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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

南アルプスを上から見ると・・・?①

2021年01月29日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今回は空から見た南アルプス山域の様子や見どころを紹介します。撮影時期が秋なので、樹木が紅葉している様子をお楽しみください。南アルプス国立公園の全体図とあわせてご覧ください。

【光岳・イザルガ岳】

静岡県川根本町、長野県飯田市にまたがり、南アルプス国立公園の最も南に位置する光岳(標高2,592メートル)。「ひかりだけ」と読みたくなりますが、読み方は「てかりだけ」です。日本百名山に選定されています。南アルプスの名だたる3000m級の高峰の山頂は、岩肌がむき出しで眺望が良いイメージがありますが、光岳の山頂はわずかに森林限界を超える程度で、ダケカンバなどに覆われています。

山頂を下った先にある『光岩』が太陽光で反射し、光って目立つことから光岳と呼ばれるようになったようです。その『光岩』がこちら!

石灰岩から成る光岩は高さ約50メートル。周辺では氷河時代の遺存種であるチョウノスケソウやミヤマアケボノソウ、高山チョウが生息・生育しています。

イザルガ岳はセンジヶ原(1枚目写真 イザルガ岳と光岳小屋の間付近)の分岐から往復15分ほど歩くと着きます。ロケーションが良く、ライチョウの生息地の世界的南限になっています。

センジヶ原には南アルプス国立公園でも珍しい木道が整備されています。

△センジヶ原            △構造土(アースハンモック)

この木道の両脇の草原は構造土(アースハンモック)と呼ばれ、植生に覆われていない部分が先に凍結し、植生がある部分を押し上げてできた地形です。周辺にはイネ科植物やコケ類が被覆し、上部が全く植生に覆われていない「冷凍ハゲ」が分布しています。

光岳をさらに南下すると、大無間山や十枚山などを含む奥大井県立自然公園や大井川源流部原生自然環境保全地域があります。原生自然環境保全地域は国内で5箇所しかなく、本州には大井川源流部原生自然環境保全地域のみです。

光岳やイザルガ岳は登山口および山頂までのアクセスが容易ではないため、他の山に比べ登山者は少ないです。静かな山歩きができる上に、希少な動植物や氷河地形を楽しむことができます。見どころがたくさんなのでじっくり時間をかけて歩きたいものです。

次回は茶臼岳・上河内岳について、お伝えします。