ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島

46件の記事があります。

2019年08月26日真夏の三原山の景色 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

皆さまこんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。

あっという間に8月も終わりに近づいてきましたね。

今回は、真夏の三原山の景色を紹介したいと思います。

真夏の大島は、さぞ天気が良くて暑かろう・・・とお思いかもしれませんが、

海沿いは晴れていても、三原山の山頂付近には雲がかかっていることが多いのです。

海から吹き上げる風が湿気を運び、霧や雲になって溜まるのですね。

海水浴客でにぎわう海沿いは青空でも、三原山は雲の中。

▲海水浴客でにぎわう海沿いは青空でも、三原山は雲の中

※濃霧の中、お鉢巡りや砂漠を歩くことは大変危険ですので天候によってはお止めください。

霧の晴れ間にカルデラ内を歩くと、サクユリの白い花を目にすることが出来ます。

皆さんは、「サクユリ」を知っていますか?

サクユリ(Lilium auratum var. platyphyllum)は、本州に分布するヤマユリ(Lilium auratum)の変種であり、伊豆諸島の固有種です。

ヤマユリと比べて、葉の幅が広く、葉脈の本数が約7本(ヤマユリは約5本)あるのが特徴です。花びらには赤い斑点が少なく、花の中が真っ黄色のものもあります。

三原山では、7月後半から8月にかけて開花します。

サクユリの花。花びらに赤い斑点が多いもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が多いもの)

サクユリの花。花びらに赤い斑点の少ないもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が少ないもの)

サクユリの花。花びらに赤い斑点が無いもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が無いもの)

東京都のレッドリストには、絶滅危惧Ⅱ類(VU)として掲載されています。

絶滅危惧Ⅱ類というのは、

現在の状況に追い込んだ要因がこのまま続くと、近い将来、野生での存続が難しくなることが確実だとされている種、ということです。

大島のサクユリの場合は、園芸や販売目的の盗掘、外来生物キョンによる食害、ウイルスなどが要因になっていると考えられています。

カルデラ内に点々と咲く、サクユリの白い花

▲サクユリが点々と咲く景色

サクユリが点々と咲く景色を今後も楽しむためには、今、何が出来るのでしょうか。

皆さんも、サクユリを見に行くことがあったら、手折ったりせずに見守ってくださいね。

もし盗掘を見かけたら、伊豆諸島管理官事務所に連絡していただけると幸いです。

カルデラ内に咲く、ハマナデシコの花。

▲ハマナデシコ (Dianthus japonicus)

8月の三原山表砂漠には、ハマナデシコも咲いています。

海岸沿いに生育する植物ですが、海から吹き上げる風に乗って、種が飛んできたようです。

三原山山頂付近からカルデラの縁を望む。(カルデラの縁では、海から吹き上げる風によって雲が作られている)

▲三原山山頂付近からカルデラの縁を望む(カルデラの縁では、海から上がってきた風によって雲が作られている。)

真夏は雲や霧の多い三原山ですが、これからの季節は空気が澄んできて、景色も良くなってくるはずです。

皆さんも、景色や地形、植物を楽しみながら、三原山を歩いてみませんか?

○島へのアクセス・島内の観光情報はこちら

伊豆大島ナビ https://oshima-navi.com/

ページ先頭へ↑

2019年07月30日火山の生み出した景色 三宅島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。

ようやく梅雨が明けて、夏らしい青空がのぞくようになってきましたね!

7月上旬、三宅島へ行ってきました。

三宅島は、東京から南へ180kmの距離に位置する、伊豆諸島の中では大島・八丈島に次いで大きな島です。

島の中央には活火山である雄山がそびえ、約20~60年周期で噴火を繰り返しています。度重なる噴火活動によって生み出された力強い火山景観を、島の至る所で目にすることが出来ます。

三宅島、三七山展望台からの景色。ひょうたん山と赤場暁を一望できる。(2019年7月10日撮影)

「かつては海だった景色」

今から約80年前、左手に見える崖より右側は、海でした。

1940年(昭和15年)、海の中で噴火が起こり、右手に見える火山、「ひょうたん山」が現れたのです。

1940年、1962年と続いた噴火の溶岩流と噴出物は、海を埋め尽くし、左手の崖と「ひょうたん山」の間には、平らな溶岩台地、「赤場暁(あかばっきょう)」ができました。

赤場暁を流れた溶岩の先端部分。赤い断崖になっている。(2019年7月10日)

「赤い断崖」

「赤場暁」バス停から徒歩10分ほどで、海岸へ出ると、赤場暁を流れた溶岩の先端を見ることができます。

波に削られて、迫力のある断崖になっています!!

黒いスコリアで形作られているひょうたん山(2019年7月10日撮影)

「ひょうたん山」

「赤場暁」バス停から海岸へ至るコース上では、「ひょうたん山」の火口も間近に見ることが出来ます。

遠くから見ると大きな火口に見えますが、近づいてみると、意外と高低差が小さいので、すぐに火口の縁まで登っていけます。

ひょうたん山の上からは、植生の遷移によって緑に覆われつつある赤場暁の広がりを眺めることができます。

「ひょうたん山」と「赤場暁」の景色(「かつて海だった景色」)は、都道沿いの「三七山展望台」から眺めることが出来ます。

当時の風景を想像しながら地形を眺めてみると、火山の圧倒的なパワーを感じます...。


大路池北側桟橋からの景色。池の周囲はスダジイの原生林に覆われている。(2019年7月10日撮影)

「野鳥の楽園 大路池」

三宅島は、バードアイランドとしても有名です。

国の天然記念物「アカコッコ」やイイジマムシクイ、カラスバトなど、限られた地域でしか見られない野鳥を観察できます。

特に、「大路池」の周囲を巡る道は「日本一のさえずりの小径」とも呼ばれていて、バードウォッチャーに人気のスポットです。スダジイの原生林に囲まれた静かな場所で、小径を歩くと、あちこちから溢れるように小鳥の声が聞こえます。

この「大路池」、伊豆諸島では最大級の淡水湖で、

紀元前2000年以前に水蒸気爆発によってできた火口湖ということです。

大路池の畔に立つスダジイの巨木(2019年7月10日撮影)

「迷子椎」

池の畔には、「迷子椎」と呼ばれるスダジイの巨木が立っています。

数百年前から、噴火を司る神様の宿るご神木とされてきました。

密林の中でも、この巨木を目印にすれば迷子にならないという言い伝えから、「迷子椎」と呼ばれるようになったそうです。

今回は陸を中心に紹介しましたが、三宅島は海のレジャーでも人気のある場所です。

周囲の海域には黒潮が流れていて、魚影が濃く、種類も豊富ということで、ダイビングや釣りのスポットにもなっているようです。

火山景観などの見所も、まだまだ沢山あります!

皆さんもぜひ一度、三宅島に遊びに行ってみてください!

三宅島ジオマップ(★の部分が今回紹介した場所です)

「三宅島ジオマップ」発行:三宅村役場観光産業課 協力:三宅島観光協会

(★が今回紹介した場所です)

【三宅島へのアクセス】

○船の場合

・東京竹芝港22:30発→大型客船(約6時間半)→三宅島5:00着

・三宅島13:35発→大型客船(約6時間10分)→東京竹芝港19:45着

東海汽船ホームページ https://www.tokaikisen.co.jp/

○飛行機の場合

・調布飛行場⇔小型機(約50分)⇔三宅島空港 (1日3便就航)

 新中央航空ホームページ https://www.central-air.co.jp/

【三宅島 島内の観光情報】

・三宅島観光協会 https://www.miyakejima.gr.jp/access/

ページ先頭へ↑

2019年06月14日白い花の季節 大島 三原山(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。

さて突然ですが、皆さんは、この歌をご存じでしょうか。

卯の花の匂う垣根に

ホトトギス早も来鳴きて 忍び音もらす

夏は来ぬ

童謡の「夏は来ぬ」です。

歌詞には、「卯の花」という名前が出てきますが、どんな花なのかというと...

三原山のウツギ Deutzia crenata (別名:ウノハナ)ウツギ Deutzia crenata(別名:ウノハナ)

「卯の花」というのは、ウツギの花のことです。

登山道や林道沿いで見たことある!という方も多いのではないでしょうか。

山歩きでこの花を見かけると、夏が始まるな、、と感じます。

今、三原山のトレッキングコース周辺では、このウツギの花が見頃です。

この季節は、ウツギの他にも、大小様々な白色の花が咲いています。

今回は、巡視中に見つけた「白い花」を紹介します。

ニオイウツギ (ハコネウツギの島嶼変異形)オイウツギ Weigela coraeensis var. fragrans 

(ハコネウツギの島嶼変異形)

三原山周辺で、ウツギと共に目立って綺麗に咲いているのが、ニオイウツギです。

ハコネウツギの島嶼変異型で、少し香りがするのが特徴です。

学名のラテン語にも、"fragrans (芳香のある)"という言葉が入っています。 

写真の花は白色ですが、日にちが経つにつれて、紅色に変化していきます。

オオバエゴノキ Styrax japonica var. kotoensis(エゴノキの島嶼変異形)

道の上に、サクラに似た白い花が幾つか落ちていたら、見上げてみてください。樹上にオオバエゴノキの花が咲いているかもしれません。

マユミ Euonymus sieboldianus (漢字名:真弓、檀)

      イヌツゲ ilex crenata(漢字名:犬黄楊) 

マユミとイヌツゲの花は、小さくてあまり目立ちませんが、よく見ると可愛らしい形をしています。

 

ハチジョウイボタ Ligustrum ovalifolium var. pacificum(オオバイボタの島嶼変異形)

ハチジョウイボタの花は、小さい花が房状に集まって咲くので、よく目立ちます。いい香りがするので、見つけたらぜひ確かめてみてください。

三原山全景(撮影:椋本真里菜)撮影:椋本真里菜

出典:「伊豆大島ジオパーク パンフレット」伊豆大島ジオパーク推進委員会,(201811月版)

大島の中央に位置する三原山には、中央噴火孔の周りに砂漠と溶岩石群が、その周りを囲むようにして樹海が広がっています。

三原山の主なトレッキングコース6つ(下記地図参照)のうち、「お鉢巡り」「月と砂漠ライン(駐車場より先)」以外のすべてのコースで、樹海の中を歩くことが出来ます。

梅雨の晴れ間に、ぜひお越しください。

【大島へのアクセス・島内交通・そのほか観光情報】

伊豆大島の楽しみ方発見サイト『伊豆大島ナビ』 https://oshima-navi.com/

ページ先頭へ↑

2019年06月01日山頂に広がる絶景!神津島 天上山 (伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

皆さま、はじめまして。

4月1日より、富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島管理官事務所のアクティブ・レンジャーに着任しました、竹下です。どうぞよろしくお願いします。

今回は、5月上旬に巡視を行った、神津島天上山についてお伝えします。

天上山は、神津島の中央にそびえる標高574mの「白い山」です。山頂部には、総面積80haほどの火口原が広っています。

山頂部は広いため、すべてのポイントを見て回ると、約6時間~7時間のトレッキングとなります。

登山口は、白島側登山口、黒島側登山口の二つあり、どちらも神津島港から車で約10分、徒歩約40分でアクセスできます。

それでは、天上山の風景を紹介していきます。

今回は、白島側登山口から出発しました。まずは森の中の登山道を、新緑を楽しみながら進みます。しかし程なくすると、樹木の背丈が低くなりはじめ、徐々に、高山帯のガレ場のような風景になっていきます。岩の隙間に咲くヒメハギの花に励まされて斜面を登りきると、目の前に広がるのは「不入ガ沢(はいらないがさわ)」です。

       岩の隙間に咲くヒメハギ。花のつくりが個性的です。

昔々、伊豆諸島の神々がこの窪地へ集まり、「水分け」の相談を行ったと言われています。

相談の場に一番乗りで到着した御蔵島の神様は、最も多くの水を得ることが出来ました。しかし、寝過ごして遅刻した利島の神様は、残っていたほんの少しの水しか得られませんでした。怒った利島の神様は、水の中で暴れ回り、その時にたくさんの水が飛び散ったおかげで、神津島ではあちこちで湧き水が出るようになったそうな...。

神聖な窪地であることから、入ってはならない沢、「不入沢(はいらないがさわ)」という名前が付けられたようです。

【詳細はこちら】

○「伊豆諸島を知る事典」樋口秀司 東京堂出版(2010)

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/sightseeing/mizukubarimonument 

不入沢を左手にして山頂部の縁をまわり、山頂中央部へ入っていくと、なだらかな火口原が始まります。

火口原にはいくつもの大きな火口跡があり、現在は人の背丈ほどの樹林の育つ、「緑の窪地」となっています。窪地を横断するように登山道が延びており、オオシマツツジやシャリンバイなどの花を眺めながら、樹林の中を歩くことが出来ます。

山頂部東側と中央部には、「白い砂漠(表砂漠・裏砂漠)」が広がっています。オオシマツツジを中心とした「緑の島」が点在する様子は、ここでしか見られない独特の風景です。

火山の噴火後、最初に育ち始めたのがオオシマツツジでした。そこに他の植物の種が飛んできて根付き、強風に耐えながら育った結果、半球系の緑の島ができあがりました。

砂漠を抜け、背の高い樹林帯を進んでいくと、「千代池」が現れます。

火口跡に雨水が溜まってできた、天上山最大の池です。渇水時には干上がってしまいますが、千代池周辺には霧のかかることが多く、そのおかげで湿気が保たれ、湿地の植物が命をつないでいます。

千代池から下ること約1時間、黒島側登山口に到着です。

天上山では、5~6月中旬にかけてオオシマツツジ、6月中旬~7月にかけてハコネコメツツジ、7月中旬から下旬にかけてはサクユリが見頃となります。皆さんもぜひ、天上山に遊びに行ってみてください。

【天上山トレッキング情報・マップ】

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/recommend/mounttenjocourse

ページ先頭へ↑

2019年02月18日H30年度アクティブ・レンジャー写真展写真展@大島

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

213日(水)から314日(木)まで伊豆大島にて「アクティブ・レンジャー写真展 -国立公園・野生生物フォトコレクション-」を開催中です。

本写真展は、関東地方の国立公園および国指定鳥獣保護区の管理に携わるアクティブ・レンジャーが現地で撮影した写真を紹介するものです。

会場はこちら、伊豆大島火山博物館です。

中心地である元町から、都道を沿って徒歩15分程。

目の前にバス停「火山博物前」があるので、路線バスでのアクセスも簡単です。

(年中無休、開館9:0017:00

正面玄関入ってすぐの1Fエントランスロビーに設営されております。

(本写真展は無料で観覧できますが、その奥の火山博物館の展示へは入場料がかかりますのでご留意ください。)

展示総数は28枚。パネルの裏側まで続いているので、ぐるりと回ってご覧ください。

二箇所開催で関東地方を巡回していた本写真展も今年度は伊豆諸島でおしまいのため、このラインナップが見られるのはこれで最後です!

(※期間中、那須でも同時開催されています)

大島が所属する伊豆諸島地域からはこちらの2枚を展示しております。

左の写真に写る「地層大切断面」は展示会場から路線バスで6駅ですので、展示を見て興味を持った方は是非足を運んでみてください。

展示期間中は伊豆大島椿まつりも開催中です。

冬の島旅、してみませんか?

皆さんのお越しをお待ちしております。

<参考>

火山博物館について(大島町公式HP):

https://www.town.oshima.tokyo.jp/soshiki/kankou/kazan-hakubutsukan.html

椿まつりについて(東海汽船公式HP):

https://www.tokaikisen.co.jp/tsubaki_festival/

ページ先頭へ↑

2019年02月06日【活動報告】子どもパークレンジャー@神津島

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

120日、神津島にて子どもパークレンジャーイベント「黒曜石をお菓子で学ぼう。」が開催されました。

「子どもパークレンジャー」とは、自然保護の大切さや自然との付き合い方など豊かな人間性を育むことを目的として、環境省レンジャーと一緒に自然観察や自然解説による自然環境学習などを小・中学生に体験してもらうプログラムです。

詳しくはこちら>>> https://www.env.go.jp/kids/gokan/jpr/about/index.html

今回のテーマは、「黒曜石(こくようせき)」。

神津島は、日本有数の黒曜石の産地です。

火山岩の一種である黒曜石は半透明な黒色で、割れ口がガラスのように鋭いため矢じりなどの石器の材料にされていました。

神津島産の黒曜石が旧石器時代(約38000年前)に静岡県へ流入していることが確認されており、これは世界最古級だと言われています。

神津島・砂糠山(さぬかやま)の黒曜石の層

島の宝のひとつである黒曜石について学ぶ前に、まずは環境省下田管理官事務所の中田レンジャーが、国立公園についてお話ししました。

「国が遊具を建てた公園のことじゃなかったんだね」との声もありました。

国立公園とは「日本の代表とも言える傑出した自然の風景地」であり、自分たちの住む神津島がそれにふさわしいと認められた場所だということ、気付いてもらえたのではないでしょうか。

みんなで地図を広げて、日本の国立公園の場所と数を確認します。

次の講師はジオガシ旅行団(https://www.geogashi.com/)の鈴木美智子先生です。

当団体はお菓子を通じて大地(ジオ)に親しむ機会を提供する社会活動を行っており、その一環として「風景を切り取ってお菓子にする」ことでその地形が持つストーリーを楽しく学ぶ「ジオガシキッチン教室」を全国各地で開催しております。

今回イベントでは、黒曜石について出前教室をしていただきました。

座学で黒曜石について学んだ後、黒曜石そっくりのキャンディーを作りながら内容をおさらいします。

飴は黒曜石の性質によく似ていて、再現するのにうってつけだそうです。

まずはフライパンで砂糖をじっくり熱し、ドロドロに溶けたら竹炭の粉末を混ぜて黒い色を付けます。

ムラのないよう、よく混ぜて・・・

型に流し込んで冷やし固めます。

黒曜石は、粘性の高いマグマが高温高圧の状態から急速に冷やされてできたものです。これはマグマが黒曜石に変身している段階なんですね。

冷え固まってできた黒曜石の板を、古代人の気分で叩いて割ってみました。

打製石器作りを再現です。


さあ、ここで問題です。

できあがった黒曜石キャンディは、AとBのどちらでしょうか??

正解は...

A

Bは本物の黒曜石です。)

黒曜石を割った際に断面が同心円の波紋状になる「貝殻状断口」も綺麗に浮かび上がっています。

(写真には上手に写りませんでしたが)刃物のように薄く鋭く割れた部分は透明に透けており、まるで本物の黒曜石です!

味はもちろん甘く美味しく、座学の内容を楽しくおさらいできました。

参加者の皆さんが持ち帰ったたくさんの黒曜石キャンディーは、イベントのエピソードとともに手渡しで島内の子ども達へと広まっているそうです。

また、今回イベントでは、神津島ネイチャークラブの中村親夫さんが神津島の黒曜石についてお話してくれました。

神津島の属島である恩馳島(おんばせじま)で採れる黒曜石はとても質が良く、当記事の冒頭に写真を載せた砂糠山のものよりも斑晶が少なく真っ黒で、鋭利にきらめいた石器が作れるそうです。石器時代には、今で言うダイヤモンドのような価値があったのだとか!

同じ神津島の中でも場所によって質が変わってくるのですね。

※恩馳島は、カンムリウミスズメの重要な繁殖地として国立公園特別保護地区に指定されており、現在は黒曜石を含む土石の採取は禁止されていますのでご注意下さい。※

伊豆諸島地域では、神津島以外の島でも個性ある地形・地質が見られます。

こういった活動を通して、地域の方々と一緒にその魅力を再発見していきたいと思います!

ページ先頭へ↑

2018年11月22日三原山ルートネーミング企画

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

島全体(一部集落を除く)が国立公園の伊豆大島は、2010年から日本ジオパークにも認定されています。「大地の公園」を意味する「ジオパーク」とは、地球を学び、丸ごと楽しむことができる場所のことです。

伊豆大島は若い活火山の島であり、噴火の歴史が形作った大地(ジオ)や、溶岩の上で再生を繰り返す生態系(エコ)、厳しい環境の中で島民が築いてきた文化や歴史(ヒト)の繋がりを体感できます。

そんな伊豆大島の見どころはなんといっても三原山カルデラ内側の山頂エリア!

1500年間の噴火で作られたさまざまな溶岩地形があちこちで見られ、その原始的な景色から国立公園でも最も重要なエリアとして特別保護地区に指定されています。

そんな山頂エリアにおいて、伊豆大島ジオパーク推進委員会による「登山ルートのネーミング企画」が行われました。ネーミング対象は、利用者が多いにも関わらずこれまで決まった呼び名のなかった一本道および周辺の注目ポイントです。

(※公園事業道路としての名称は以前からあります)

216件もの応募から選考された5つの愛称が先月発表されたので、各所の見どころと一緒に紹介します!

1】再生の一本道

ここは、かつての噴火で吹き出した真っ黒い溶岩の大地の上に、数百年をかけて再生した植生が見られるエリアです。この一本道を歩くだけで、草原から森林へと植生回復の過程が辿れます。

これをさらに2つの区間に分けて、以下の愛称が付けられることになりました。


「こもれびトンネル」

三原山火口から離れた、噴火の影響が少ない場所から植生は再生します。

この区間では木々が歩道を覆うようにして育ち、登山者へ優しい木漏れ日を注ぎます。ひんやりと涼しいので、夏季は真昼でもヒグラシがたくさん鳴いています。


「いつか森になる道」

木々の茂るこもれびトンネルから山側へ抜けると、徐々に景色が開け三原山が望めます。

歩道の両側には、ハチジョウススキ(準固有種)やオオバヤシャブシ(準固有種)など、再生の初期段階の植生が見られます。


初期段階とは言え、それぞれの季節で開花も見られます。

写真は、4~5月に咲くシチトウスミレ(固有種)です。スコリア(黒い火山噴出物)の隙間から顔を出していました。

ここに照葉樹の森ができるのと次の噴火が起きるのは、どちらが早いでしょうか。

2】ジオ・ロックガーデン

1986年に起こった割れ目噴火の溶岩流のしぶきが、3m以上も降り積もって固まった奇石のエリアです。

黒い水面がピタリと動きを止めたようで、大迫力ですね。

3】裏砂漠・風の丘

さらに三原山へ近づいていくと、そこにはまだ植生回復が始まっていない一面スコリアの丘が!

植生が再生しているカルデラ床と海が一望できる絶好の望見スポットです。遮るものがないので風に乗って遠くの音まで聞こえてきます。


足元には稀にこんな溶岩も落ちています。

噴火で吹き出たマグマが空中で急激に冷やされるとキラキラしたガラス質になると言いますが、これもそうしてできたものなのでしょうか。碧くきらめいてとても綺麗です。とても綺麗ですが、カルデラの内側は全域が特別保護地区のため、石や植物の採取は一切禁止されています。(自転車を含む車両の乗入れもいけません。)目で楽しんだ後は、どんなに綺麗でも持ち帰らず、その場に置いていきましょう。

いかがでしたでしょうか。

いずれも、その場所の景観が感じられる&爽やかな印象の素敵な愛称ですね!

夏季は山が雲に包まれる「島曇り」と呼ばれる現象が起きやすいですが、冬季は空気が澄んでいて海やその向こうの富士山まで見渡せるので、三原山登山はまだまだ楽しめます。

今回新たにネーミングされたルートの他にも、山頂へ向かう道はいくつかあります。

観光協会やジオガイドさんに相談して、お好みのルートを見つけてみてください。

<参考>

伊豆大島ジオパーク公式サイト:http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

ページ先頭へ↑

2018年08月15日伊豆諸島の紫陽花リレー:ラセイタタマアジサイ<伊豆諸島地域>

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

梅雨が明けて猛暑の到来、夏休み真っ只中ですね。

しかし、「梅雨の花」として知られるアジサイが夏季も見られるってご存じでしたか?

伊豆諸島には、主に2種類のアジサイが自生しています。

  •  ○ ガクアジサイ

  •  ○ ラセイタタマアジサイ

ガクアジサイは入梅時(6-7月)に花を咲かせますが、ガクアジサイが花期を終えた頃ラセイタタマアジサイの出番がやってきます。まさに今からが見頃です!

ガクアジサイとラセイタタマアジサイは共に伊豆諸島の準固有種で、伊豆諸島地域の全ての有人島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島)で見られます。

伊豆諸島ではこの2種のアジサイがセットで分布することが多く、沢筋の不安定な立地等に群落を作ります。林の縁にもよく自生しているので、山側の車道を通れば簡単に見つかります。

※ガクアジサイについては、昨年度の花期に記事にしたので詳しくは以下をご覧下さい

https://kanto.env.go.jp/blog/2017/06/post-380.html

では今回紹介するラセイタタマアジサイとはどんなアジサイでしょうか?

一言で言うと、とにかく大きい!!

これは、ラセイタタマアジサイ(左)とガクアジサイ(中央)と一般的なアジサイ(右)の葉っぱを比較してみたものです。

ガクアジサイも普通のアジサイより大型ですが、ラセイタタマアジサイはそれをさらに上回るこのサイズ!

2mほどの低木がこのサイズの葉を付けるとなると、その存在感は圧巻です。

その様子から、大島では「サワフサギ(沢塞木)」なんて別名があります。

2018/8/7 大島・間伏林道にて撮影)

なるほど、びっしり沢を塞いでいますね!

分かりにくいかもしれませんが、中央の赤いラインが沢の流れです。

若い火山島である大島は、土壌に多く火山灰が含まれているため大変水はけがよく、川や池はほとんどありません。雨が降ったときしか沢に水は流れませんが、紫陽花とは根っこの強い植物なのでその流れにも耐えられるのでしょう。

ラセイタタマアジサイの「タマ」は、その蕾が球形であることから由来すると言われています。

直径3-4cmほどのまんまるの蕾です。

一般的な花をイメージすると、何枚かの苞葉が花を一包みにしているのかと思ってしまいますが、なんとこのラセイタタマアジサイ、それぞれの苞葉の間に蕾を持っているようです。

外側から内側へ、苞葉⇒蕾⇒苞葉⇒蕾...と交互にサンドイッチされているような構造なのですね。


全ての蕾が開ききっても、ラセイタタマアジサイの花は葉っぱに足して小振りなものです。

ガクアジサイほど色味のバラエティもなく、白~淡紫色と控えめで質素な咲き姿がまさに「日本の花」といった様子です。

ちなみに、花に見える部分は「装飾花」と呼ばれる萼片(がくへん)であり、おしべやめしべは持っていません。種を作るのは、中央にある本物の花たちです。

ガクアジサイ-ラセイタタマアジサイ群集は、伊豆諸島固有の風景です。

ここでしか見られない野生植物を、ぜひ観察しに来てください。

ページ先頭へ↑

2018年05月23日第3回 カンムリウミスズメ観察会@神津島

富士箱根伊豆国立公園 椋本 真里奈

「カンムリウミスズメ」は全長24cm程の小柄な海鳥で、ウミスズメ科の中では絶滅が最も危ぶまれている種です。

個体数については不明な点が多いですが、世界に約3,500-10,000羽と推測されており(1)IUCNレッドリスト(絶滅危惧Ⅱ類)、(2)環境省レッドリスト(絶滅危惧Ⅱ類)、(3)国指定天然記念物に指定されています。

伊豆諸島はカンムリウミスズメの南限の繁殖地として、およそ1,000-2,000羽が営巣していると言われています。

繁殖期(2月中旬~5月初旬)に先駆けて、12月頃から営巣地へ飛来します。

伊豆諸島地域において国指定鳥獣保護区に指定されていれる3つの無人島((ただ)(なえ)島、大野原島、鳥島)は、いずれもカンムリウミスズメにとって重要な繁殖地および利用域です。

(神津島天上山から見た祇苗島)

その内祇苗島近海において、513日(日)に開催されたカンムリウミスズメ観察会(開催:NPO法人 神津島盛り上げ隊)に、伊豆諸島ARの椋本も同行させていただきました。

参加対象は小学生以上の神津島島民。

20名を乗せた船舶は8:00頃三浦漁港を出発し、祇苗島方面へと向かいました。


「いた!」「かんむりんだ!」

うねる波の間からカンムリウミスズメが飛び立ち、参加者から歓声が上がりました。

「かんむりん」とは、カンムリウミスズメをモチーフにした神津島観光協会のゆるキャラです。初めて見る本物のかんむりんに、地域住民の皆さんもカンムリウミスズメをより身近なものに感じたようでした。

小柄な上にモノトーンカラーのカンムリウミスズメを大海原で見つけ出すのは想像以上の難易度です。

大人も子どもも立ち上がって、夢中でカンムリウミスズメを探していました。

祇苗島東側の潮目付近に差し掛かると、船の両側で続々とカンムリウミスズメが現れました。

潮目とは異なる2つの潮流がぶつかり合う場所で、水の衝突によって海底のプランクトンが巻き上げられ停留する為、それらを餌とする魚類が集まる良い漁場とされています。その魚を狙って、カンムリウミスズメも潮目によく集まるようです。

カンムリウミスズメは、繁殖期以外のほとんどの時間を海上で過ごす泳ぎのプロです。潮目で獲物を捕らえるために潜水する姿も見られました。

2時間の航海で観察できたカンムリウミスズメは計12羽。三度開催された観察会の内最多だそうです。

こちらは祇苗島の岸壁です。

ご覧の通り激しく切り立っていますが、岩礁の割れ目や穴などに巣を作るカンムリウミスズメにとっては適した地形なのです。

船を寄せてみると岩壁から鳴き声は聞こえるものの、どこに巣があるのか目視では確認できませんでした。(もしかしたらこの写真にもカンムリウミスズメが写り込んでいるかも?)

このように地形の面で営巣に適した伊豆諸島ですが、環境の悪化により営巣規模が縮小しており、航路での観察頻度が減少していることも報告されているそうです。

1940年代に食用として採卵され、50年代以降は近海で流し刺し網にかかりたくさんの成体が死亡しました。

現在、伊豆諸島で最も深刻な影響と疑われているのは、「釣人が放置するゴミやまき餌に、カンムリウミスズメの捕食者であるカラス類が誘引されること」です。

正確な個体数や減少理由など、カンムリウミスズメにはまだまだ不明確なことが多々ありますが、神津島盛り上げ隊はこの観察会を今後も継続していくとのこと!

固有の自然環境に地域住民が関心を持ち見つめ続けていくことは、環境保全においてとても大切なことですね!

ページ先頭へ↑

2018年01月24日伊豆諸島とツバキ

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

伊豆諸島地域、2018年最初のAR日記です。

みなさま、本年もよろしくお願いいたします。

年も明け、伊豆諸島から最初に紹介しなければならないのは、なんといってもツバキです!

伊豆諸島地域では年間を通してさまざまな植物が見られますが、その中でもツバキは特に島の人々の暮らしに深く結びついてきた重要な花樹です。花を愛で、実から油を絞り、幹は燃料や工芸品に利用されてきました。

現在でもツバキは集落のいたるところに防風林として植えられています。

(大島 岡田地区の防風林)

8世紀ごろの日本ではツバキへの信仰があり、室町時代には園芸としてツバキの栽培が始まりました。

現在ツバキは鑑賞樹として海外でも広く注目され、品種改良によって無数の園芸品種が存在しますが、伊豆諸島にもともと自生するツバキは、それら園芸品種の掛け合わせのもとになった「ヤブツバキ」のみです。

一口にヤブツバキと言ってもその花色や花形はさまざまで、例えば三宅島ではたくさんの白色や桃色の花が見つかっています。野生のツバキは通常花びらが5-6枚ですが、大島では大輪や八重化したものも確認されています。また、花だけでなく枝葉の形や模様(斑入りか否か)も変異するそうです。

ツバキはもともと香りの少ない花ですが、伊豆諸島の野生ツバキは日本各地と比べて香りのあるものが多いのが特徴です。

香り成分の科学的分析によって明らかにされたヤブツバキの香り構成は以下の円グラフの通りです。

「爽やかですっとした、甘く漂う香り」と表現されています。

(参考:椿資料館

伊豆諸島のツバキといえば大島が有名ですが、利島ではツバキが土地の8割を覆っており、その総数は約20万本とも言われています。

江戸時代、真水が湧かず平地も少ない利島では、年貢として米の代わりに椿油を納めていました。

利島は土壌が肥沃なため樹木の生育に適しており、他の島に比べて実が大きく育ちます。

そこから絞り出す椿油はオレイン酸含有量が約85%(オリーブオイルで約75%)という高品質で、江戸時代から現在まで絶えず続いてきた椿油の生産量は全国でも1,2を争います。

(利島のヤブツバキ)

大島は、日本で1番早くにヤブツバキの開花を迎える場所です。

その温暖な気候から、夏の涼しさで花芽が促進され秋の暖かさで開花が早まるためだと言われています。

極早咲きは9月末から、遅咲きのものは5月中旬まで開花しているため、1年の大半ツバキを見ることができます。

見頃は本州より1ヶ月以上も早く、2月頃...そう、まさにこれからの季節です!1

さらに、大島ではすでに寒咲大島(オオシマザクラの花期の早い品種)がちらほら開花しています。

2018年初最初の旅行は、伊豆諸島でお花見を楽しむのはいかがでしょうか。

1/28(日)からは第63回 伊豆大島椿まつりも始まりますよ。

ページ先頭へ↑

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。

ページ先頭へ