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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

島民と一緒に道作り!母島・新夕日ヶ丘の歩道整備

2025年02月20日
小笠原 河村雅史
1月に、新夕日ヶ丘自然再生区の歩道整備のため、母島へ行ってきました。 新夕日ヶ丘の散策路整備は、この場所の魅力を高め、より多くの人に訪れてもらうことを目的としています。平成30年度から毎年続けて実施しており、今年度も合同会社北海道山岳整備の皆様を技術者として招き、作業を行いました。

道作りワークショップ

初日は、島の住民も参加できる「近自然工法」による道作りワークショップを開催しました。 まず、参加者全員で散策路を歩き、新夕日ヶ丘自然再生区が作られた背景や、前年のワークショップで作った道が1年経った様子を確認しました。
新夕日ヶ丘は、かつて絶滅が疑われていた時にオガサワラシジミが再確認された場所で、幼虫の食樹となるオオバシマムラサキや コブガシなどの植物を植えてきました。そしてこのチョウをはじめとした固有昆虫類を守るために、外来種のグリーンアノールの侵入を防ぐ囲い込み柵を設置しています。近年、 オガサワラシジミはまた姿を消してしまいましたが、自然再生事業の普及啓発の場として新夕日ヶ丘自然再生区は今後も活用していく予定です。そのような新夕日ヶ丘の設置の背景などを説明しました。
オオバシマムラサキ
コブガシ
作業場所に着いてからは、現状を確認し、古くなって朽ちかけた木材を石組みに取り替える作業を行い、長期間崩れにくい歩道を作る将来の姿を共有し、作業を行いました。大きな石を使うと自重で動きにくくなりますが、置いたり、向きを変えたりするのに動かすのは大変で、汗をかきながら作業に熱中しました。
作業前にイメージ共有
石を使った路肩整備の作業の様子
作業後に歩いて確認

歩道整備

ワークショップの翌日からは、残りの気になっている箇所の整備を進めました。
主な作業は、散策路の路肩で使っていた丸太を、より耐久性のある石組みに取り替えることでした。私も2年目になり前よりも考え方が分かるようになりました。
柵外の石段の路肩を整備
柵内の作業箇所

近自然工法の道・1年後の様子

2024年1月に整備した場所が1年経ってどのように変化したのかも見てきました。直後から自然に馴染んでいるように思いましたが、1年経過してさらにその場所に調和しているように見えます。
岩で路肩面を作った箇所
丸太と石で路肩を留めた箇所

おわりに

新夕日ヶ丘では、生き物の観察や夕日の鑑賞、冬にはクジラの観察も楽しめます。ぜひ一度足を運んでみてください!
散策路案内図と子どもたちの手作り看板
新夕日ヶ丘から眺める夕日