アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
6年ぶりの皇海山巡視
2018年09月27日みなさん、こんにちは!
日光国立公園の太田です。
9月上旬に日光国立公園の最南部の地域にある2000m峰皇海山に巡視に行ってきました。6月19日のAR日記で庚申山から皇海山を見て、この山への巡視の思いが強くなったと書きましたが、実はこの山は、過去の巡視記録を見てみると平成24年10月に1泊2日で巡視されて以来、現地調査が行われていませんでした。
私は、ARとしての3年の任期中に日光国立公園の日光地区をできるだけ歩き回り、公園計画にある歩道23箇所も、可能な限り歩いてみたいと考えていました。しかし、なかなか行けずにいた地域が皇海山周辺で、庚申山皇海山線歩道でした。
栃木県山岳遭難防止対策協議会が作成した「栃木県 山のグレーデイング」では登山道を歩く山では最難度で、1、2泊が適当と書かれています。深田久弥の日本百名山のひとつで有りながら、近年巡視が行われていないのは14時間を越える歩行時間にあったようです。しかし、群馬県側からの登山道を調べてみると3時間ほどで山頂に立てるようです。群馬県側の山域は国立公園区域外で、不動沢のコルと呼ばれる鋸山と皇海山の間のコルからの歩道が公園区域になるようです。とりあえず6年間のギャップを埋めることを先決とし、100名山ブームの山の休日利用状況の確認のため、土曜日に群馬側から巡視を行うことにしました。
舗装道路を離れて悪路の根利林道を低速で1時間30分ほど走行(今回の巡視で一番疲れたところです)すると、皇海橋の側にある登山口につきます。
登山道は、不動沢の沢沿いに付けられており数回の徒渉がありますが、ほとんどは飛び石で渡れます。
1時間半ほど沢沿いの道やガレた沢の中を歩いてから、沢を離れて急な滑りやすい登山道を上りきると、不動沢のコルです。ここからは日光国立公園の区域です。
稜線はコメツガを主体とした針葉樹林の中に登山道が続きます。稜線に出てからは時折強い雨が降る天気となり、カッパを着て黙々と歩きます。8月に着任した若いHアクティブレンジャーは、早く歩けと言わんばかりにぴったりと着いてきます。
登山道には一部露岩があって補助ロープがある急なところもありますが、概ね樹林の中をのんびりと歩く道です。
皇海山山頂はコメツガやシラビソに囲まれ、雨のせいもあって展望はほとんど無く、静かな頂でした。日本百名山ですが雨のためかこの日出会った登山者は10人足らず。しかし、栃木側の庚申山荘を早朝に出て、6時間ほどかけてやってきたというパーティと山頂でお話しすることができ、栃木側の情報を多少得ることができました。
山頂での昼食休憩中に雨が強く降り出し、急いで下山することにしました。栃木側の未踏査部分の調査の来年度実施についてHアクティブレンジャーと相談しながら、駆け下りました。登山口に着く頃には、天候が回復し日差しも出る皮肉な天候での巡視となりました。