アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
春が始まりました(箱根地域)
2019年03月18日こんにちは!富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。
まだまだ朝晩は冷え込むこともあり、3月14日早朝の神山山頂付近にはびっしりと霧氷が着いていました。日中は暖かくなりましたが、まだまだジャケットを手放すことが出来なそうです。
さて、箱根地域は急峻な地形のため、私たちの事務所がある湖尻地区(標高約780m)と箱根の玄関口である湯本地域(標高約100m)では、標高に差があるため、湯本地域ではとても早く春の花が咲き始めます。
【箱根湯本駅前のブリッジから見た様子】
正面右手前に見えるのが、今回ご紹介する湯坂山(標高約546m)です。
この湯坂山には登山道が整備されており、駅から登山道までは徒歩約10分、登山口から湯坂山山頂までは徒歩で約30~40分で登ることが出来るお手軽の山です。ただ、山頂は木々に覆われているため、眺望目的で登ると少しがっかりするかもしれません。
【登山道の様子】
山頂までは所々に石畳があります。道として整備されたのは鎌倉時代からととても古く「湯坂路(鎌倉古道)」と呼ばれています。名だたる戦国武将たちもこの道を通って東西を行き来していたそうです。
【春の花・芽吹きコレクション】
【湯坂山山頂の様子】
このように山頂は木々で覆われているため、眺望は期待できません。
この「湯坂山」をご紹介した理由は、春の芽吹きや花が見られることと、環境省が「特別保護地区」にしていることです。
【箱根地域の区域図】
オレンジ線に囲まれているのが「早川流域(湯坂山)の暖地性広葉樹」特別保護地区です。
国立公園は自然公園法により、いくつかの地域に区域分けされています。区域に応じて様々な行為に規制の強弱をつけることで「公園の利用」と「風致景観の保護」のバランスが図られています。その中でも特別保護地区は規制ラングがとても高く、この区域内の全てもの(生物はもちろん、落ち葉や土石など現存するもの)の採取が禁止されているエリアです。箱根地域だけでも上記を含め箇所を指定しています。
〈箱根地域特別保護地区〉
①金時山のブナ原生林 / ②仙石原の湿原群落 / ③神山一帯の中央火口丘の火山地形 / ④下二子山のハコネコメツツジ / ⑤早川流域(湯坂山)の暖地性広葉樹 / ⑥須雲川流域のハコネサンショウウオ
※詳細位置は区域図・概略図のオレンジ線内を参照
今回ご紹介した湯坂山は「早川流域(湯坂山)の暖地性広葉樹」特別保護地区に指定されているため、山頂付近には多くの暖地性の樹種が自生しています。
【暖地性特有の樹木(一部抜粋)】
今時期の箱根は、卒業旅行で来られた学生を中心に大勢の旅行者が訪れ、とても活気づいています。
この日記を通じて、少しでも箱根地域が国立公園内であるとともに、身近な場所に箱根にとって大切な場所があるんだと周知できたら幸いです。箱根から帰られる際は、箱根湯本駅からふと眺めて見てくださいね。