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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

日光パークボランティア第3回研修会

2023年10月25日
日光 鈴木研司
10月22日(日)に日光パークボランティア(以下NPV)の研修会を行いました。NPVでは年間3回の研修会を実施しており、今回は日頃活動する地域を離れ同じ日光国立公園内にある鬼怒川の龍王峡にて、龍王峡の地質、地形、岩石について研修し、日光国立公園の自然に対する理解を深めることと、紅葉が始まり出した龍王峡を堪能することを目的として行いました。

集合場所の龍王峡駅前の駐車場です。
龍王峡は、約2000万年前の地殻変動による火山活動で形成された地域です。その活動の様子が鬼怒川沿いの約2kmの遊歩道を歩くことで知ることができます。峡谷を作る岩石の色の変化をもとに、下流から白龍峡、青龍峡、紫龍峡と名称がつけられています。


 
白龍峡です。虹見橋からの景観です。
流紋岩が主体のため全体に白く見えます。鬼怒川の浸食により削られ切り立った流紋岩の岩肌と、河原に広がる岩石が白龍をイメージさせます。

虹見橋上のNPVの皆さんです。説明を聞き熱心にメモを取るNPVの皆さんの様子です。


研修中の遊歩道の途中にあるモリアオガエルの説明看板です。
随分と汚れています。このような看板の清掃もNPVの大事な仕事です。使い慣れた道具を出し、看板の清掃をしていただきました。

掃除の結果大変読みやすくなりました。


青龍峡です。ムササビ橋から上流側を見ています。
橋の周辺はまだ流紋岩が分布しており白龍峡の範囲ですが、橋から見える峡谷の少し奥の方には緑色凝灰岩が見られます。緑色凝灰岩の色から青龍峡と呼ばれるようになりました。この緑色凝灰岩ですが、栃木県宇都宮市の大谷で採石される「大谷石」と言えばご存じの方も多いと思います。

 
遊歩道には、直接触れられる場所に柱状節理も見られます。
火山から流れ出した溶岩が作り出す自然の造形美。この岩石はこの地域に貫入岩(岩脈)として多数見られる玢岩(ヒンガン)です。NPVの皆さんからも「なぜこのような形になるのか?」質問が出てきます。


紫龍峡です。龍王峡最上流の峡谷です。
安山岩による峡谷の様子は下流のものとは異なり、紫色の安山岩が露出した深いⅤ字谷の谷底を急流が流れていきます。川幅も狭くなり岩石の違いが景観の違いを作り出すことが良く分かります。

 僅か2kmの間に景観も岩石も変化する龍王峡。地質、地形、火山、岩石を楽しめる様々なものが凝縮された関東でも屈指の峡谷です。何よりも遊歩道が整備されていて歩きやすく、その途中にはお茶屋さんときれいなトイレもありのんびり休憩もできます。鬼怒川、川治へおいでの際には是非雄大な峡谷美を眺め、岩石に触れ地球の歴史を感じてください。NPVの皆さんからも満足の声をいただきました。残念だったことは、紅葉には少々早かったことでしょうか。11月第一週頃から紅葉も一段と深みを増すのではないでしょうか。