ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2019年9月19日

2件の記事があります。

2019年09月19日日光国立公園とは

日光国立公園 村田麻理沙

こんにちは、日光国立公園管理事務所の村田です。

9月中旬になり、日光では朝、晩に気温が下がり、少しずつ、秋の訪れを感じるようになりました。

先日、栗山地域で見つけたフジグロセンノウ、そして、湯川でオシドリとマガモのくつろぎ風景を撮影しましたので紹介します。

△フシグロセンノウ(節黒仙翁)ナデシコ科 

 節が黒く、近縁の観賞用の植物が京都嵯峨の仙翁寺にあったことが名前の由来だそうです。

△湯川のオシドリとマガモ(戦場ヶ原自然研究路から撮影)

 非繁殖期のオスはエクリプスと呼ばれ、メスと同じような羽色になりますが、くちばしの色で区別できます。右側3羽目がマガモのオス、その左隣がメスです。

マガモの場合、オスのくちばしは黄色、メスが橙色と黒色、オシドリの場合は、オスが紅色、メスが赤みを帯びた黒色となります。

さて今回は、日光国立公園の魅力を少し別の角度からお伝えしたいと思います。

昭和9年12月に国立公園に指定された日光国立公園は、他の国立公園と同じく、優れた自然の風景地を保護し、生物多様性確保のため、ゾーニングによって行為規制されています。

私たちが巡視する際に利用者指導等の判断の決め手となるのが、その場所が「特別保護地区」かどうかです。

景観の維持のために指定された「特別保護地区」は、第3種特別地域→第2種特別地域→第1種特別地域→特別保護地区と段階的に行為が規制されている最も規制の厳しい地域となっています。

日光国立公園では、戦場ヶ原、小田代原、白根山、太郎山、女峰山等が「特別保護地区」となっており、許可がなければ、植物・落葉落枝の採取、動物の捕獲等の行為は禁止されています。

このように、ゾーニングによって日光国立公園の自然が守られていることをご理解ください。

戦場ヶ原や小田代原等で歩道を利用される際には、注意事項が標示された案内標示板をご確認いただき、違った視点から日光国立公園を利用してみてください。

△小田代原の案内標示板

 「歩道外への立ち入りと動植物の採取を禁止します」となっています。

最後に、夏は涼しく、紅葉時期にさらに美しくなる鬼怒川地域の滝をご紹介します。

ぜひ、行ってみてください。

△虹見の滝(龍王峡ハイキングコース)

滝に陽光がさした時に見える虹が美しいことから名付けられた滝

△白滝(日塩もみじライン沿い)

白い糸が何本も重なって落ちるように見えることから名付けられた滝

△太閤下ろしの滝(日塩もみじライン沿い)

太閤 豊臣秀吉が見入ったとも伝えられる滝

ページ先頭へ↑

2019年09月19日塩見岳で高山植物保護活動

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

914日から16日の3連休で静岡県事業として三伏峠の防鹿柵修繕作業を、環境省事業として塩見岳の伏工作業を静岡県ボランティアネットワークのみなさんと行ってきました。

初日は三伏峠の防鹿柵に設置されている通年設置の防鹿柵の修繕を行いました。通年設置の防鹿柵は季節型の防鹿柵と違ってポールからネットを外すという作業ではなく、雪圧でひしゃげてしまった支柱の打ち直しや高さが足りなくなっている金網部分を持ち上げる作業を行いました。元々はまっすぐ設置されていた支柱や金網は雪圧でぐにゃと曲がっており、大人1人の力でも修復が難しい状態でした。雪圧恐るべし。

  

金網の修復で金網が目に飛んだり、支柱の打ち直しで頭に支柱や杭打機が当たるのを防ぐために、作業時はゴーグルとヘルメットを、もちろん足元は高山植物への影響を少なくするために地下足袋着用です。三伏峠・塩見岳の作業では社会人だけでなく、大学生や高校生も参加してくれたので、大人数で作業を進めることができ、あっという間に作業が終了しました。

柵の中には少し枯れ始めてしまってはいますが、タカネマツムシソウがたくさん咲いていました。

春先にはミヤマクロユリやシナノキンバイ、ハクサンチドリなどの高山植物でいっぱいになります。三伏峠から烏帽子岳、小河内岳方面へ向かう際はこのお花畑の真ん中を通ります。季節に応じて、たくさんの高山植物が咲くスポットなので、夏季に通過される際は注目して見てください。

2日目は塩見岳東峰にて伏工の作業を行いました。塩見岳東峰付近ではシナノキンバイやハクサンイチゲが咲き誇るお花畑でしたが、ニホンジカの採食圧や踏圧によって植生の変化が進み、やがてニホンジカが好まない植物すらなくなり、山肌がむき出しになってしまいました。氷河跡地の上部は土壌が薄く、一度表土が剥がれ落ち、土壌侵食が起きてしまうと、植生の自然回復は困難になってしまいます。そのため、2009年(平成21年)から毎年、塩見岳東峰付近ではヤシマットの設置を行っています。

三伏峠を出発し、塩見小屋から一人ひとり歩荷したマットをお花畑の裸地部分に敷きます。

  

塩見岳直下のガレ場や東峰斜面のきつい傾斜での作業で落石による事故防止のため、この作業でもヘルメットは必須。すでにむき出しになっている斜面は傾斜がきつく、足元が非常に悪いです。四隅や途中部分に張りピンを木槌で打ち、シュロ縄で固定します。最後に石を置いて完成です。マットで覆うことによって土壌が流れにくくなるほか、保温性を高めることができます。地面の温度変化が穏やかになると、飛んできた種から芽が出やすくなる効果もあります。石はマットを押さえるだけでなく、石によってできる影によって、日影を好む植物、日向を好む植物がそれぞれ育ちやすくなるそうです。

昨年設置したヤシマットにはオンタデやイワツメクサが根付いており、ヤシマット設置の効果を感じました。すぐに効果が出るわけではなく、地道な作業ではありますが、続けていくことに意味があると思っています。かなりの時間を要すると思いますが、いつかこの場所に緑やお花畑が戻ってきてくれることを願います。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ