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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

兄島 大丸山の囲い込み柵の工事が始まりました

2024年04月11日
小笠原 河村雅史
小笠原自然保護官事務所の河村です。
4月になりました。今年度も引き続きアクティブレンジャーとして勤めます。よろしくお願いします。

大丸山囲い込み柵 設置工事が始まりました

令和6年度の小笠原自然保護官事務所では、大きな仕事がいくつか予定されています。その筆頭ともいえるものが、今年度末に完成予定の兄島大丸山囲い込み柵の整備工事です。

大丸山については、2023年6月のこちらのアクティブレンジャー日記でもご紹介しています。
兄島 大丸山の囲い込み柵について | 関東地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)

これから約1年間、工事の様子をアクティブレンジャー日記にて紹介していきます。

令和5年度には設計の詰めの作業、伐採する樹木の選定、環境影響モニタリングなどの準備作業を進めていましたが、いよいよ実際の作業 が2024年の3月に始まりました。現場作業中の環境配慮事項の確認を行う役割で工事に同行してきました。

当日の様子

まずは、船で兄島に上陸し、大丸山を目指します。
伐採のチェーンソーや燃料など、重たい荷物を背負った作業員の方もいるため、足下の安全に気をつけながら大丸山までの道を進みました。

現場到着後小休止の後、作業開始です。
一本ずつ、伐採予定の樹木につけられたテープの番号と設計図面の番号を照合しながら作業を進めます。
伐採作業の様子
伐採作業で開けた林内の画像
作業後の写真、柵の幅のうち外側1mの林が開けました
切った樹木は、適度な長さに分けた後、枯れ木を利用する昆虫類のすみかとなるように積み重ねて置きました。
木を集積している様子
伐採樹木を決まった場所に集める
また、3月の作業では、全体の予定本数の半分程度を伐採し、残りは令和6年の秋頃に作業することになっています。伐採作業を複数回に分けるのは、光環境の変化による土壌性昆虫や陸産貝類への影響を少しでも和らげることが目的です。
兄島のカタマイマイ
大丸山囲い込み柵予定地の近くで見つけたカタマイマイ
今回は、伐採に加えて露岩部の出っ張った岩の削り取りを行い、今後の作業の土台となる部分の準備工事も行われました。
露岩部の整地の様子

おわりに

大丸山は、兄島の固有昆虫類の保全の上で今一番重要な地域です。柵を完成させ、アノールがいない、昆虫が保全されているエリアを大丸山で守っていくことは、今後の兄島の昆虫保全の戦略を立てる上で非常に有利に働きます。兄島の将来像を見据えつつ、多くの島内外の関係者の方々と協力しながら大丸山囲い込み柵を無事に完成させることが今年度の小笠原自然保護官事務所の一大使命です。
北西側から見た大丸山