アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
奥日光のクマと果実
2020年08月24日
日光
初めまして。
日光国立公園管理事務所の池田です。
8月11日、戦場ヶ原を巡視していたら、ツキノワグマに遭遇しました。
ガサッと音がした方向を見ると、10m先にな体長1mほどのクマが木の根元から湿原の方に走り去っていきました。
一瞬の出来事だったため、クマの動きを見ていることしかできませんでした。
クマスプレーなど身を守る物を持っていなかったため、こちらに向かって来なかったのは幸いでした。
ところで、人の多い戦場ヶ原でクマは何をしていたのでしょうか?
木登りをしている最中に人間に気づき、あわてて木から下りてきたところだったのでしょうか。
樹形や場所を考えると、近くにあった木はズミの可能性が高いです。
〈ズミの花〉6月頃に開花
今の時期は青リンゴのような果実がついており、11月にかけて段々と赤くなっていきます。
〈ズミの果実〉
図鑑で調べてみると、ズミの漢字表記は「染み」と「酸実」のふたつがありました。
「染み」は樹皮を染料としたことから、と書かれています。
「酸実」は文字通り、食べると酸っぱいからでしょうか。
クマはそんなズミの果実を食べていたのかもしれません。
戦場ヶ原にはズミ以外にも可愛らしい果実を見ることができます。
〈ミヤマザクラの果実〉
〈ニッコウナツグミの果実〉
これからの季節は果実が増えていき、クマや鳥などの大切な食べ物となります。
戦場ヶ原周辺はクマの目撃情報が多く寄せられています。
クマなどの野生動物の生活圏に人間がお邪魔していることを忘れずに、気をつけて歩きたいですね。
奥日光のクマ出没情報は【湯元ビジターセンターHP】から確認することができます。