アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
キタダケソウ生育地の巡視に行ってきました。
2022年06月16日
南アルプス国立公園
関東地方環境事務所
皆様はじめまして、南アルプス自然保護官事務所の小林です。
6月10日から11日にかけ、北岳のキタダケソウ生育地の巡視とライチョウ保護対策資材の歩荷に行ってきました。保護官と私・海藤AR(アクティブレンジャー)3名での山行です。海藤ARは初めての北岳です。
【右から小林AR・海藤AR・雨宮保護官です。】
○小太郎分岐手前の残雪を乗り越えて、もう少しで稜線ですが、荷物の重さをズッシリと感じるころですね。
【さすがに3000㍍近くになると大変です!!】
○北岳山頂~北岳山荘の間のトラバース道の状況です。冬の雪崩等により崩壊している場所もありました。
○キタダケソウです。氷河期からの生き残りの絶滅危惧植物で、北岳だけに咲くキンポウゲ科の花です。日本の近縁種は北海道のヒダカソウとキリギシソウなどがあります。美しい花ですが高山の厳しさに耐える強さも感じますね。満開に近づきつつある状況でした。
○写真左側のマルタは土留めのものですが上部からの落石等で壊れてしまい、雨や風雪等で地表面がえぐられ写真右側のキタダケソウ下の土も浸食しています。落石により生育地が分断されている箇所もありました。
キタダケソウは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存法に関する法律」に基づき国内希少野生動植物に指定されており、山小屋スタッフや各種山岳関係団体等の協力を得て保護活動を行っております。
「星の王子さま」の作者サンテグュペリは<地球は先祖から受け継いだのではない。子供から借りたものだ>
という言葉をのこしていますが、キタダケソウも失ってしまえば取り返しがつきません。なんとか、将来の子子供たちに残したいものです。