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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

マメザクラとカエル合戦 (箱根地域)

2020年04月17日
富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

今回は、箱根ビジターセンター周辺の自然情報を紹介します。

【箱根ビジターセンターはここ】 → http://hakonevc.sunnyday.jp/access.html

観光スポットの元箱根や箱根神社から、車で15分程度の「湖尻」という地域にあります。

箱根の自然に触れたい方々には、「湖尻」まで足を伸ばすことをおすすめします。

4月、箱根や富士周辺に自生する桜、「マメザクラ」が咲き始めました。花の付き方が独特で、1輪ずつのかわいらしい花が枝に下向きで付いています。下から見上げると、桜花1輪1輪が、すべてこちらを向いてくれます。また、遠目に見ると、霧のような、粉雪のような、周囲に溶け込む美しい桜です。

こんなマメザクラを楽しみながら、ビジターセンターから徒歩10分程度で「野鳥の森」に到着します。

ここには、小さな池があり、野鳥観察小屋から小鳥たちの水浴びなどを観察できるポイントです。

まだ寒い2月、この池ではヤマアカガエルの産卵が観察されました。

カエルといえば、春まで冬眠するのが一般的ですが、ヤマアカガエルはこの寒い時期に一度目を覚まし、ほかのどのカエルたちより早く産卵を行います。今年の3月にはオタマジャクシがこの池に大発生し、びっくりするような状態でした。そんな池で、4月3日、たまたま近くを通ると、たくさんのカエルの声がするではありませんか。

なんと、アズマヒキガエルが繁殖行動の最中でした。

数日後、また見に行くと、立派なチューブ状のアズマヒキガエルの卵が確認できました。

無事成長することを祈り、しばらく観察を行っていきましたが、事件が起こります。

ヤマアカガエルのオタマジャクシが、卵を食べているではありませんか!

自然界は厳しいですね。

生存競争を目の当たりにし、驚きつつも、2月に厳しい環境の中卵を産むヤマアカガエルのたくましさが感じられた出来事でした。2種類のカエルが過酷な生存競争を繰り広げた隣では、メジロたちが平和に水浴びをしています。春の水辺は、生物たちが活性化しています。