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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2019年8月21日

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2019年08月21日南アルプスで暮らすライチョウたち

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんはライチョウという鳥を知っていますか?

ライチョウは古来より信仰の対象となってきた高山帯を象徴する鳥です。氷河期に分布が南に拡大したあと、暖かくなるにつれて北に後退する中で、高山帯に取り残された集団が日本のライチョウと考えられています。主な食物は高山植物(ガンコウラン、コケモモなど)の芽や種子などです。メスは6月にハイマツなどの根元など地上に窪みを作って巣にします。卵が孵化するまではオスも見張りをしますが、子育ては基本的にメスのみです。

ライチョウの生息数は1980年代に3,000羽と推定されていましたが、2000年代には約2,000羽弱と減少したと推定され、環境省4次レッドリストにおいて、絶滅の危険性が増大しているとされる絶滅危惧Ⅱ類から近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものとされている絶滅危惧IB類にカテゴリーが引き上げられました。現在、日本では頸城(くびき)山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプス、中央アルプスで生育しています。

近年、南アルプス北部の白峰三山周辺で減少傾向がみられています。

  
△ケージとお散歩のようす

環境省では平成24年から「ライチョウ保護増殖事業」を策定し、平成27年度より北岳周辺で生まれたばかりのヒナと母鳥を一時期間ケージ内で保護し、悪天候や天敵から守り、多くのヒナを育つようにケージ保護事業を実施しています。左の写真の青いシートで覆われているのがライチョウ親子が暮らすケージです。ケージ保護されているライチョウ親子は1日2回、ケージの外に出され自力で餌を食べます。

お散歩をしていると・・・母親ライチョウが砂浴びを始めました。しばらくするとヒナも寄ってきて、母親ライチョウの真似をして砂浴びを始めました。なんとも微笑ましい光景です。


砂浴びは人間の行為で表すとお風呂。6月から7月中旬まで雨が続き、気持ちよくお散歩できない日が続きましたが、7月下旬からは天気が安定しない中でも晴れ間が出てようやく、思う存分にお散歩ができる環境になったかと思います。とても気持ちよさそうでした♪

ライチョウの減少の要因として考えられることは、1.気候変動による環境・植生の変化、

2.登山者の増加、3.山岳環境の汚染に起因する感染症の原因菌などの侵入、4.従来生息していなかったニホンザルやニホンジカなどの進入のより、高山植物が採取されることによる生息環境の劣化、5.捕食者となり得る種(キツネ、カラス等)が生息地へ分布拡大による影響が挙げられています。食べ物を放置したり、ラーメンの汁を捨てたりせずに、ご自身が持ってきたゴミはしっかり持って帰るようにしてください。また、ライチョウは寒いところに生きる鳥です。地球温暖化が進めば生息できなくなってしまいます。マイバッグ持参や徒歩・自転車移動するなど、できることから行動してみませんか??

ライチョウを見かけた際は近づかず、刺激せず、そっと遠くから見守るようにしてください。見守る際は登山道から外れないようにしてください。登山道を外れると、高山植物を踏み荒らしてしまう恐れや転倒などの危険もありますのでご注意してください。

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