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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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日光国立公園 那須

27件の記事があります。

2021年09月21日【那須】 「アサギマダラの楽しみ方」

日光国立公園 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

今回は、「アサギマダラ」

アサギマダラは那須地域では夏に見られます。

9月中旬でも那須連山の稜線や那須平成の森などにも見られます。

アサギマダラは、タテハチョウ科アサギマダラ属の蝶。

アゲハチョウレベルの大きさがありますので、目立ちます。

色や模様は、ド派手ではありませんが、栗色をベースに、

薄青色(浅葱色:あさぎいろ)の透かし部分をあしらった、シックな蝶です。

(注:個人の感想です)

ヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラ

アサギマダラは、以前は、「夏の高原でたまに見かける珍しい蝶」という見方が一般的でした。

(注:個人の判断です)

ところが、しだいに全国の情報が集まると、

地域によって見られる季節が異なり

また必ずしも高原の蝶ではなかったのです。

(※今ではアサギマダラが集まる島として有名な姫島(大分県)では、

海岸にアサギマダラが密集するのですが、

このことを島の人が蝶の専門家に報告しても、

長らく信じてもらえなかったそうです。)

姫島では海岸のスナビキソウにアサギマダラが集結する

【渡り】

高原では、アサギマダラは夏に見られます。

しかし低地に多くのアサギマダラが見られる地域もあります。

また、姫島のように海岸に群れる地域もあります。

実はアサギマダラは、春は北上し、秋は南下する、

つまり '渡り' をしているのです。

成虫はおおよそ奄美諸島以南で越冬しますが、春に北上します。

関東以南の地域では幼虫が越冬しますが、これが羽化した成虫も北上に加わると思われます。

越冬虫のアサギマダラ幼虫(南房総市)

北上は温暖化の影響もあるのか、北海道を越え、樺太に達しているものもあるようです。

北上によってアサギマダラは日本各地で数を増やしていると考えられます。

夏は高原などの涼しい地域で過ごします。

お盆を過ぎる頃、南下します。

暑さを嫌う蝶なので、最初は高原を移動しますが、

秋の深まりとともに平地でも見られるようになります。

南は、沖縄諸島、先島諸島、さらに台湾に達することが、

マーキング調査によって確認されています。

【マーキング調査】

蝶の長距離移動というと、北米のオオカバマダラが有名です。

北はカナダまで分布しますが、秋には北米全域の蝶が南下し、

メキシコの山中のごく限られた地域の樹木に集まって

集団越冬することが知られています。

(※蝶の集合場所は他にもあることが知られています。)

大木の枝が折れるほどに密集する光景は、色々な番組等で紹介されています。

この移動の様子は、蝶に特殊なシールを貼ってマークし、

マークされた個体が再捕獲されることで明らかにされました。

これと似た方法で、アサギマダラの移動の様子が明らかにされてきています。

アサギマダラの場合は、特殊なシールがなくても、

サインペンさえあれば、このマーキングによる移動ルートの研究に参加できます。

アサギマダラには翅(はね)に透けた部分(この部分の鱗粉が極めて小さい)があり、

ここにサインペンで文字が書けます。

蝶を捕獲した人(標識者)は蝶を捕獲した地点の名称、日付、標識者、番号などを記入します。

MARU:丸沼(群馬県片品村)-記号は任意です-

8/27:標識日(8月27日)

ZEN:標識者固有記号(勝手に決めます)

02:通し番号(標識者の都合により決めます)

蝶が移動した場所で誰かがこの蝶を再捕獲すると、

蝶が長距離を移動したことが証明されます。

この調査に参加する人は年々増え、データも膨大なものになってきています。

自分が標識して放蝶した個体が、遙か遠方で見知らぬ人に再捕獲されて連絡が入る。

そしてそれは科学的に重要なデータとなる。

なんとロマンに満ちたことでしょう。

(私が日光湯元で標識した蝶が、与那国島で再捕獲されました。)

今、アサギマダラは全国で南下中!!

出会ったらよく観察してみてください。

そして翅に注目!!!

マークが付いていたら捕獲して記録(写真を撮るなど)。

インターネットで「アサギマダラ、マーキング」で検索すると、

連絡先が見つかります。

マークがなくても捕獲してマーキング!

再捕獲に期待!

アサギマダラの存在が、グググっと近くなります。

【タオルキャッチ】

アサギマダラの捕獲と言っても、捕虫網が必要です。

もし捕虫網がなかったら、白いタオルを振るように回してみましょう。

「なにそれ?」

そうです。変な話です。

でもやってみましょう!!

なぜか? なぜか? なぜか?

アサギマダラはあなたに向かってやってきます。

マーキング調査を行っている人は、

この方法で、空高く飛翔している蝶を呼び込んで捕獲します。

これを、「タオルキャッチ」といいます。

この行動は、移動期の蝶に強く見られるようです。

なぜこのような行動があるのか?

どんなメカニズムなのか?

よく分かっていません。

実は私はこの行動の研究をしていますが、かなり難問です。

タオルを使ったモデルにアタックするアサギマダラ

マーキングをしなくても、その優雅な羽ばたき、

群飛する光景、海を渡りきる強さ、大海原で方向を定める驚異の能力に魅せられて

写真を撮る人たちも集まります。

マーキングをする人、写真を撮る人は、

この渡りをする蝶を追って、今日も移動しています。

(私もその一人のようです。)

今度アサギマダラに逢ったら、「がんばれよ!」

と応援してやってください。

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2021年09月07日【那須】地衣類はじめてみませんか?

日光国立公園 那須 菅野敬雅

こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

那須高原ではすっかり秋めいた涼しい風が流れています。

さて、みなさんは"森林"と言えば、どのような風景を思い浮かべますか?

私の場合、林床をササで覆われたブナ林が真っ先に連想されます。

甲子地域(福島県側)では、赤面山を登っていく途中にブナ林が広がっています。

▲赤面山のブナ林(2020年6月2日撮影)

木の樹皮を覚えることはなかなか難しく感じられますが、ブナの独特のまだら模様は印象的です。

実はこの模様、ブナ単体のものではなく、様々な色の地衣類(やコケ植物)が樹皮に付着してできています。

▲ブナの樹皮(クリックで拡大してみてください!)

地衣類とは、菌類と藻類からなる共生体。

藻類は自身がつくる光合成産物を栄養として菌類に提供し、

菌類は自身の体を藻類に提供して乾燥や紫外線から守っています。

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那須湯本温泉の周辺では、この地域特有の地衣類がみられます。

それがこのイオウゴケ(硫黄苔)です。

▲イオウゴケ(小丸山園地にて2020年11月13日撮影)

見た目は小さなキノコ?

でも名前はコケ?

いいえ、イオウゴケも地衣類の仲間。

大きさは1~3cmほどで、その名の通り、硫黄質の火山地帯や温泉地などでみられます。

"マリリン・モンローの唇"にも例えられる赤い子器をつけることが特徴です。

火山性ガスを噴出する場所は、多くの生物にとって生息・生育に適さない過酷な環境です。

どうしてイオウゴケはそのような環境に適応することができたのでしょうか?

少し調べてみましたが、理由はわかりませんでした。気になります。

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一見すると地味な地衣類、

じっくり観察してみると形、色、模様が実に多様でおもしろいです。

▲地衣類いろいろ(クリックで拡大してみてください!)

 左:カブトゴケsp.(赤川渓谷線の散策路上にて2021年5月19日撮影)

 中:サルオガセ属sp.(沼原湿原の樹上にて2019年10月21日撮影)

 右:ロウソクゴケモドキ?(赤面山の岩にて2020年6月2日撮影)

地衣類はあまり目立たないので普段は見逃してしまいがちですが、

山や森だけでなく、街路樹の樹皮、土、石、コンクリートなど実は街なかでも見かけることができます

身近な場所をふらっと散歩しながら、地衣類の小さな世界を探してみるのも楽しいかもしれません。

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2021年05月14日【那須】令和3年度 那須高原におけるオオハンゴンソウ駆除活動計画

日光国立公園 那須 菅野敬雅

こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

令和3年度の那須管理官事務所で実施するオオハンゴンソウ駆除活動計画についてお知らせします。

活動の背景

那須高原地域では、過年度より特定外来生物であるオオハンゴンソウの侵入・生育が確認されてきました。オオハンゴンソウの侵入による影響として在来植生との競合が危惧されています。

那須管理官事務所では、平成21年度より那須高原地域においてオオハンゴンソウの駆除活動を地元ボランティアのご協力の元で実施しています。

 

▲特定外来生物オオハンゴンソウ       ▲駆除活動の様子

 ▲これまでの主な駆除活動場所

令和3年度活動予定

■定期活動(地元ボランティアのご協力の元行う駆除活動)

6/3(木)、6/17(木)、7/15(木)、8/12(木)※予備日は翌日

■その他活動

次の活動を予定しています。

・三斗小屋宿跡における駆除活動

・那須高原地域における生育状況調査

・他団体主催の駆除活動に講師として協力

・那須平成の森における帰化植物調査・駆除(業務委託により実施)

実施結果については今年度の活動終了後にご報告できればと思います。

長年の駆除活動により、場所によっては根絶が視野に入ってきたところもあります。粘り強く活動を継続し、那須高原の生態系保全に努めていきたいと思います。

◎特定外来生物については→http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html

◎オオハンゴンソウについては→http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/L-syo-03.html

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2021年05月11日【那須】つつじシーズン到来!

日光国立公園 那須 菅野敬雅

みなさんこんにちは!

日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

だんだんと気温も上がり、裾野から始まった新緑がようやく那須高原にも訪れようとしています。

さて、那須高原はこれからつつじの季節真っ盛り!

白・ピンク・紫・オレンジなどなど、色とりどりの花が目を楽しませてくれます。

ということで今回は、那須地域周辺で見られる「主なつつじの種類」と「おすすめスポット」をご紹介します!

■那須地域周辺で見られる「主なつつじの種類」

1. レンゲツツジ

今回紹介するツツジの中では最も花序が大きく、鮮やかなオレンジ色が目を引きます。

毒性を持ち、牛馬が食べるのを避けるため、かつての放牧地に群生していることがあります。

2. ヤマツツジ

濃い桃色の花序を咲かせ、日当たりのよい場所では葉が隠れるほど大量に花をつけることもあります。

那須街道から那須連山の中腹まで広範囲に分布し、見かけることが最も多いつつじです。

3. トウゴクミツバツツジ

今回紹介する中で最も早い時期に咲き、小振りで透明感のある紫色の花をつけます。

名前は関東地方(東国)に多く分布し、三つ葉をつけることに由来しています。

4. シロヤシオ(別名ゴヨウツツジ)

小振りで可憐な白い花をつけます。5枚の葉を輪生することから別名ゴヨウツツジとも呼ばれます。

敬宮愛子内親王のお印であり、那須平成の森のアイコン的な花でもあります。

葉が赤く縁取ることも特徴の一つです。

5. ムラサキヤシオツツジ

那須連山の山地に生え、小さくて濃い紫色の花を咲かせます。

シロヤシオやアカヤシオとともに、栃木県の県花「やしおつつじ」の一つに数えられます。

6. サラサドウダン

これまでのつつじと花の形は異なりますが、こちらもれっきとしたつつじの仲間。

1cmほどの鐘形の花を多数つりさげ、淡紅色と黄白色のグラデーションに紅色の縦筋があります。

濃い紅色に色づいた花をつけるベニサラサドウダンもみられます。

■那須地域周辺の「おすすめつつじスポット」

八方ヶ原(矢板市)

かつては放牧地で、現在はつつじの群生地として有名な八方ヶ原。

20万株のレンゲツツジが群生しています。

周辺の花の見ごろは5月から6月までと長い期間楽しめます。

八幡つつじ園地(那須町)

こちらもかつては放牧地で、ヤマツツジやレンゲツツジを中心とした群落が広がっています。

環境省指定の「かおり風景百選」にも選ばれています。

八幡崎からは那須野が原を見渡せ、つつじ吊橋からは茶臼岳を眺めることができます。

例年の見ごろは5月中旬から6月上旬まで。

那須平成の森(那須町) ホームページ:https://nasuheisei-f.jp/

森の散策路を歩きながら、シロヤシオやトウゴクミツバツツジ、サラサドウダンなど、様々な種類のつつじを眺めることができます。

例年の見ごろは5月中旬から6月上旬まで。

中の大倉山(那須町)

山頂付近にシロヤシオ群生地がみられます。

周辺は遊歩道が整備され、シロヤシオが開花する期間中はゴンドラも運行しています。

例年の見頃は5月中旬から下旬まで。

今年は例年と比べて気温が高く、開花期が早まっているようです。

例年の見頃の時期はご参考までに。

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2021年02月28日【那須】 冬那須

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

今回は冬の那須の姿を紹介します。

どのくらい寒いの?

雪はどうなの?

山は登れるの?

行くとこあるの?

那須は栃木県北部に位置しています。

茶臼岳を代表とした那須連山の裾野が広大な那須野ヶ原となっています。

那須管理官事務所は那須連山およびそれに連なる甲子地域を管理しています。

さらに南西に位置する塩原地域も那須管理官事務所の担当です。

甲子地域は福島県ですので、那須は関東と東北の境となります。

那須連山に登ると、北西方向には会津の町を間近に望むことができます。

<黒磯方面から望む那須連山>

那須管理官事務所(那須高原ビジターセンターの2階)は那須連山の東南麓にあり、

那須連山を間近に仰ぎ見る位置にあります。

<那須高原ビジターセンター(那須管理官事務所)と茶臼岳>

写真は2月撮影です。

雪は毎日のように降ったり、ちらついたりします。

積雪量は少ないですが、雪質はとても良く、パウダースノーとか、

アスピリンスノーなどというのでしょうか、寝転がっても濡れません。

強風がしばしば吹くので、雪が飛んでいってなくなったりします。

事務所の標高は900m近くあり、冬の朝の気温は基本的に零下と言っていいでしょう。

雪は積もっても天気になれば溶けてしまいますので、

事務所周辺は永く雪に埋もれることはありません。

しかし茶臼岳方面へ登って行くと、辺りは見る見る雪国になります。

数百メートル行けば積雪量の変化が実感でき、天気も変わります。

<茶臼岳の山頂は雪雲に覆われている-ビジターセンターより>

冬の間、多くの日はこんな感じ・・・

ビジターセンター(那須管理官事務所)は晴れていても、

山へ向かうと雪が舞い、やがてしっかり降ってきます。

もちろんスタッドレスタイヤでなければ走れません。

大丸園地から先の道路は、冬季は閉鎖されています。

12月中旬から3月下旬は、那須ロープウェイは運行していません。

冬の間那須の登山は、熟練した登山者のみにお任せです。

では冬の那須ではすることがないのか?

いえいえ、そんなことはありません。

え? 温泉・・・

それもそうですが、

それだけではありません。

雪の降った後、これが楽しみです。

<那須高原ビジターセンター駐車場>

色々な動物の足跡!!! ❤

動物が通った後を、アニマルトラックといいます。

そしてその後をたどって、彼らの生活を垣間見ることを

アニマルトラッキングといいます。

もちろん野生動物そのものを直に見たいですが、

このアニマルトラッキングもなかなか楽しいものです。

まず、誰の足跡なのか?

キツネ です。

このキツネはどう歩いた?

キツネは4本足だが、・・・・。

二足歩行? (※1)

こ、これは何だ!!??

リス です。

この足跡は、1本の木の下からはじまり、

ある場所で忽然と消えていました。

そこからどんな行動をとったのでしょうか???

いたー !!!


私は、テン と信じています❤❤❤

簡単なように思えますが、何の足跡なのか判断するのは結構難しいです。

何本指か? (※2)

爪の跡はあるか? (※3)

大きさは?

これらがヒントになります。

また、点々と続く足跡、どちらの方向に向かっているのか?

これは意外に難しいのです。

でも、野生動物がそこで何をしていたのかを想像することは

知的好奇心をかき立てます。

那須の雪は粉雪で濡れませんので、雪原での活動も楽しくできます。

那須では雪原でのアクティビティとして、

スノーシューやファットバイクなども用意されています。

これらと合わせてのアニマルトラッキングも良いでしょう。

どうぞ、この深遠な世界に入ってみましょう。

※1 動物は前足の足跡に後足を重ねるので、二足歩行に見えます。

※2 ネコ科は5本指(の足跡)、イヌ科は4本指(の足跡)。

     意外に了解していませんよね。 

   テンなどのイタチ科は5本指(の足跡)

※3 ネコは爪を引っ込めることができるので、爪の跡がつかないが、

   イヌは爪を引っ込めないので、爪の跡がつく。

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2021年02月24日【那須】冬、夜、森を歩く

日光国立公園 那須 菅野敬雅

 みなさんこんにちは!

 日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 先日、那須平成の森にて地元の宿泊施設の方等を対象とした『星空観望会とナイトスノーシューハイキング』のモニターツアーが行われました。

 私も記録兼補助係として参加してまいりましたので、その様子をお届けしたいと思います。

■星空観望会

 はじめに、ウッドデッキで星空観望。

 今回はイヤフォンガイドを用いたレクチャーが試みられました。那須平成の森のインタープリター(自然と人との橋渡し役のこと)による星空のお話が、送信機を通して参加者が装着するイヤフォンに届きます。

▲イヤフォン装着状況

▲当日の星空。オリオン座も写っています(クリックで拡大)

 天候に恵まれ、上空には満点の星空が広がっていました(写真で表現しきれず心苦しいですが...)。耳元から聞こえるインタープリターの穏やかな語り口に、参加者も集中して聞き入っているようでした。

■ナイトスノーシュー

 つづいて、真っ暗な森の中をスノーシューで散策します。

▲はじめに明るい館内でスノーシューの履き方を教わります。

 外でスノーシューを履き、明かりをつけずに雪の積もった森の歩道を歩いていきます。カメラで撮影してもただ真っ黒な写真が撮れるだけでしたが、暗闇に段々と慣れてくるにつれ、「明るい雪」に対して「暗い樹木」というように、明暗差で周囲の様子がわかるようになってきました。動物の目はよくできていますね。そして何より、見上げると木々の影から覗く星空が一段ときれいでした。星が瞬くとはこのことか、と実感させられます。

 視覚情報が減ったことで、他の感覚が鋭くなることも感じられました。暗闇の中、足元に雪があることだけは見てわかりますが、スノーシューで踏んでみて初めて「今日はさらさらした雪質なんだな」と足裏から感じ取れ、触覚が鋭くなっていることにはっとさせられました。

 散策するだけでなく、ろうそくを使った視覚の実験や一人で森の中を過ごすソロ体験を通して、冬の夜の森をたっぷり体感することができました。終わった後に参加者のお話を聞くと、「森に棲む動物たちに思いを馳せられた」、「途中ぶわっと強く吹いた風が木々の上空を通り過ぎていくのが感じられた」、「ほかの参加者の人影がまるで"雪男"のように見えた」など、実に様々な感想があったことが印象的で、人それぞれに異なる感性が刺激されたようでした。

▲散策から帰ってきました。フィールドセンターの明かりが目に入ったとき、大きな安心感を抱きました。自然への"おそれ"を感じられることも夜のプログラムの魅力かもしれません。

■お茶とお菓子のおもてなし

 散策から戻りフィールドセンターに入った途端、館内に充満する香ばしいコーヒーの香りが身体の中にすーっと入ってきました。プログラムの最後には、国際バリスタによる淹れたてのコーヒーと那須町のパティシエによるスイーツが振舞われました。寒い外気で冷やされた体によく沁みます。どうやら嗅覚と味覚も鋭くなっていたようです。

 

▲淹れたての熱々のコーヒーのふるまい

 五感が刺激される大満足の体験でした。参加者の方々からもご好評をいただきました!

 今回のモニターツアーを踏まえ、来年度以降の本格的な実施に向けて準備が進められます。また、那須平成の森では通常のナイトスノーシュープログラムもありますので、みなさんもぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。

●那須平成の森HP●

https://nasuheisei-f.jp/

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2021年01月20日【那須】 「箱庭山岳は絶景の嵐!」 付録(那須のネコ)

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

前回と前々回で、那須の最も基本的な登山ルートである、

ロープウェイ山頂駅発の茶臼岳・朝日岳登頂・茶臼岳周回線 を紹介しました。

今回はさらに、その周辺のある風景について、ディープな探索を紹介します。

なお、今回使用している写真はほとんど雪のない季節のものですが、

現在那須連山は積雪が有り、風がとても強いため、

冬山装備をしっかりした熟練した登山者でなければ登山はお勧めできません。

ロープウェイを使わずに、茶臼岳や朝日岳その他各登山コースを歩く場合、

ロープウェイ山麓駅からさらに登った先の、峠の茶屋登山口から登ります。

ここには駐車場が有り、車でここまで来て、登山を楽しむことができます。

登山道は茶臼岳の山肌を登りあげて、峰の茶屋跡避難小屋に続きます。

登山口付近は低木に覆われていますが、しだいに樹木の背丈は低くなり、

やがてまばらな草本類だけになって行きます。

森林が無くなるあたりで見上げると、茶臼岳の溶岩ドームが見えます。

ここからはこんな姿の山が見えます。

これは何でしょう?

猫耳です。

(私は最初にそう感じて、それ以外には見えなくなりました。)

向かって左側が、「ライトイヤー」。

向かって右側が、「レフトイヤー」。

(勝手に命名しました。この1年の間に、那須では「スナネコ」が人気になりました。

そのちょっと離れた左右の耳の位置関係に通じるところがある?)

さてこの猫耳、これまでに紹介してきた茶臼岳の溶岩ドームそのものなのですが、

全く形が違って見えています。

山は見る場所によって形が変わるものですが、この変わり様には驚きです。

「あの猫耳を近くで確認したい❤」と思い、

茶臼岳の巡視のたびにどの部分が猫耳なのかを探していました。

ところがこれが難物で、茶臼岳頂上を目指して登る途中では見当たりません。

茶臼岳頂上で見渡してもよく分かりません。

茶臼岳の頂上付近は少し移動するだけで風景が激変します。

10m先は別世界! 絶景の嵐なのです!!

それでも何とか猫耳を探します。

頂上からお釜(火口)を回って周回路に入ると、猫耳があるはずの直下を通りますが、

そこから見上げた光景はこうです。

これは確かにとんがっています。

ライトイヤーではないでしょうか。

しかしずいぶん荒々しいお耳です。

レフトイヤーはどこでしょうか?

・・・・・・・。

どうやら直下の歩道からはレフトイヤーは見えないようです。

では、他のピークから望むことができるでしょうか。

ありました!

隣の朝日岳から茶臼岳がよく見えます。

さらに拡大!

猫耳の位置が確認できました。

猫耳は溶岩ドームの中でも堅い溶岩の塊が残ったもののようです。

もっと近くで見たい!!

茶臼岳の頂上付近から見えないのか?

茶臼巡視のたびに気をつけて探していたところ、ようやく発見!!!

これがライトイヤーの先端です。

手前の山肌に隠れて、先端だけが見えています。

これは望遠レンズで撮影しています。

歩いていると他の溶岩と区別がつかず、気がつきません。

うーん、これだととても耳には見えません。

しかし、猫耳を近くで確認することができました。

残るはレフトイヤー。

これは来シーズンの宿題になりました。

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2021年01月15日【那須】センサーカメラが捉えた動物たちのすがた

日光国立公園 那須 菅野敬雅

こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

昨冬は少雪のため冬のアクティビティがほとんどできませんでしたが、今冬ようやくスノーシューデビューすることができてウキウキです。

▲冬のセンサーカメラのデータ回収はスノーシューで!

さて、今回は那須平成の森で実施している中型・大型哺乳類調査のお話の第4回目。

センサーカメラが捉えた、動物たちの興味深いすがたをご紹介します。

1.じゃれあうタヌキ

2匹のタヌキが向かい合ってフェイントのような動きを見せています。

遊んでいるところでしょうか?

2.キツネの帰り道

2019年の1月15日から7月18日まで、計26回も同じような経路をたどるキツネがいました。

5月5日の写真のように、ノウサギと思われる獲物を咥えていることも度々ありました!

3.ニホンジカの決闘

2頭のオスのニホンジカが激しく押し合っています!

押し合いはカメラが捉えただけでも10分間以上続きました。

この決闘の撮影日は2月。一般にニホンジカの繁殖期は9月下旬から11月とされていますが、オスたちの縄張り争いは真冬になっても続くのでしょうか...?

4.うとうとするニホンジカ

春の朝の木漏れ日の中、座り込んでうとうとしているニホンジカの様子です。

人間と同じように頭を重たそうにしている様がほほえましいです。

◎過去の日記はこちら

第1回:平成の森に生息している哺乳類たち

第2回:何頭いるかな?

第3回:増えすぎて困っています。

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2020年12月11日【那須】 箱庭山岳は絶景の嵐 後編

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

前回は那須の最も基本的な登山ルート、

ロープウェイ山頂駅発の茶臼岳・朝日岳登頂 の、前半を紹介しました。

(ロープウェイ山頂駅 - 茶臼岳山頂 - 峰の茶屋避難小屋 - 恵比須大黒)

今回は、《 恵比須大黒 - 朝日岳山頂 - 峰の茶屋避難小屋

        - 無間地獄 - 牛ヶ首 - ロープウェイ山頂駅 》

の区間を紹介します。

※ 写真は様々な季節のものを使用しています。

峰の茶屋避難小屋から朝日岳山頂に向かう途中は岩場が多く、注意が必要です。鎖場もあって、慣れない人にはやや不安かもしれませんが、慌てずにゆっくり進めば大丈夫です。

両手が十分使えるように身支度し、足回りなど装備はきちんと調えてください。

いくつかの岩場を渡るとやがて「朝日の肩」に出ます。

朝日岳頂上はもうすぐです。

         【 朝日の肩から朝日岳を望む 】

◎ 朝日岳は見る場所によって様々に姿を変えます。

いよいよ朝日岳山頂。ここに立つと、

北は 那須連山を望み、

西は 裏那須の山々、

南から東に 那須野ヶ原が広がり、

そして南隣には、

        【 茶臼岳 那須の盟主です 】

左手には広大な那須野ヶ原が広がっています。

ここから茶臼岳を見ると、溶岩ドームであることがよく分かります。

さて朝日岳を後にして、峰の茶屋避難小屋に戻り、そこから再び茶臼岳周回線に入って茶臼岳を一周します。

          【 茶臼岳の西側はトラバース道 】

茶臼岳の西側はとても崩れやすく、大雨の後は登山道のどこか数カ所様子が変わってしまいます。細かなメンテナンスの必要な歩道ですが、多くのボランティアの方々のお力で支えられています。

そんな厳しい環境の中でも、ガンコウランやウラジロタデ、ミヤマニンジンなどが生育し、季節ごとに彩り豊かな装飾をしてくれます。

        【 ミヤマニンジン 9月中旬 】

岩場に白い花が咲き、同時に果実が赤く色づいて、とても目を引きます。

※那須も含めた日光地域ではシラネニンジンが有名だと思いますが、茶臼岳周辺には、シラネニンジンによく似たミヤマニンジンもあります。ミヤマニンジンは花の白と果実の赤のコントラストが特徴のようで、私はとても気に入っています。是非、逢いに来てください。

トラバース道を進んで行くと、何やら白い煙が上がっているのが見えてきます。1881年(明治14年)の小噴火で形成された無間火口から上がる噴気です。

           【 無間(むげん)地獄(無間(むげん)火口) 】

火口形成以来、耐えることなく噴気をあげていて、その後も降灰を伴う微噴火を繰り返しています。(1963年の微噴火以降は、噴火は観測されていません。)

無間地獄に近づくと、ゴー、ゴッゴーという音が聞こえてきます。強い硫黄の臭いもしてきます。まさに自分が活火山の上に身を置いていることを実感します。噴気は、茶臼岳のあちこちで見られます。

無間地獄を過ぎると、右手下に平らな所が広がっているのが見えてきます。姥ヶ(うばが)(だいら)です。ここは紅葉の名所として有名です。

           【 姥ヶ平 10月初旬 】

紅葉の時期には人の渋滞が発生します。ロープウェイの駐車場への道も渋滞しますので、ご注意ください。

姥ヶ坂の入り口を過ぎるとすぐに牛ヶ首に着きます。ここはミネザクラの群落のある日の出平への分岐になりますが、今回はそちらへは行かず、ロープウェイ山頂駅方向に向かいます。

やや起伏のあるトラバース道を進みます。左手には茶臼岳の溶岩ドームが様々な様相に変化し、右手には那須野ヶ原が次第に広がって見えてきます。

この道の途中で仰ぎ見る茶臼岳のドーム、この姿に私は畏怖の念を感じます。

山の、自然の経歴の前にあって、人の知識・経験の至らなさ感じる場です。

トラバース道はやがて茶臼岳山頂に向かう歩道に合流して周回路一周が終わります。ここからロープウェイ山頂駅に戻っておよそ半日の登山終了です。

どうでしょう。絶景でお腹いっぱいになりましたか?

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2020年12月03日【那須】那須高原におけるオオハンゴンソウ駆除活動結果報告

日光国立公園 菅野敬雅

 こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 令和2年度に那須管理官事務所で実施しましたオオハンゴンソウ駆除活動の結果についてご報告いたします。

■活動の背景

 那須高原地域では、過年度より特定外来生物であるオオハンゴンソウの侵入・生育が確認されてきました。オオハンゴンソウの侵入による影響として在来植生との競合が危惧されています。

 那須管理官事務所では、平成21年度より那須高原地域においてオオハンゴンソウの駆除活動を地元ボランティアの協力のもとで実施しています。

 

▲特定外来生物オオハンゴンソウ         ▲大丸浄水施設における駆除活動の様子(R2/6/4撮影)

■令和2年度活動結果

①定期活動(地元ボランティアの協力のもと行う駆除活動)

 今年度の定期活動は計5回(6/4、6/18、7/16、8/20、9/10)実施し、合計参加者数49名、合計駆除数4183本でした。活動場所と経年駆除実績は以下のとおりです。

▲主な駆除活動場所

▼経年駆除実績

②三斗小屋宿跡での駆除活動(那須塩原市環境課と共同で実施)

 平成27年度より那須塩原市指定の史跡である三斗小屋宿跡において、オオハンゴンソウの駆除活動を実施しています。今年度は感染症対策のため規模を縮小して8/7に実施しました。

 この場所ではオオハンゴンソウが大群落を形成しており、抜き取りによる駆除が難しいことから、刈払機を用いて刈り取りを行っています。刈り取りは草丈や種子生産を抑制する効果がある一方、個体数の減少には繋がりづらいため、今後どのように駆除を行っていくかが課題となっています。

▲三斗小屋宿跡における駆除活動の様子(R2/8/7撮影)

③他団体への活動協力

 8/2に実施された那須高原ビジターセンター主催の「那須染めワークショップ~オオハンゴンソウでトートバックを染めよう~」に協力し、外来生物についてのレクチャーを行いました。

 8/6に県立那須高等学校による八幡つつじ園地における駆除活動に参加しました。また、7/21には高校生に外来生物についての事前レクチャーを行いました。

 

▲オオハンゴンソウを用いた那須染め       ▲高校生への事前レクチャーの様子

 今後も粘り強く活動を継続し、那須高原の生態系保全に努めていきたいと思います。

 那須管理官事務所では、令和3年度のオオハンゴンソウ駆除活動にご協力いただける地元ボランティアを随時募集しております。お気軽に那須管理官事務所(0287-76-7512)担当菅野までお問合せください。

○令和2年度活動計画についてはこちら

◎特定外来生物についてはこちら

◎オオハンゴンソウについてはこちら

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