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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

富士山は何色?

2020年05月20日
沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

沼津では連日夏日が続いています。先日、日の出直後に外に出ると冷たく澄んだ空気に包まれ、初夏の朝の空気を感じました。季節はいつの間にか夏に向かっていますね。

さて突然ですが、皆さんは山の絵を描くとき何色で書きますか?新緑の緑、紅葉の赤や黄色を使う方もいると思います。では、富士山はどうですか?青色で描く人が多いのではないでしょうか。

富士山富士宮口五合目から富士山を見てみましょう。

【 富士山富士宮口五合目からの富士山 】

少しも青くないですね。富士山は約1万年前に100回以上の噴火を繰り返して、今の富士山の形になったと言われています。登山道も、それ以外の場所も火山噴出物の一種である黒いスコリア(細かい穴の空いた軽石)に覆われています。ですから五合目から山頂を見上げると見渡す限り黒い山です。とは言っても、富士山の五合目より上にまったく植物がないわけではありません。写真を見ても分かる通り植物は生息していますが、山肌を緑に染めるほどの植物や木はありません。

では、富士山からの直線距離が約50キロ以上離れた恋人岬、達磨山から見た富士山はどうでしょうか?

【 達磨山から積雪前の富士山 】

【 恋人岬から積雪後の富士山 】

 

どちらの写真も青く見えますね。

同じ富士山を見ているのに、黒色に見えたり、青色に見えたり、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?秘密は距離にあるようです。

富士山と自分との距離が離れることで、その間にはたくさんの空気が存在していることになります。

空気中には、水蒸気やチリなどの粒子がたくさん含まれています。太陽光は、青く見える波長の短いものから、赤く見える波長の長いものが混じりあっていますが、この中の波長の短い光は、空気中の粒子とぶつかりやすく、ぶつかることで光が四方八方へ屈折する特徴があります。

これにより、空気中の粒子にぶつかった波長の短い光が散乱し空いっぱいに広がることで、自分と富士山との間に青色のカーテンのようなものが見えているのです。

今の時期の富士山は、まだ山頂付近が雪深く真っ白な富士山です。夏の朝日に照らされた「赤富士」、真冬の朝夕に白い山肌に光が照らされて紅色に染まる「紅富士」など、季節や時間、天気によって、さまざまな色の富士山を見る事が出来ます。雲のかかり方によっても色んな顔を見せてくれるので、ぜひ色々な場所から富士山を眺めて比べてみて下さい。皆さんのお気に入りの富士山が見つかるはずです。

【 田貫湖から逆さ富士 】

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