあります。トキがトビの古巣を使用することもあります。天敵からお互い身を守りやすい等、営巣林を共有するメリットが何かあるのかもしれません。

 水田を利用するシギ類もトキと一緒にいます。

<積雪で限られたエサ場にあらわれたトキとタシギ>   


<トキの幼鳥と採餌するタカブシギ>

 越冬しに佐渡に渡ってくるタシギ、渡りの途中に佐渡に立ち寄るタカブシギ。佐渡の水辺が、トキだけでなく多くの鳥たちのオアシスとなっていることが分かります。

 その他、珍客とトキが一緒にいることもあります。


 

<トキの群れに混ざって採餌するアカガシラサギ>


<トキの群れに混ざって飛翔するヘラサギ>

 アカガシラサギは佐渡では毎年数羽確認されています。トキの群れに混ざって確認されることも多く、トキとともにねぐら出し、トキとともに採餌していました。また、トキと交尾のまねごと(擬交尾)をする様子も観察されています。

 ヘラサギは、希な迷鳥として確認されています。トキと同じトキ科に属する水鳥で、ハクチョウの群れとともに行動していたり、トキの群れとともに行動していたり、白っぽい鳥といる印象を受けました。佐渡で確認されることがほとんどないヘラサギと、日本では佐渡でしか見ることのできないトキの群れ。ヘラサギとトキ3羽が一緒に飛翔する姿を捉えたこの写真は大変貴重なものと言えるでしょう。

 そして、時にはこんなことも...

 

<トキににじりよるクロネコ>        

<トキを狙う茶トラネコ>

 トキを襲うそぶりを見せるネコたちですが、実際に襲った様子が観察されたことはありません。観察していると、トキは、首を伸ばして大きく見えるような姿勢を取り、「ター!ター!」と警戒して鳴き続けます。ネコの獲物としては大きいようで、ネコも狙ってはみるものの、本気で襲うつもりはないようです。トキたちもそれを知ってか知らずか、ネコが近付いてもすぐに飛び立つことはせず、しばらく様子を見ていることが多いように感じます。

 

 最後に、トキと一緒にいる生き物。

一度は、絶滅してしまったトキですが、今では人間もトキと一緒にいる生き物に含まれるようになりました。



 

これからも、こんな風景がずっと続きますように。