関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

この時期だけ!黒い砂漠に踊る金の穂

2024年07月12日
伊豆諸島 小野可蓮
こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
ここ数週間で、一気に色々な虫(チョウ、セミ、ナナフシ、カマキリなど)が見られるようになり、夏を感じさせてくれていますね。
中でもアサギマダラは特に「!!(びびっと)」心が跳ねます。
初夏の大島の様子をご紹介します。
 
代替テキスト
△ ホタルガ 日中に活動している 
林道に入り、さっそく出迎えてくれたのは、ホタルガ。
黒い体に、赤い頭と白い筋が特徴です。
昼間に活動しており、低めの位置をひらひらと飛んでいる様子を観察できます。
幼虫は黒と黄色で、親とは全然見た目が違います。
大島にも沢山自生しているヒサカキを主食としているようです。
成虫は何を食べているのでしょう(もしくは一部のガ同様に何も食べないのですかね?)?

初夏に見られる金の穂

さて、金の穂といえば、ススキの印象の方が強いかもしれません(ビールを飲む方は小麦?笑)。
ただ実は、初夏にしか見られない、別の植物もあるのです。
その名も「シマノガリヤス」。キリシマノガリヤスの伊豆諸島型だそう。
代替テキスト
△ シマノガリヤス
一本だと、ぱっとしないかもしれません。
これが集まると?あら不思議!
「踊る金の穂」に大変身。
代替テキスト
△ 群落は離れたところからでも目立つ
代替テキスト
△ 踊る金の穂
金の穂が風に吹かれて踊るように動く様子。
写真では伝えきれませんが、なめらかに、そしてかろやかになびくのです。
とても心惹かれる瞬間。ぜひ実物を見ていただきたいですね。
 
ススキとは違って、三原山や裏砂漠のどこでも見られる訳ではありません。
あくまでも、裸地ではススキやイタドリが優勢で、そのような先駆植物の群落にシマノガリヤスがあるかないかです。
穂ではありませんが、シマヤマブキショウマもまだ少し咲いていました。
こちらは6月に満開を迎えます。
ヤマブキショウマの伊豆諸島型で、キョンの食害を受けている植物のうちの一つでもあります。
代替テキスト
△ シマヤマブキショウマ
代替テキスト
△ 風で揺れるため中々ピントが合いませんでした

櫛形山からの景色

シマノガリヤスやシマヤマブキショウマは、三原山というよりは、三原山のカルデラや櫛形山の方で多く見られます。
三原山を登るのももちろん良いですが、少し離れたところから見る三原山も、また良いです。
角度によって様々な顔が見られるのも山の楽しさですね。
斜面が大分緑に覆われてきているのが分かります。
このような植生遷移が少し進んできた環境は、サクユリの生育にも適しています。
代替テキスト
△ 櫛形山から見た、三原山とカルデラ
代替テキスト
△ サクユリのつぼみも膨らんできていたので、シマノガリヤスをバックにぱしゃり
代替テキスト
△ 三原山カルデラ内のシマノガリヤス 後方には白石山
ホオジロも歌っていました。
大島は開けた環境が多いからか、やたらと密度が高いです。
鳴き声と顔の白と黒のコントラストで、オスは遠くからでもすぐ分かります。
いつも思うのですが、やはり島の鳥のさえずりは、本土とは少し違う気がします。
代替テキスト
△ ホオジロのオス ここにも!手前にシマノガリヤス
代替テキスト
△ 拡大してみると、顔の模様がよく見えますね

黒に映える様々な色

空、緑、黒い風景、に映える、踊る金の穂。
個人的に感じる、初夏の風物詩のうちの一つでもあります。
代替テキスト
△ 大きめなシマノガリヤスの群落 風に揺られて動く姿は幻想的です
代替テキスト
△ 空、黒い大地、踊る金の穂
大島の三原山は火山として見所が満載ですが、そんな環境で旺盛に生える植物にも目を向けてみると、世界が広がり楽しみも増えます。
伊豆諸島の自然には、日々自分を育ててもらっているなと感じています。
これからも、心を豊かにしてくれる伊豆諸島のあれこれを紹介していきますので、お付き合いいただけたら幸いです。