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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

奥多摩町マナーアップ強化キャンペーン

2025年08月20日
奥多摩 山村源
大菩薩峠は上り三里、下り三里、領分は甲斐国に属して居りますれど、事実は武蔵と甲斐との分水嶺になります。
ずっと昔、貴き聖が此の峠の頂きに立って、東に落つる水も清かれ、西に落つる水も清かれと祈って、菩薩の像を埋めて置いた、それから東に落つる水は多摩川となり、西に流るるは笛吹川となり、いずれも流れの末永く人を養い田を実らすと申し伝えられてあります。

 
秩父多摩甲斐国立公園内を舞台とした文学作品の中でも特に有名なもののひとつ、『大菩薩峠』冒頭の一節です。
笠取山に水源を発し、大菩薩峠東側などからの支流を交えて東京湾まで流れる多摩川は、古くから流域の人々の暮らしを支えてきました。
今回は、そんな多摩川の環境保全に関する活動に参加した時の様子をお伝えします。
 
 
令和7年8月15日(金)及び16日(土)、奥多摩町マナーアップ強化キャンペーンに参加しました。
奥多摩駅近くの氷川渓谷では、駅から徒歩でアクセスできる利便性の良さもあり、夏休みの時期には涼を求めて河原で過ごす方が多く訪れます。
一方で、水難事故やゴミの不法投棄をはじめ、騒音や直火による河川損傷などの問題も発生しているため、奥多摩町役場が中心となり、奥多摩自然保護官事務所・奥多摩観光協会や地域の関係団体等と連携して、マナー啓発の声掛けやゴミ拾い等を行っています。
 
(河原で過ごす方々)
(回収したゴミの一部)
多くの方はマナーを守って河原でのひと時を楽しんでいましたが、禁止されている場所でテントを張る人や、直火でバーベキューをする人、大型のスピーカーを持ち込んで大音量で音楽を流す人なども散見されたため、そうした行為は発見次第声掛けを行いました。
 
また、巡回していると「ゴミをどうすればいいのか?」という質問を何度か受けましたが、無料で利用できる河原等ではゴミは持ち帰ることが原則です。
 
河川を利用する方へ、お願いです。
バーベキューなどを行う際は、食材を事前に下ごしらえしてゴミがあまり出ないようにする、包装や持ち運び方を工夫するなど、ゴミの持ち帰りを前提に計画してください。
特に、最近は奥多摩町でもクマが民家の近くまで出没しています。ゴミの放置に加えて、匂いのする液体を地面に撒くなどの行為は野生動物の誘因に繋がります。絶対に行わないでください。


奥多摩町ではホームページ等で観光利用のルールを発信しています。

観光客皆様へのお願い/奥多摩町
河川等へのごみの投棄について/奥多摩町

ルールを逸脱した利用が横行すると、現在と同じような利用ができなくなる可能性があります。
この場所に限らず、河原での水遊び・キャンプ・バーベキューなどを計画されている方は、事前に地元自治体や観光協会等でルールや注意事項を確認して利用してください。
 
いつまでも豊かな自然を楽しむことができるよう、ご協力をお願いします。


参考文献
中里介山『大菩薩峠 都新聞版』第1巻,論創社(2014)