ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年08月06日鳳凰三山 地蔵ヶ岳の巡視に行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月中旬に鳳凰三山の1つ、地蔵ヶ岳のニホンジカ被害状況の確認に行ってきました。

鳳凰三山は観音岳(2,841m)をはじめとする、薬師岳(2,780m)、地蔵ヶ岳(2,764m)から成る山で、日本百名山、山梨百名山に選出されています。鳳凰三山登山の歴史は古く、平安時代には修験者が登山しており、信仰の山としても古くから多くの人々に親しまれています。また、高山植物の種類も豊富で、鳳凰三山にしか咲かない「ホウオウシャジン」があります。

今回のルートは御座石温泉-鳳凰小屋(泊)-地蔵ヶ岳の往復で、このルートは標高が上がるにつれて花崗岩の白い地質がみられるようになるとともに、樹林帯から高山帯へと植生が移り、変化に富んでいます。

今回の記事では、確認されたニホンジカの被害状況をお伝えしようと思います。

歩き始めて10分ほど。さっそく樹皮剥ぎを見つけました。

つるつるなので、比較的新しいものです。

コメツガやミズナラやカツラなどいろいろな種類の樹木がある中、一際、樹皮剥ぎが目立った樹木は『リョウブ』でした。


白い小さな花を付け、樹皮はヒメシャラやナツツバキに似ています。剥がれやすく、柔らかいのでニホンジカにとって食べやすい樹皮のようです。樹皮剥ぎされた樹木はやがて枯れてしまいます。枯れて、根に元気がなくなり保水力が保てなくなると、大規模な土壌流出や台風等で倒木する恐れがあります。鳳凰三山は標高が高くなると崩れやすい花崗岩の砂地に覆われるので、ニホンジカの食害による土壌流出がとても心配です。

人間の出入りが多い小屋の周辺でもシカ害が見られました。

△シラビソの食害

テント場で確認されたものです。茎はあっても、新芽の部分は食べられてしまい、開花しない(できない)花も見られました。

△小屋前の食害

この写真は御座石温泉と青木鉱泉の分岐付近です。以前はこの場所にクルマユリやヤナギランが咲いていましたが、ニホンジカの被害に遇い消失。今では芝刈り機で刈ったような草地になっています。小屋のスタッフによると、小屋の目の前までニホンジカがきて植物を食べてしまっている状況とのこと。柵をせず自然体のままでは食べられてしまう、という状況になってしまっていることが非常に悲しいです。

樹皮剥ぎや小屋周辺の食害は約1,300m2,400mで地点でみられますが、標高を上げて2,700m地点に来ると、足跡があったり糞が落ちていたり。


足跡も大きいものから少し小さいものまで。2,700m付近で生活している個体がいるようです。

今回は個体そのものに出会うことはできませんでしたが、各地点でニホンジカの被害が確認されました。鳳凰三山でニホンジカ対策に取り組んでいる関係機関のデータによると、年々定点カメラでの撮影枚数も増加しているようです。鳳凰三山の素晴らしい植生、景観を守るために、今できることを探していこうと思います。

次回はニホンジカの被害に負けずに咲いている高山植物の様子をお伝えしようと思います。お楽しみに!

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