ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2018年07月27日孤高のメストキ

佐渡 近藤陽子

 皆様、こんにちは。


▲佐渡市羽茂大崎

 全国的に猛暑が続いていますが、新潟県佐渡市も、本州より涼しいとはいえ、日中30℃を越える日が続いています。

 本格的な夏を迎え、佐渡のトキたちの間では繁殖期が終わり、ペアでの行動から群れの行動へと変わりつつあります。


▲群れで採餌するトキたち(佐渡市金井地区)


 多くのトキが群れを形成し始めている中、単独行動を貫く5歳のメスのトキがいます。

彼女の名前は、個体番号264。(※職員は「にーろくよん」と呼んでいます)

今月、264はなんと、佐渡島から直線距離にして約200㎞も離れた長野県安曇野市で確認されました。


▲2016年12月4日 佐渡市で撮影された264。関節上のカラーリング「オレンジ・青」が見えます。


 264は、佐渡で暮らしている時から、変わった行動をすることで(職員の間で)有名なトキでした。

彼女は、基本的に単独行動。

トキの群れがいない地域で自由気ままに生活していました。

佐渡にいるトキは、屋根や電柱・電線など、人工物にとまることはほとんどありません。

でも、264の定位置は電柱でした。

ねぐらも佐渡の集落内の電柱でとっていたこともあります。


▲電線にとまり羽繕いする264

 1羽で行動しているトキは、群れで行動しているトキよりも警戒心が強く、人や車が近付けば、すぐに飛び立ってしまいます。しかし、264は道路沿いの電柱にとまり、車が下を通過するのも気にせず羽繕いをしていることもありました。

 思えば、264は、多くのトキが生息する佐渡島中央の平野部ではなく、海岸線沿いを転々と移動しながら生活していました。本州へ飛び立つ日を見計らっていたのかもしれません。


▲海の見える水田で採餌するNo.264とB07。264が珍しくトキと一緒にいます。

 264が佐渡を飛び立ち、本州で確認されたのは実は、2018年3月のこと。初めは石川県珠洲市で確認されていましたが、珠洲市から徐々に南下して行き、石川県白石市(4月)、長野県塩尻市(5・6月)、そして今月に入って、長野県安曇野市で確認されました。安曇野市でトキが確認されたのは、今回が初めてです。

 トキだけに限らず多くの鳥類で、メスや若い個体は広範囲を移動することが知られています。本州で過去に確認された識別可能なトキ(足環が装着されているトキ)19羽中、17羽がメス、2羽が1歳未満の若いオスでした。メスに関しては、より良いオスを求めて繁殖期に広く移動すると考えられています。

 今後もいろいろと初記録を出していくのか。264が放鳥された日から見守る佐渡のトキ関係者は、本州へ渡り、1羽で生活している264を心配しつつも、彼女が今後どういう動きをするのか、期待を込めて注目しています。

 もし、本州でトキを見かけたら。

ゆっくり安心してエサを取り、ねぐらでしっかり休息できるように。

離れた場所から静かに見守ってあげてください。

孤高のメストキ、264。どうか無事で。

本州の皆様、264をよろしくお願いします。

トキ観察ガイドライン「トキのみかた」

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