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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年9月11日

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2020年09月11日#秩父多摩甲斐国立公園 70周年記念 第5弾!!

秩父多摩甲斐国立公園 小林真弥美

みなさん、こんにちは。

奥多摩自然保護官事務所の小林です。

ついに70周年記念シリーズの日記も、今回でおしまいです。

と思いきや!

次回、番外編も書いちゃいます!

それはさておき、第4弾までで秩父多摩甲斐国立公園のことはかなりお分かり頂けたんじゃないでしょうか??

でもまだ知らないこと、ありますよね?

「暮らし」「文化」の話をまだしていません。

文化といえば漫画も文化ですよね?

■アニメの舞台に?!

(出典元:秩父市提供)

秩父多摩甲斐国立公園の約1/4を占める、埼玉県秩父市は、

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

「心が叫びたがってるんだ。」

「空の青さを知る人よ」

というアニメの舞台となっており、秩父市の情緒ある風景がまるごと描かれています!

公園内の場所でいうと、三峯神社(下写真)が「空の青さを知る人よ」の中に登場していますね。

###いきなりクイズ###

Q. 三峯神社は普通なら狛犬のところが、ある動物になっていますが、それはなんでしょう。

1. オオカミ   2. カモシカ    3. イノシシ

=ヒント=

この動物は奥秩父のシンボル的存在で、山犬とも呼ばれます。

公園内には御眷属(ごけんぞく)信仰が各地でみられ、三峯神社ではオオカミが神の使者として、火除盗賊除等の御利益あるとされています。

※御眷属・・・神の使者のことで、神にまつわる動物を意味することが多いそうです。

・・・さらっと答えを言ってしまいました。

正解は1の「オオカミ」でした!余裕でしたか?

さて、話を戻して、、

それぞれのアニメの聖地巡礼マップが、各所に置いてあるそうなので

見たことが無い人も、アニメを見てから秩父市を巡ると楽しさ倍増します!!

自然の景観だけでなく、人が暮らしている風景も是非見に来て下さい。

さらに!

夏といえば神社に行くあのイベント・・

「ささら獅子舞」(出典元:左/丹波山村HP、右/甲武信ユネスコエコパークHPより)

(今年は残念ながら中止)

山梨県丹波山村に約350年前、1669年からあるとされる伝統文化です。

山梨県で唯一、県の無形民俗文化財に指定され、五穀豊穣・子孫繁栄などを願ったものだそうです。

花笠役が四方に立ち、その中で大夫・小大夫・獅子が舞うもので、子ども達が踊ることもあります。

奥多摩エリアでは、その地区ごとに獅子舞があり、少なくとも20箇所以上で行われています。

それぞれ少しずつ衣装や舞い方が違うようで、何年にどこから伝わったのか、はっきりは分かっていないそうです。

それでも人がつなぐ、伝統ある祭りが国立公園内で続いているというのは趣がありますよね。

###小林の祭りメモ###

≫ささら獅子舞で響く笛の音は、楽譜が無いらしい?!

 聞いた話によると、一部では親から子へ口頭で曲が伝えられ、

 「ピーヒャロ リーのやつ」、という風に本番でも口合わせで行われているそうです。

 神業ですよね。

≫祇園祭に京都市民は行かない!?

 私の地元、京都府で三大祭(祇園祭・時代祭・葵祭)の一つとして良く知られている祇園祭ですが、

 開催地の道路は鉾巡行のために封鎖され、人混みわっしょいになっているので、地元の人は外に出ません。

 私も人生で2回しか行ったことがありません。

それに比べ、この奥多摩地域で行われている獅子舞は、それぞれの土地で地元の人のために地元の人によって継承されていて、変わらないものを変わらず愛する伝統が素晴らしいですね。

そんなささら獅子舞、

「甲武信ユネスコエコパーク」のみどころともなっています。

はて、ユネスコエコパークとは?

と思った方にご説明。

ユネスコエコパークのコンセプトは国立公園と似ていて、「生態系の保全と持続可能な利活用」が目的です。

パーク内を3つの区域

「核心地域」:動植物が多数生育できて、法的に保護されている地域

「緩衝地域」:学術的研究・教育や研修・次世代への人材育成が行われている地域

「移行地域」:生活の場であり、自然と共生する持続可能な地域社会発展のためのモデル地域

に分けていて、それぞれに目的があります。

(出典:甲武信ユネスコエコパーク 推進協議会提供)

甲武信ユネスコエコパークは、秩父多摩甲斐国立公園を広げたような形となっており、上図の青枠内が国立公園です。

核心・緩衝地域は全て国立公園であることから、この枠内は国立公園の法的根拠となっている、自然公園法で守られています。

Q. 国立公園とユネスコエコパークが重なって存在している意味とは?

A. もともと、2013年に持続可能な社会を研究し、環境問題の解決を目的として山梨県で活動する団体の、「秩父多摩甲斐国立公園をユネスコエコパークへ登録しよう!」という推進運動が始まりでした。

つまり、重なっていて当然なのです。

国立公園は環境省大臣が指定し、ユネスコエコパークはユネスコMAB計画国際調整理事会が登録するので、これらには日本基準か国際基準かという違いがあります。

国内で認められ守られている国立公園という価値を、世界に向けて発信しようという目的があったと考えられます。

###さいごに###

秩父多摩甲斐国立公園が国立公園に指定されて、70年が経ちました。

名称の変更があったり、植生や分布の変化も起こりました。

しかし、ここで確かに育まれてきた命や想いもあるはずです。

色んな表情の山が連なり、その山ごとに植物や鳥の鳴き声の変化を楽しむことができます。

美しい渓谷も多く、その綺麗な水の中で遊ぶこともできます。

壮大な自然の中で遊べる、そんな場所が残されている、

それが秩父多摩甲斐国立公園です。

秩父多摩甲斐国立公園が、みなさんの"自然"を考える場所になるように

一緒につくり続けていきましょう。

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