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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園

129件の記事があります。

2020年10月30日【小笠原】高校兄島授業

小笠原国立公園 玉井徹

こんにちは

秋晴れが気持ちいい小笠原です。(最高気温27度前後)

先日、小笠原高校で授業を行いました。

テーマは「世界自然遺産・兄島」

兄島は、父島のわずか500mほど北に位置する無人島で

その最大の特徴は、小笠原諸島最大の乾性低木林にあります。

そこには陸産貝類をはじめ多くの固有種が生息しています。

環境省では兄島で様々な保全対策を行っており、業務では最もよく行く島です。

(何回行ったかわからないくらい・・・)

しかし、実はほとんどの人は兄島に行く機会があまりないんです。

というのも、ほぼ全域が様々な保護地域に指定され、

遊歩道なども無く、入林には許可が必要だからです。(海岸部への上陸はOkay)

"近くて遠い島"といったところでしょうか。

そのなかで、小笠原高校の1年生は授業の一環として毎年兄島で実習を行います。

兄島は世界自然遺産の核心地域であり、様々な取り組みが行われているため

事前に関係機関から、兄島にまつわる様々な授業を受けるプログラムとなっています。

環境省からは、グリーンアノール対策を中心に

兄島の世界自然遺産の価値と、外来種から守る取り組みを紹介しました。

兄島の一体何がすごいのか?どうして多くの取り組みが行われているのか?

伝えたいことは色々ありますが、

一番はやっぱり自然に興味を持ってもらいたいということ。

授業を通して、実際に兄島に行った時に

"近くの島にこんなに自然が残っているんだ、"

"知らないところでこんなことが行われているんだなぁ"

"地元の素晴らしい自然に改めて気づいた!"

といったような、新しい発見につながってほしいと思います。

玉井

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2020年10月16日【小笠原】森の中のマイマイ

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。小笠原の坂田です。

海は温かいですが、風が冷たくなり,秋を感じるようになってきました。

台風が連れてくる恵みの雨で山の中はしっとり。キノコにとっては最高の時期ですね!!

▲休日に見つけたソライロタケ

さて、小笠原には固有のマイマイ(カタツムリ)がいますが、父島ではニューギニアヤリガタリクウズムシやネズミといった外来種によって、その生息地はごく限られた場所のみとなり、そこでも個体数が減少しています。

小笠原のマイマイたちを守る事業として、小笠原の世界遺産センターでは6種類のマイマイを飼育し、別の場所でも屋外飼育などを行い、個体群再生を進めている真っ最中!!

ということで、屋外の飼育場所として使われている施設に行って作業してきました。

▲マイマイの屋外飼育施設

森の中を歩いて行くと急に現れる屋外飼育施設。

"マイマイはどこにいるのかな~"ワクワクしますね♪

▲マイマイの個体確認中

何匹いるか?死んでいる個体はいないか?大人になっている個体はいないか?この中をくまなくチェックします!!

▲ふ化個体確認後、卵の回収・状態確認作業中

ちょっとの刺激で壊れてしまうから慎重に・・・・

ここにいたのはナンバンマイマイ科のアナカタマイマイ。

土の上や木の上で生活している半樹上性で、臍孔【さいこう】(マイマイの殻の裏にあるヘソのような穴)があり、少し平たいのが特徴の小笠原固有のマイマイです。

今回私たちが行ったのはマイマイの個体確認、エサの補充、ふ化個体の確認等の作業。

その他にもここでは、個体群再生に向けて多くの作業・調査が行われています。

小笠原が世界遺産に登録されることとなった理由の一つでもある固有のマイマイが父島でも身近に見られるようになれば良いなと願うばかりです。

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2020年10月05日【小笠原】下を向いて歩こう!!

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。小笠原の坂田です。

小笠原に来てから雨に降られることが少なかったように感じますが、最近ではお天気の良い日でも一時的に雨が降ることも増えています。

小笠原の植物にとっては恵みの雨ですね~♪

私にとっても休日の森歩きという楽しみが増えています!!

▲休日に見つけた粘菌

自然豊かな小笠原では、何気なく歩いている道沿いでも固有種を楽しむことができます。今回は林内でみられる固有種の中でもその存在が気付かれにくい植物をご紹介したいと思います!!

▲イワホウライシダ/イノモトソウ科/ホウライシダ属

谷筋の水分を含んでいる崖地を好むのがこちらのイワホウライシダです。

私が見つけたイワホウライシダも沢近くで常に周囲が湿っている、日陰が多い場所にひっそりと生えていました。

花が咲くわけではありませんが、薄い葉が集まり、ひらひらしているなんともいえないこのフォルム♪かわいいですね~

小笠原諸島の中でも兄島・母島に局地的に生息していますが、父島でもみられるようになったといわれています。

環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU) という絶滅の危険が増大している種に指定されています。

▲ムニンエダウチホングウシダ/ホングウシダ科/ホングウシダ属

山地の林床に生えているこちらは、ムニンエダウチホングウシダです。

葉の光沢が強い特徴があり、遊歩道沿いを歩いているとつやつやした葉の緑色が綺麗で癒し効果抜群です!!

小笠原諸島の中では、父島・兄島・弟島・母島に生息していて、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ種(VU)に指定されています。

林内を歩いていると季節の花々や美しい色のアカガシラカラスバトに目がいきがちですが、見落としやすい足下に注目すると新しい固有種との出会いが楽しめます。

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2020年09月30日【小笠原】旅立ちの季節

小笠原国立公園 近藤希

こんにちは。小笠原の近藤です。

夕日の時間がどんどん早くなっていき、夕方には涼しい風が心地よくなってきました。

まだ暑いですが少しずつ秋を感じています。

みなさんはハンミョウという昆虫を知っていますか?

ハンミョウは肉食の甲虫で、ここ小笠原諸島には固有のオガサワラハンミョウが生息しています。

かつては兄島と父島で生息が確認されていましたが、現在は兄島の限られた地域でしか

生息が確認されなくなってしまいました。

私たちの働く世界遺産センター内では、このオガサワラハンミョウを飼育しており

先日この飼育していた個体を兄島に移殖してきました!

オガサワラハンミョウは、この写真のような裸地を好みます。

ですが、ハンミョウの生息に適した裸地は外来植物によって近年減少してきています。

特にモクマオウという外来植物は、ハンミョウの巣穴をその落葉で覆い隠してしまいます。

これによって生育環境が悪化し、個体数が減る大きな要因となっています。

というのも、ハンミョウの幼虫は地面に巣穴を掘り、地表を歩く小さな生き物を待ち伏せして捕食します。

なので巣穴が落葉で覆われてしまうと、餌がとれなくなってしまうのです。

本当に繊細ですね・・・思わぬことが、ある種を脅かす要因になることを実感しました。

▲ハンミョウの巣穴がモクマオウの落葉に覆われている様子。赤丸がハンミョウの巣穴。

さて、移植を行う裸地では、地面に遺産センター育ちのハンミョウの入ったケースを並べて準備完了。

しばしケースの中から外を観察させて新しい環境に慣らし、時間になったら一斉に蓋を開けます。

蓋を開けると、すぐに外に出て行くハンミョウもいましたが、やはりいつもと違う環境に

驚いているのかしばらくケースの中でじっとしているハンミョウもいました。


※飼育個体であることを判別できるようにマーカーをつけています。

ですが、しばらくすると・・・

おそるおそるだったり、元気よく飛んでいったり、各々が無事に兄島の地へ旅立っていきました。

遺産センターで育てられた彼らが無事に新しい場所で卵を産み、

またその子供達も元気に育っていくことを願います。

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2020年09月04日【小笠原】Buteoを探して

小笠原国立公園 小笠原 鈴木尚之

【小笠原】Buteoを探して

こんにちは!小笠原の鈴木です。

私が来島した6月頃と比べると、日が暮れるのが随分早くなったような気がし、秋の訪れを感じます。

先週、8月中旬に父島で保護されたオガサワラノスリの放鳥を行い、その個体の巡視を1週間にわたって実施していました。

【オガサワラノスリ(幼鳥)】

巡視は放鳥を行った地域を中心に実施したのですが、見つからない。

オガサワラノスリを見つけてもかなり遠くにいて放鳥した個体かどうか識別ができなかったり、巡視を始めた途端に大雨が降りはじめたりと大苦戦。

結局、最終日まで放鳥した個体を見つけることはできず、元から簡単なことではないと分かっているつもりだった、大自然の中で1個体を探すことの難しさに気づかされました。

ちなみに放鳥したオガサワラノスリですが、放鳥後しばらくはその場にとどまっていたものの、数時間後には遠くへ飛んでいったようなので、すでに人目につかない場所まで移動していたのかもしれません。

いつの日か元気に小笠原の空を飛び回っている姿を見つけたいと思います。

【オガサワラノスリ Buteo buteo toyoshimai

小笠原で繁殖が確認されている唯一の猛禽類で年間を通して父島と母島どちらの有人島でも見ることができる小笠原の固有亜種です。

父島では比較的簡単に見ることができるオガサワラノスリですが、生息範囲が狭小なため個体数が少なく、国内希少野生動植物種に指定さています。

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2020年08月28日【小笠原】夏に咲く涼しげな花

小笠原国立公園 小笠原 近藤希

みなさん、こんにちは。小笠原の近藤です。

内地では連日記録的な暑さが続いているようですね。

小笠原も暑い日が続いており、毎日アイスが欠かせません。

さて、今回は先日巡視を行ったこちらの植物をご紹介したいと思います。

白い4枚の花びらが特徴的なこの花は、「ムニンノボタン」です。可憐な感じが可愛らしいですね。

まれに花びらが5枚の場合もあるそうです。いつか見つけてみたいと思います。

▲ムニンノボタン -ノボタン科ノボタン属-

父島だけに生息する固有種で、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠA類に入っています。

絶滅危惧ⅠA類は「ごく近い将来における野生での絶滅の可能性が極めて高いもの」をいいます。

絶滅から守るため、種の保存法に基づく保護増殖事業※の対象にもなっています。

生育地は、林縁や台風で大木が倒れるなどして光が差し込むようになったギャップと言われる場所です。

夏のギャップでの巡視は人間には暑いです・・・

▲ムニンノボタンの生育地

ちなみに、母島にはハハジマノボタンが、北硫黄島にはイオウノボタンがあります。

ハハジマノボタンの花びらは淡い赤紫色、イオウノボタンは紫色だそうです。

どちらもムニンノボタンより花びらは一枚多く、5枚です。

次回母島でハハジマノボタンの花に出会えたら、またアクティブレンジャー日記でお伝えします。

▲巡視した夜明山から見た景色。暑さも吹き飛びます

※保護増殖事業とは

国内希少野生動植物種のうち、その個体の繁殖の促進、生息地の整備等の事業の推進をする必要がある場合は、保護増殖事業計画を策定し、実施しています。

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2020年08月01日【小笠原】大きく育つかな? 

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。小笠原の坂田です。

こちらでは夏本番に突入して海の美しさが際立ってきました!!

さて、今回紹介するのはこちらです!!

木の棒?・・・が土に刺さっている・・・

写真だけを見ているとなんだかよくわかりませんね。

これは以前日記でも紹介した、小笠原世界遺産センターで育てているオオバシマムラサキのうち、今月新たに挿し木した子たちです!!

(前回の記事 http://kanto.env.go.jp/blog/2020/05/post-868.html)

今はまだ葉もないですが・・・

半年後にはきっと青々とした美しい葉をつけてくれるはず!!

<半年前に植えたオオバシマムラサキの挿し木>

先週、遺産センターで大きくなったオオバシマムラサキの一部が、本州で飼育しているオガサワラシジミのために本土へと搬送されていきました。

寂しいような、誇らしいような、子どもを送り出す親心のようですね。

今回植えた子たちも順調に育ってくれるといいな~と思いながら見守る日々です。

~お知らせ~

現在小笠原世界遺産遺産センターでは小笠原国立公園展を開催しています。

  

お越しの際は最新情報をご確認いただき、感染症対策をしっかりと行ったうえで、是非お立ち寄りください!!

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2020年07月27日【小笠原】感動のご対面@母島

小笠原国立公園 小笠原 近藤希

ついにこの子達に出会ってしまいました・・・!!

その名も「オガサワラオカモノアラガイ」です。

ゼリー状でナメクジに似た見た目をしていますが、カタツムリなのです。

木の上で暮らしているカタツムリで、標高の高い湿った林内にいたために

このように殻が小さく進化しました。

▲オガサワラオカモノアラガイが暮らす湿性高木林@母島石門

この日は天気が悪く、土砂降りの雨が降った後の林内はオガサワラオカモノアラガイのパラダイスでした。

心なしか雨が降って嬉しそうに見えるような・・・?

私は出会えませんでしたが、実は小笠原固有種のオカモノアラガイ科はもう1種類います。

「テンスジオカモノアラガイ」といい、先ほどのオガサワラオカモノアラガイより大きな殻を持っています。

▲テンスジオカモノアラガイ

どちらの種類も以前は父島・母島に分布していましたが、父島はプラナリアの影響を受けて絶滅してしまいました。

母島は貝食性のプラナリアである、ニューギニアヤリガタリクウズムシが侵入していないため、このように固有のカタツムリをたくさん見ることができます。そして、固有の生き物たちを守るには、新たな外来生物の侵入を防ぐことが大切です。母島では、外来生物の侵入手段として憂慮されている「土付き苗」に対しての取り組みが始まりました(文末【ははの湯について】参照)。

天気がイマイチな日は何をしてすごそうか迷いがちですが、是非マイマイ探しに出かけてみてはいかがでしょうか。

【ははの湯について】

母島では外来の動植物が侵入するのを防ぐために、土付き苗温浴施設「ははの湯」がオープンしました。土付き苗には様々な外来生物が潜んでいることがあり、島の固有の生き物の天敵を意図せずに持ち込んでしまう可能性があります。母島に土付きの苗を持ち込む際には、港で温浴処理を実施しますので、下記までお問い合わせください。

04998-3-2577(環境省 小笠原自然保護官事務所 母島事務室)

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2020年06月30日【小笠原】向島

小笠原国立公園 玉井徹

最近、オガサワラカワラヒワに関する発表がありました。

この研究で本種は、小笠原の固有種である可能性がある事が提唱され

日本固有の鳥類が1種増え、11種となるかもしれないという事で話題ですね。

〈オガサワラカワラヒワ:母島〉

母島沖港の向かいに、向島という無人島があります。

ここは、オガサワラカワラヒワの数少ない生息地のひとつです。

しかし、近年は外来ネズミ類などの捕食により数が激減しています。

その保全対策として、外来ネズミ類の駆除作業を行うため今回上陸しました。

〈上陸時〉

この日はカワラヒワの確認はなく作業を終え、少ししょんぼりした気持ちでした。

話は変わりますが、

向島には過去に未だ数回しか確認されていないある生き物が生息しています。

どうしても見つけたかった自分は、

道中キョロキョロと辺りを探していましたがなかなか見つかりません・・・

半ば諦めかけていた頃、母島レンジャーのWさんがあっさり発見しました!!(悔しい・・

アニジマイナゴです。(しょんぼりした気持ちが晴れました)

ムコウジマなのにアニジマイナゴ・・・?

これまでアニジマイナゴは、2011年に新属新種として新種記載され

兄島にのみ生息すると思われていました。

しかし、その後弟島でも確認され

どうやら向島にも生息しているらしいという事がわかってきました。

さらに、アニジマイナゴはイナゴなのにシマイスノキを食樹としていますが

向島産はオガサワラビロウを食樹としている可能性があり

形態的な特徴も異なることから、もはや別種なのではないか!

という注目要素満載です。

アニジマイナゴは列島間で種分化している可能性があると考えられ

世界遺産の潜在的価値を有しているかもしれません。

おもしろいですね~、「生き物の進化」

オガサワラカワラヒワにアニジマイナゴ。

小笠原の進化の世界のポテンシャルを改めて実感しました。

玉井

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2020年06月26日【小笠原】初めての巡視

小笠原国立公園 小笠原 鈴木尚之

皆さま、はじめまして。

6月から小笠原自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーに着任しました、鈴木と申します。

島に来てから、ビーチへ出かけてオカヤドカリを眺める日課ができました。

さて、今回は初めての巡視の対象になったウラジロコムラサキについてご紹介しようと思います。

ウラジロコムラサキは小笠原諸島の父島と兄島に生育している希少な小笠原固有の植物です。

6-7月頃には紫色のきれいな花が咲きます。

(写真 ウラジロコムラサキ)

昔、ムラサキシキブ属の祖先が島にたどり着き、適応放散によってウラジロコムラサキとシマムラサキ、オオバシマムラサキの3種に種分化したと考えられています。3種は生育場所が異なり、オオバシマムラサキは各島に、シマムラサキは父島、兄島のやや湿った平坦な山地の低木林内に生育しています。ウラジロコムラサキは父島、兄島の山地の乾燥した岩石場に生育しており、強い日差しによる乾燥を防ぐための毛が葉に生えています。

(写真 オオバシマムラサキ)

(写真 シマムラサキ)

(写真 ウラジロコムラサキ)

ノヤギやクマネズミによる食害等によって個体数が減少していることから保護増殖事業の対象種になっています。

http://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/urajirokomurasaki.html

巡視を行う際は、開花や結実の状況や食害についての確認を行うことで、生育状況の把握に努めています。

アクティブ・レンジャーに着任してすでに何度か巡視を行っているのですが、小笠原の強い日差しの中での植物の元気な様子を見ていると、生命の力強さを感じさせられます。

元気に生きている植物たちを見習いながら、私も働いていきたいと思います。

今後も、小笠原の魅力ある動植物の事などをAR日記で発信していこうと思います。

よろしくお願いします。

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