アクティブ・レンジャー関東地区

しもつけの国(栃木県)はシモツケの花でいっぱいです。

【那須】「しもつけの国はシモツケの国」

2022年09月01日
那須 善養寺聡彦
みなさま、こんにちは。
日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

日光国立公園はそのほとんどのエリアが栃木県になります。
栃木県は、しもつけの国(下野国)。
古代北関東は、けのくに(毛野国)とされ、これが後に、
かみつけの(上毛野)国 ―― 現 群馬県 と
しもつけの(下毛野)国 ―― 現 栃木県 に分けられたようです。

 ※栃木県の北部に位置する那須は毛野国とは別だったようですが、
   後に、下毛野国に組み入れられたようです。

時代と共に両毛野国は様々に呼び名が付され、
  (群馬県:上野国、上毛、上州; 栃木県:下野国、野州)
「毛」の文字は必ずしも入らなくなりました。
それでも、高崎(群馬県)- 小山(栃木県)を結ぶ鉄道が「両毛線」と呼ばれるように、
両地域に毛野国としての文化が受け継がれていることがわかります。

さて今回は、下野でよく出会うシモツケに目を向けてみます。
この花をご存じでしょうか?


「シモツケ」 です。

バラ科 シモツケソウ属
最初に栃木県で発見されたことから命名されました。
本州、四国、九州、また海岸から山地まで広く分布していますが、
全国的にはやや希な植物とされています。

しかしここ「しもつけの国」(下野国)では、 とても目につく花です。
なるほど! シモツケ!
やっぱり! シモツケ! と感じている次第です。
特に日光国立公園ではシモツケは目立ちます。

そして、シモツケには近縁の植物があり、
その種類数も量も下野国には多いのではないかと思います。


アカバナシモツケソウ です。


なんとも、「おぼろげ」な、雲のようなところが印象的です。
栃木県の山地ではとても目立ちます。

この大型のシモツケソウもあります。


オニシモツケ

沢沿いの登山道などに見られます。
白花のものが多いのですが、白っぽいピンクの個体もあります。


マルバシモツケ

茶臼岳を代表する花の一つです。
まだ土壌もないガレ場に島状の群落をつくって咲き誇ります。


7月、荒々しい茶臼の溶岩ドームを「緑と白」が飾ります。

そして変わり種、


ホザキシモツケ

この花は奥日光戦場ヶ原にはとても多く、目立ちます。
しかし他ではほとんど見られません。
北海道では普通に見られるようですが、
本州では奥日光と霧ヶ峰(長野県)に限られるそうです。

さすが下野国、 ホザキシモツケもカバーしていました。

その土地の名を冠した花があり、しかもシリーズで。
そしてまさにその土地を代表する植物群となっている。

「シモツケ」・・・。 もう覚えましたね♥