アクティブ・レンジャー関東地区

【小笠原】グリーンアノールにご注意を!

2022年08月16日
小笠原 鈴木尚之
こんにちは。小笠原の鈴木です。
皆さんペルセウス座流星群は見ることができましたか?小笠原は近海で台風が発生したものの当日は快晴で、(ほぼ)満月に、海へかえる子ガメとグッドコンディションでした。
ただ、明るすぎたのか流れ星は見えませんでした。
 
さて、皆さんはグリーンアノールという生き物をご存じでしょうか?
グリーンアノールは最大で15cmほどに成長するアメリカ南東部原産のイグアナ科の爬虫類です。
別名アメリカカメレオンとも呼ばれ、体色は緑色の時もあれば茶色の時もあります。
小笠原へはペットとして連れてきたものが逃げ出したとも、積み荷に紛れてやってきたとも言われていて、捕食者の少ない小笠原ではほぼ敵無しの困った外来種です。
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△グリーンアノール(右上)とオガサワラトカゲ(左下)  固有種のオガサワラトカゲはグリーンアノールと比べて体が小さいため、競合に負けてしまっているようです。
そんなグリーンアノールは、捕食されることが少ない一方で昆虫やクモなどをどんどん捕食してしまう為、小笠原固有の昆虫やクモはどんどん数を減らしています。
また、捕食によってポリネーター(送粉者)がいなくなることで植物の繁殖にも悪影響を及ぼしているのではないかと考えられています。
主に粘着トラップによる捕獲や柵による生息域の拡大阻止を行っていて、年間で6万匹以上のグリーンアノールが捕獲されています。

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△捕食するアノール
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△捕獲されたアノール
最近、観光で来られたときにアノールを捕まえてくださる方もいらっしゃいますが、グリーンアノールは特定外来生物に指定されているため、生きたまま運搬することは法で禁止されています。(詳しくはこちら
また、サルモネラ菌などを保菌している個体もいるため、不用意に触ったり、噛まれたりすると感染症に罹る可能性もあります。 (発熱や腹痛、嘔吐など様々な症状が引き起こされるようで、仕事中に指を噛まれた職員が感染したこともあります)

折角の小笠原旅行で病気に罹って寝込むのはあまりにも残念 😔
もし見つけても基本的には触れないようにしてください。
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△兄島見返山から望んだ乾性低木林  小さな昆虫たちが居るからこそ残っている風景です
小笠原 鈴木