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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園 南アルプス

26件の記事があります。

2018年04月04日夜叉神峠の楽しみ方

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

夜叉神峠は標高1,770m、夜叉神峠登山口から1時間ほどの尾根上にあります。南アルプス山域の中でもアクセスが良く、日本第2位の高峰、北岳をはじめとする白峰三山の展望や季節の花を楽しむことができるトレッキングコースとして多くの方に親しまれています。また、鳳凰三山縦走路の登山口としても利用されています。今回はこの夜叉神峠をより楽しめるポイントをお伝えしたいと思います。

◎木の名前が学べる

歩きやすいジグザグの登山道へ入ると落葉樹がお出迎え。近づいてみると、木板に種名が彫られています。ところどころ設置されているので、ぜひ探してみてください。木の名前を知りながら、楽しく歩くことができます。まだ展葉していない今の時期は樹皮や枝ぶり、初夏以降は葉や花の違いも見比べてみると面白いかもしれません。

木板に彫られた木の名前

(木板に彫られた木の名前)

◎芦安の歴史を辿る

ジグザグの登山道をさらに歩いて行くと、途中で幹が5本に分かれている大きなマツがあります。このマツはその見た目から「五本松」と名付けられています。

「五本松」を仰ぎ見る

(「五本松」を仰ぎ見る)

少し見づらいですが、幹が5本に分かれているのがお分かりでしょうか。

この「五本松」のすぐそばに、穴の開いた石組みがあります。

「五本松」のそばにある空洞

(「五本松」のそばにある空洞)

この正体は炭釜跡です。昔、夜叉神峠までの道は林業に使われており、芦安の村人が行き来する途中で炭を焼いていました。炭焼きをするための木は女性が担ぐものだったそうですが、その重さはなんと40キログラム!炭釜跡は「五本松」付近だけではなく、夜叉神峠登山口付近や芦安のさまざまなところに残っているので、探しながら歩いてみるのもいいですね。

◎夜叉神峠にある祠のワケを知る

夜叉神峠を鳳凰三山方面へ少し進むと祠があるのをご存じでしょうか。

夜叉神峠の石祠

(夜叉神峠の石祠)

この祠は古くから伝わる夜叉神を奉るために作られた祠です。昔、暴れ川として知られた御勅使(みだい)川の上流に、夜叉神という神様が住んでいました。大雨を降らせたり土砂を御勅使川に流し込んだりするかと思うと、日照りを続かせるなど大暴れし、村人たちを困らせていました。ある夏、夜叉神さまは荒れ狂ったように大雨を降らせて、御勅使川の大洪水を引き起こし、甲府盆地全体を湖のようにしてしまいました。これを恐れた村人たちが祠を建て、夜叉神を祀って鎮めたことが名前の由来だと言われています(諸説あり)。

参考:文化財Mなび  http://103.route11.jp/?ms=2&mc=53&mi=456

   南アルプスNET http://www.minamialps-net.jp/data/article/74.html

夜叉神峠で雄大な白峰三山を眺めるのもとても良いですが、ほんの少し足を伸ばして、山を守る神となった夜叉神に参ってみてはいかがでしょう。

残雪の白峰三山だけでなく、道々で木の名前や歴史の足跡に触れる静かな山歩きもおすすめです。

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2018年03月22日南アルプスニホンジカ対策ワーキンググループ会議が行われました。

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

39日(金)、南アルプス市で「南アルプス自然環境保全活用連携協議会 ニホンジカ対策ワーキンググループ会議」が開催され、関係市町村、県、国、研究機関、地権者等を交えて南アルプス国立公園とその周辺のニホンジカ対策に関する意見交換が行われました。

会議のようす

(会議のようす)

南アルプスの高山帯では、1990年代頃からニホンジカによる影響が見られるようになりました。

ニホンジカによる食痕  樹皮が剥がされた木

(ニホンジカによる食痕)             (樹皮が剥がされた木)

南アルプスでは、お花畑をはじめとする高山の生態系を保全するために、高山植物に悪影響を与えるニホンジカへの対策が実施されています。国や県、市町村が役割分担しながら、モニタリング、植生保護、シカ捕獲、技術開発・普及啓発等に取り組んできました。この会議は、各機関で情報を共有することによって、効率的・効果的な取り組みを実施するために開催されています。

南アルプス周辺におけるニホンジカ対策の流れは以下のようになっています。

ニホンジカ対策ワーキンググループに至るまでの経緯と南アルプスニホンジカ対策方針の経緯

(ニホンジカ対策ワーキンググループ設置及び南アルプスニホンジカ対策方針策定の経緯)

現在、南アルプス周辺で実施されているニホンジカ対策は、南アルプスニホンジカ対策方針のもとに位置づけられています。ニホンジカ対策方針は平成29年5月に南アルプス自然環境保全活用連携協議会(南アルプスユネスコエコパークの管理運営組織)において策定され、ニホンジカ対策ワーキンググループにおいて情報共有、方針の更新が行われます。

今回の会議では、関連機関の事業報告に加え、すれジカ対策、植生保護のあり方、ジビエ活用等についても意見交換が行われました。また、アドバイザーとして招いた専門家から、北岳周辺のニホンジカ出現傾向と植生への影響、ニホンジカの行動特性等についてお話しいただきました。気温の上昇によって高山帯にニホンジカが住めるようになってしまった今、お花畑を守るためには、ニホンジカを柵によって閉め出すか、数を減らしていかなければいけないことに改めて気づかされました。

環境省の取り組み1:伏工(環境の改善)  環境省の取り組み2:防鹿柵(ニホンジカの防除)

(環境省の取り組み1:伏工(環境の改善))  (環境省の取り組み2:防鹿柵(ニホンジカの防除))

このワーキンググループ会議を通して情報共有をすすめ、今後の南アルプスにおけるニホンジカ対策の改善を図っていきたいと考えています。

高山のニホンジカ問題は遠くの問題としてとらえられがちですが、人のくらす町が里山、そして高山へつながっているように、ニホンジカも農村から低山、そして高山へと広がっていきます。ニホンジカによって植生が失われると、貴重で脆弱な高山の生態系が劣化するだけでなく、やがては土壌侵食や災害リスクの増大等にもつながります。皆さんも、ニホンジカを見かけたとき、山に登ったとき、ふとしたときに南アルプスのお花畑とニホンジカを思い出してみてください。

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2018年02月28日南アルプスの隠れた魅力

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

日本アルプス最南端に位置する南アルプスでは、氷期に南下し、その後の温暖化で取り残されたライチョウのような氷期遺存種や、固有種(南アルプスでしか見ることができない種)をはじめ、多様な生物がみられます。そんな南アルプスの、山そのものの大きな魅力はご存じでしょうか?

南アルプスは、はるか昔海底にあった堆積物がプレートの動きによって大陸に付加され、伊豆―小笠原弧の衝突によって急速に隆起したことによって生じた、非火山性の構造山地です。南アルプスは北アルプスに比べ、なだらかな山容をしていますが、それは南アルプスができたのが比較的新しく、浸食がすすんでいないことによるものです。南アルプスでは現在でも隆起が続いており、その速度は年間約4mmと日本最速で、世界でもトップレベルです!!

小赤石岳付近から見る赤石岳山頂

(小赤石岳付近から見る赤石岳山頂)

平成264月、国土地理院が衛星測位システムによる測量成果に基づいて日本の山岳標高を改定しましたが、このときに間ノ岳は3189mから3190mとなり、奥穂高岳と並んで日本で3番目の標高になりました。このほか、赤石岳(3120mから3121m)、光岳(2591mから2592m)など、赤石山系の15の山が1m高くなりました。南アルプスは急速に隆起を続けているので、将来的には間ノ岳ももっと高くなるかもしれませんね。

(参考)

日本の主な山岳標高の改定(国土交通省 国土地理院)

http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa60009.html

山地が急激に隆起すると、稜線部や山腹斜面などが崩壊しやすくなります。また、湿潤で雨の多い南アルプスの気候の影響を受けて、谷は深く浸食されます。

大聖寺平付近のV字谷

(大聖寺平下方のV字谷)

その結果、このようなV字谷や線状凹地、崩壊地などが多く形成されます。

荒川岳稜線で、とても目立つ赤い石を見つけました。この赤い石の正体は「チャート」といい、赤石岳や赤石山脈の由来になっています。チャートは、海中のプランクトンが堆積してできるといわれています。これは、南アルプスがもともと海の底にあり、プレートの動きによって移動し、持ち上げられて形成されたことを示しています。場所によって石の模様が異なるので、いろいろ比較してみるのも面白いでしょう。このほかにも、北岳山頂、光岩などが代表的ですが、有孔虫、サンゴ等が堆積してできた「石灰岩」などの岩石がその起源を物語っています。

荒川岳の赤色チャート

(悪沢岳の赤色チャート)

南アルプスは、氷河が存在した痕跡がある日本で最も南の場所でもあります。南アルプスの高山帯には、約2万年前に形成された氷河地形・周氷河地形が現存しています。

荒川岳西カール

(荒川中岳西カール)

仙丈ヶ岳や荒川三山などでみられるカール(圏谷)もそのひとつです。氷河によってえぐり取られたカールには遅くまで雪が残ります。また、微地形に応じて多様な植生が成立しています。

今回は地形・地質にフォーカスして南アルプスの魅力をご紹介しましたが、おすすめスポットはまだまだたくさんあります。地形・地質から、途方もなく長い時間軸で変化する地球の動きにも思いを馳せながら、移ろいゆく自然の美しさも楽しめる南アルプス。実際に山に登って、目で見て、肌で感じてみてはいかがでしょうか?

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2018年01月30日南アルプス国立公園ってどんなところ?

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

これまで、シーズン中は巡視のようすを中心に、ニホンジカ対策の取り組みや高山植物などをご紹介してきましたが、今回は、そもそも南アルプス国立公園ってどんなところ?という、キホンについて振り返ってみたいと思います。

南アルプス国立公園全景

(南アルプス国立公園全景)

南アルプス国立公園は昭和39年(1964年)61日に全国で23番目の国立公園として誕生しました。赤石山脈の稜線部を中心として3000メートル級の高峰10座以上を有する山岳公園です。面積は35,752ヘクタールで、山梨県、静岡県、長野県の3県にまたがり、東西約15キロメートル、南北約50キロメートルに及ぶ、南北に長い国立公園です。

「南アルプス(赤石山脈)」は、甲斐駒・鳳凰山系、白峰山系、赤石山系の3つの山系から構成されます。日本アルプスの中では最も南に位置し、夏に雨が多く、冬は雪が少ないことから「雨の南アルプス」と言われています。大量の雨が引き起こす河川浸食作用によって深く切れ込んだV字谷が多く見られ、また積雪量が少ないことから森林限界が高く(2500から2700 m)、稜線付近まで森林に覆われています。

南アルプス国立公園は、三伏峠を境として北部と南部に分けられます。

南アルプス国立公園北部、南部

(南アルプス国立公園北部、南部)

【北部エリア】

二俣分岐から見た北岳  「南アルプスの女王」と呼ばれる仙丈ヶ岳

(二俣分岐から見た北岳)           (「南アルプスの女王」と呼ばれる仙丈ヶ岳)

日本第2位の高峰北岳、日本第3位間ノ岳、農鳥岳からなる白峰(しらね)三山をはじめ、山の形がユニークな仙丈ヶ岳や鋸岳、花崗岩で知られる甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳)や鳳凰三山、双耳峰(2つの頂をもつ山)の塩見岳など変化に富んだ山容を楽しむことができます。北部エリアは山深い南アルプス山域内では比較的アプローチしやすく、初めて南アルプスに登る方にも挑戦しやすいコースもあり、シーズン中は多くの登山客で賑わいます。

【南部エリア】

赤石岳を稜線から望む  東岳(悪沢岳)、中岳、前岳からなる荒川三山

(赤石岳を稜線から望む)           (東岳(悪沢岳)、中岳、前岳からなる荒川三山)

赤石岳や荒川三山、聖岳、上河内岳や光岳などの大きく魅力のある山が連なっています。アプローチが長いことに加え、ひとつひとつの山がとても大きく小屋の間隔が離れているため、登山者には相応の体力・装備が要求されます。反面、南アルプスの山域の中でも登山者が少ないため、静かな山歩きを楽しむことができます。

南アルプスの深い山並み、大自然のなかでゆったりと過ごす時間は何にも代えがたいものがあります。自分だけのお気に入りの場所を見つけてみてはいかがでしょう。

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2017年12月19日夜叉神峠から見た白銀の白峰三山

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

近頃、芦安では冷え込みが厳しいもののお天気が続いています。晴天に誘われて、14日に夜叉神峠巡視へ行ってきました。夜叉神峠は芦安にほど近く、鳳凰三山の南に位置する標高1770mの峠です。

登山道のあちらこちらに雪があり、踏みしめると「ぎゅっぎゅっ」と音が鳴って、冬が来たことを実感しました。

登山道のあちこちにみられる雪

(登山道のあちこちにみられる雪)

12月14日時点では、アイゼンや滑り止めが必須というほどではありませんでしたが、濡れた落ち葉や、凍結して滑りやすくなっている箇所もあるので、特に下山の際は十分にお気をつけください。

登山口から1時間ほど歩き、夜叉神峠に着くと・・・・・・雪で白く染まった白峰(しらね)三山がお出迎えしてくれました!

雪で白く染まった白峰三山

(雪で白く染まった白峰三山)

白峰三山は、日本高峰第2位の北岳(3,193m)、第3位間ノ岳(3,190m)、農鳥岳(3,026m)の総称です。この日は雲一つない快晴で、青い空に白い山がきれいに映えていました。雄大な山並みに雪がつき、いつにも増して大きく感じられます。写真には写っていないのですが、北岳と間ノ岳の間に小さく北岳山荘を見ることができました。

(夜叉神峠から見た白峰三山・北岳山荘の位置図)

夏の夜叉神峠のようす

(夏の夜叉神峠のようす)

この写真はガスのため白峰三山がかすんでしまっていますが、夏と冬を比較すると、前景の木々や山肌の色の違いがはっきりと分かりますね!夏は、花々やちょっとした涼を求めて。冬は、寒くはありますが澄んだ空気の中で、美しい景色を堪能することができます。同じ山、同じルートでも、季節が変われば違う楽しみ方ができるのが山や自然の素晴らしいところだと思います。

●これからの時期、夜叉神峠へお越しの皆様へ●

夜叉神峠登山口へ向かう林道では、路面凍結、落石の可能性があります。スタッドレスタイヤ等、積雪・凍結対策をとり、安全には十分注意して走行してください。

また、気象状況によっては山の神ゲートから夜叉神ゲート間が閉鎖される場合もありますので、交通規制状況について事前に確認されることをおすすめします(夜叉神ゲートから広河原・北沢峠までは冬季閉鎖のため通行止めになっています)。夜叉神峠から鳳凰三山へ向かう方は、アイゼンなどの冬山装備をご準備の上、登山届の提出などの安全対策をとって、気をつけて登山を楽しんでください。

(参考)

山梨県 県営林道通行規制情報

http://www.pref.yamanashi.jp/rindoujyouhou/kisei.php?id=4

山梨県警察 山岳情報

https://www.pref.yamanashi.jp/police/sangaku/

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2017年11月14日国立公園・野生生物フォトコレクションin飯田市

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさんこんにちは!

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

1126日(日)まで、長野県の飯田市美術博物館にて「国立公園・野生生物フォトコレクション」を開催しています! 関東地方環境事務所管内で活動するアクティブ・レンジャー達が、国立公園や国指定鳥獣保護区で昨年度撮影した、イチオシの風景や動植物をご紹介します。

国立公園・野生生物フォトコレクションのチラシ

★国立公園・野生生物フォトコレクション(アクティブ・レンジャー写真展)

 開催場所  飯田市美術博物館

 開催期間  平成29年11月9日(木)から11月26日(日)

      【 開館時間 】午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)

      【 休館日 】月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日

 入 場 料  無料 

 飯田市美術博物館ホームページ      http://www.iida-museum.org/

  国立公園・野生生物フォトコレクション http://www.iida-museum.org/8387/

先日、展示の設営をしてきました。

展示のようす  展示のようす

(展示のようす)

美しい景色、人々、植物はもちろん、動物や鳥、昆虫やキノコまで!!アクティブ・レンジャーたちが日々の業務で現地に足を運ぶなかで見つけた、お気に入りの瞬間を展示しています。写真をご覧になって、行ってみたいと思う場所があれば、各国立公園のパンフレットも配布していますので、ぜひお手にとってみてください。この写真展は、今年の4月から関東地方環境事務所管内の国立公園や国指定鳥獣保護区を巡回し、現在展示中の南アルプス会場を含めて、残すところ5か所となりました。行きたかったけどまだ行けていない方、会場の近くにお住まいの方、近くまで遊びに行かれる方。足を運んでみてください!

南アルプス自然保護官事務所からは、「南アルプスとニホンジカ」と題して、南アルプスのお花畑を守るための取り組みやニホンジカの生態について展示をしています。

南アルプスとニホンジカについての展示

(南アルプスとニホンジカについての展示)

また、飯田市美術博物館では、1224日(日)まで企画展「世界最南端のライチョウがすむ 南アルプス」が開催中です。雄大な南アルプスの山々を背景にした見事なバードカービング(野鳥彫刻)のライチョウ、南アルプスに産する多様な昆虫の標本や、美しい高山植物の写真などが展示されています。展示説明会や講演会などのイベントも数多く開催されていますので、南アルプスのことをもっともっと知りたい!という方はぜひ、ご覧ください。

詳細は、飯田市美術博物館ホームページ(http://www.iida-museum.org/)内、

企画展「世界最南端のライチョウがすむ 南アルプス」をご覧ください。

みなさんのお越しをお待ちしております!!

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2017年10月24日3,033m、仙丈ヶ岳の頂へ

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

最近になって、急激に冷え込んできましたね。季節の変わり目なので、体調管理には十分気を付けたいですね。

10月4、5日に仙丈ヶ岳へ行ってきました。

登山開始時には雨が降ったり止んだりを繰り返していましたが、2,600m 付近まで登ると青空が見えてきました。後ろを振り向くと・・・雲が切れ、白い甲斐駒ヶ岳 (2,967m)が顔を出してくれました!急峻な甲斐駒ヶ岳の山容はいつ見てもかっこいいですね。

ガスの切れ間から顔を出す甲斐駒ヶ岳

(ガスの切れ間から顔を出す甲斐駒ヶ岳)

甲斐駒ヶ岳のほか、栗沢山(2,714m)や、仙水峠から鳳凰三山に続く早川尾根も見ることができました。

さらに標高を上げ、3,033mの頂上に来てみるとそこは雲の上でした。

3,033m、仙丈ヶ岳の山頂

(標高3,033m 仙丈ヶ岳の山頂)

この日は雲が高く、残念ながら展望がありませんでしたが、天気が良い日には日本高山第1位富士山(標高3,776m)、第2位北岳(標高3,193m)、第3位間ノ岳(標高3,190m)をはじめ、八ヶ岳、中央アルプス、北アルプスの山々を楽しむことができます。仙丈ヶ岳は、南アルプス山域の中では比較的危険箇所が少なく、南アルプス入門の山としても多くの方に親しまれています。

そしてこの仙丈ヶ岳で忘れてはならないのが、地形です。

仙丈ヶ岳を代表する藪沢カール

(仙丈ヶ岳を代表する藪沢カール)

2万年前の氷河の作用によって形成されたカール(圏谷)が特徴的です。カール(圏谷)とは、氷河によって山頂付近が削られてできたもので、スプーンで削ったように丸みを帯びた緩やかな谷地形のことをいいます。中でも藪沢カール、小仙丈カール、大仙丈カールが有名です。氷河地形の他にも岩稜帯や原生林、夏には高山植物のお花畑も楽しむことができます!

仙丈ヶ岳で見られる紅葉もとてもきれいでした。

紅葉で色付く仙丈ヶ岳

(紅葉で色づく仙丈ヶ岳 10月4日撮影)

仙丈ヶ岳は何度登っても、そのたびにいろいろな楽しみ方ができるのでオススメです!

【仙丈ヶ岳への登山を計画されるみなさまへ】

山梨県側と長野県側ではバスの最終運行日が異なりますのでご注意ください。

(山梨県側)

芦安-広河原、奈良田-広河原、広河原-北沢峠のバスの運行は11月5日(日)まで

路線バス 詳しくはコチラ⇒http://yamanashikotsu.co.jp/

乗合タクシー 詳しくはコチラ⇒http://ashiyasu-kankou.co.jp/taxi_for_hill_climbing2/

(長野県側)

戸台-北沢峠のバスの運行は11月15日(水)まで

※1日4便の運行。10月からの運行時間が月曜日(祝日を除く)から金曜日は始発8:05 。ご注意ください。

詳しくはコチラをご覧ください。⇒http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html

馬の背ヒュッテ、仙丈小屋は10月15日で営業を終了しています。北沢峠こもれび山荘は11月2日(木)まで、長衛小屋は11月4日(土)(※11月1日からは素泊まりのみ)までの営業になります。

また、10月16日から仙丈ヶ岳登山道の藪沢新道、五合目(藪沢・小仙丈ヶ岳分岐)から馬ノ背への藪沢ルート(トラバース道)が通行止めになっています。

詳しくはコチラをご覧ください。⇒http://www.inacity.jp/kankojoho/index.html

バス及びタクシーの時刻、山の状況を確認した上で安全に登山を楽しんでくださいね。

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2017年10月18日今シーズンの荒川岳防鹿柵撤去へ

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

少し前の話になってしまいますが、10月の初め頃に荒川岳防鹿柵(ぼうろくさく)の撤去作業を行いました。

初めて南アルプス南部へ足を運びましたが、一つ一つの山がとても大きく、圧倒されっぱなし。

雲一つない快晴の悪沢岳(東岳)

(雲一つない快晴の悪沢岳(東岳))

すれ違う登山者数も少なく、静かな山歩きが楽しめました。

登山をするときにまわりをよく見てみると、あちらこちらにシカの痕跡があることをご存じでしょうか。シカそのものに出会うこともあれば、シカの通った痕、フン、樹皮はぎや植物を引きちぎって食べた痕が見られることもあります。荒川岳周辺ではシカの足跡や食痕が見られます。

シカの足跡が見られる丸山(3,032m)付近

(丸山(3,032m)付近で見られるシカの足跡)

矢印の箇所をさらにズームしてみると・・・

ズームしてみるとシカの足跡が・・・!

シカの足跡が・・・!

昔の南アルプスでは、ニホンジカは見られなかったのですが、平成10年ごろから急激に増加。そして、稜線や登山道付近にも現れるようになり、植生や景観に深刻な影響を及ぼしています。この問題に対応するために、国、県、市町村、NPOが協力し、北岳、仙丈ヶ岳、三伏峠、荒川岳、聖平、茶臼岳など南アルプス各地に防鹿柵を設置しています。防鹿柵のおかげで、少しずつ植生が回復してきている箇所もありますが、失われる前に比べるとまだまだ・・・。自然のバランスが1度崩れてしまうと、元の状態までに回復するのには長い時間が必要になります。じっくり時間をかけて、いつか素晴らしいお花畑が見ることができるようになることを願います。

今回作業をした柵はこちらです。真ん中にある扉は、防鹿柵のゲートです。

荒川三山の登山道上に設置されている防鹿柵

(荒川三山登山道上に設置されている防鹿柵及びゲート)

防鹿柵の範囲に登山道の一部が含まれているため、通行のためにゲートを設置しています。

この扉を閉め忘れてしまうと、柵の中にシカが入って植物を食べてしまう可能性があります。シカから高山植物を守るためにも、「開けたら閉める」の徹底にぜひご協力をお願いします。

【登山されるみなさんへ】
この時期の南アルプスは冷え込みが激しくなってきます。氷点下の朝もあるので、防寒対策をしっかりして登山してくださいね。また、日没も早くなっています。一例として、北岳の日の入りは7月17日には19:13ですが、10月17日には17:19と、ぐっと早くなります。暗くなってからの行動は多くの危険が伴いますので、必ずヘッドライトを持ってください(予備電池も忘れずに!)。遅くなってからの小屋やテントサイトへの到着は、すでに就寝している他の登山者や小屋の方にも迷惑をかけることになるので、早めの到着を心がけるようお願いします。登山口への到着が遅くなったときは、無理に登らず朝を待つなどして、計画を変更することも大切です。

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2017年09月27日北岳巡視に行ってきました!

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、大樺沢ルートから右俣→草すべり→広河原のルートで北岳巡視に行ってきました!

もうじき10月。高山植物にはもう会えないんだろうな・・・と思いながら歩いていたところ、なんと!

いくつかの高山植物に出会うことができました。

ハクサンフウロ ミヤマコウゾリナ

(ハクサンフウロ)                (ミヤマコウゾリナ)

ハクサンフウロ(8月)、ミヤマコウゾリナ(8月)、ヤマハハコ(8月)、ミヤマキンポウゲ(7月)など。また、前回の日記(9/5)でもご紹介しました、センジュガンピ(7月)やキツリフネ(8月)も見ることができました。冷え込みが厳しくなってきているにも関わらず、たくましく咲いている植物たちには強さを感じますね。【()内は花期を示します。】現在は、多くの高山植物が終わり秋らしい姿になってきていますが、高山植物のシーズンになるとこれまでご紹介した高山植物以外にもたくさんの種類の花が咲き誇り、みなさんをお出迎えしてくれます。綺麗なお花が登山の疲れを癒やしてくれますよ!

高山植物のシーズンは終わってしまいますが、これからは木々の紅葉を楽しむことができます。右俣登山道上ではわずかながらに木々や植物が色をつけ始めました。

右俣・草すべり合流ルート付近の紅葉の様子 9/25

北岳上部の紅葉の見頃は来週くらいではないでしょうか。

広河原の紅葉の見頃はもう少し遅くなるかと思います。北岳周辺では登山をしなくても、広河原園地や広河原から北沢峠の間の林道などで紅葉を楽しむことができます。もしかすると紅葉とともに北岳の冠雪を見ることができるかもしれません!秋深まる広河原へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

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2017年09月05日北岳で見ることができる変わった高山植物

南アルプス国立公園 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、白根御池小屋から二俣分岐の周回ルートで北岳巡視に行ってきました!今回は、巡視中に見つけたユニークな植物たちをみなさんにご紹介したいと思います。

1つ目は『センジュガンピ』というお花です。

北岳のあちこちで見ることができるセンジュガンピ

(北岳のあちこちで見ることができるセンジュガンピ)

花弁の先が浅く裂け、フリルのようになっているのが特徴です。花は白く、ちょこんと咲いていて可愛らしい姿です。独特な名前と形がとても印象的なこのセンジュガンピ、実は、私が初めて覚えた高山植物なのです!花期は7月中旬から8月上旬。盛りは過ぎてしまっていますが、もしかするとまだ見ることができるかもしれません。ぜひ、みなさんに見ていただきたい植物のひとつです。

2つ目は『タカネナデシコ』です。

ピンク色が鮮やかなタカネナデシコ

(ピンク色が鮮やかなタカネナデシコ)

タカネナデシコは、センジュガンピと同じくナデシコ科の植物です。五弁花であるところは同じですが、花弁の先が細く、深く裂け、糸のような形をしています。このような形の花はなかなか見ることができないですよね。鮮やかで大きなピンクの花がよく目立つので、すぐに見つけることができると思います。より低い標高に生育するカワラナデシコを含め、このなかまは変異が大きいので、いろいろと見比べてみるのも面白いかもしれません。南アルプス国立公園においては、保護対象として指定植物に選ばれています。

3つ目は『キツリフネ』です。

大樺沢ルート下部で見つけたキツリフネ 夜叉神峠のツリフネソウ                          
(大樺沢ルート下部で見つけたキツリフネ)   (夜叉神峠のツリフネソウ)

カラフルで唇のような形の大きな花がぶら下がり、モビールのようにも見えます。黄色いツリフネソウ、というのが名前の由来です。ツリフネソウの名は、キツリフネによく似た紅紫色の花(写真右)がぶら下がった様を、吊り下げた舟の姿に見立てたようです。後ろに突き出た『距』には蜜が入っており、虫たちに人気の花です。花に触れるとすぐに落ちてしまうので、見つけた際は、触らずに温かく見守ってください。

歩いていると珍しい光景を見ることができました!

クガイソウの蜜を吸う?ベニヒカゲ

(クガイソウの蜜を吸う?ベニヒカゲ)

クガイソウにベニヒカゲがちょうど止まっているところを写真に収めようと粘りました。シャッターを押そうと構えると飛んで行ってしまうので、やっと撮れた1枚です。手前の植物が写ってしまったのはご愛敬ということで・・・・・・。

ベニヒカゲは年に1回、8月頃発生します。橙に黒の斑点が特徴です。登山者の汗を吸いにくることもあるようです。

今年の春はとても寒く、遅くまで雪が残っていたために花の時期がずれこみ、この時期まで高山植物を楽しむことができています。ですが、9月になれば夏とは打って変わり、気温がぐっと下がります。標高が高いところでは、街と比べて朝晩はかなり冷え込みます。ふつう、標高が100m上がると気温は0.6度下がるといわれています。事務所がある芦安の標高は670mほど、広河原インフォメーションセンターの標高は1520m、北沢峠は2030m。単純に計算しても、芦安に比べて広河原インフォメーションセンターでは約5℃気温が下がり、北沢峠でも約8℃気温が下がります。北岳山頂ではなんと15℃も違うことになります!雨はもちろん、たとえ晴れていても風が吹けばかなり寒さを感じます。これから登山される場合には、寒さ対策を十分に行った上で安全に登山を行ってください。みなさんにとって楽しい登山になりますように。

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