関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。

何度見ても美しい『アマギシャクナゲ』

2022年06月02日
沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。 沼津管理官事務所の山田です。

梅雨入り間近の沼津は連日ジメジメしています。周辺の田植えも終わり、元気なカエルの合唱が聞こえています。

今回は、5月末の天城山巡視で確認した、『アマギシャクナゲ』を紹介したいと思います。

日本百名山の一つである天城山とは、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)をはじめ、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1,197m)など伊豆半島のほぼ中心を東西に貫く連山の総称です。東西の山稜部は富士箱根伊豆国立公園に指定されています。ブナやヒメシャラなどの原生林に覆われ、春はマメザクラやアマギシャクナゲ、秋はブナやカエデの紅葉が美しい山です。年間降水量は4,000㎜超える多雨地帯で、苔や樹木が育つ最適な環境です。

 

天城山には様々なルートがありますが、その中に「シャクナゲコース」というルートがあり、5月頃から登山道を彩っているのが、伊豆半島の固有種であるアマギシャクナゲです。大変人気の花で、開花シーズンはアマギシャクナゲを目当てにたくさんの登山者が訪れます。週末は駐車場が満車になる程です。例年の見頃は5月中旬頃から6月上旬と言われていますが、今年は5月下旬にほとんどのシャクナゲが花を落としていました。ゴールデンウイークには既に開花していたとの情報もあり、かなり早い開花だったようです。アマギシャクナゲと同時期にアマギツツジや、トウゴクミツバツツジなどが咲くこの季節の歩道の風景は、何度見ても美しく、足を止めて見入ってしまいます。登山道から存在感のあるシャクナゲの花が見えた時の感動を味わってほしいです。シロバナも数本ですが開花を確認しました。

【 アマギシャクナゲ 左:薄紅紫色 右:白 】

 

シャクナゲの他にも、透き通るような白さで目を引く腐生植物のギンリョウソウや、一見花はどこにあるの?と思ってしまうランヨウアオイも見ることが出来ました。ランヨウアオイは葉柄の付け根に花をつけるので目立ちませんが、葉を覗き込むと3㎝程の花を見ることが出来ます。葉に白斑がないものもあるようです。

【 左:ギンリョウソウ 右:ランヨウアオイ 】

今年のシャクナゲはほぼ終わってしまいましたが、この先の青々とした木々が生い茂る天城山や、秋の紅葉の天城山も楽しみです。

 

コース:天城山(シャクナゲコース)

所要時間:約5時間(休憩なし・時計回り、反時計回り同様)

※整備予定ですが、登山道が荒れて歩きにくい所がありますので足下に充分気をつけて余裕を持ったスケジュールを立てて下さい。