世界自然遺産・小笠原の玄関口：小笠原世界遺産センターに寄せられる質問集

2025年05月16日

小笠原河村雅史

小笠原自然保護官事務所の河村です。

小笠原自然保護官事務所が入っている「小笠原世界遺産センター」は、展示施設、事務所、そしてマイマイやオガサワラハンミョウの保護増殖施設など、さまざまな機能を持つ複合施設です。展示ルームでは、小笠原の世界自然遺産としての価値や、保全の取り組み、直面している課題などを紹介しています。

東京都心から船で24時間、南へ約1000kmの小笠原には、本州とはまったく異なる独自の生態系が広がっています。一旦、小笠原の自然に足を踏み入れると、「この生きもの、なんて名前だろう？」「どこに行けば見られるのかな？」と、さまざまな発見や疑問が湧いてくるかもしれません。

今回は、小笠原世界遺産センターの受付でよくいただく質問を、一問一答でご紹介します。自然観察のおともに、ぜひご活用ください。

〈生き物編〉

Q：父島でカタマイマイは見られますか？
A：父島では限られた場所にしか生息しておらず、野生のカタマイマイ属を見ることは難しいです。南島に行くと、野生復帰をしたアナカタマイマイ、チチジマカタマイマイを、運が良ければ見られるかもしれません。小笠原遺産センターでは現在、保護増殖室で飼育しているカタマイマイ、アナカタマイマイ、チチジマカタマイマイの３種を展示しています。

Q：父島島内で見つけた、これは何マイマイですか？
A：ウスカワマイマイ、ミヤコマイマイ、オキナワベッコウマイマイなどの可能性があります。いずれも外来種です。

Q：アカガシラカラスバトはどこで見られますか？
A：山の中だけでなく、大神山公園周辺、ヒメツバキの谷など街中でも見られることがあります。

Q：昼間にコウモリは見られますか？
A：基本的には夜行性ですが、夕方や明け方には、飛んでいる姿が見られることがあります。

Q：アホウドリは見られますか？
A：アホウドリは珍しいですがおがさわら丸からの目撃例もあります。繁殖期（10月～6月）の聟島付近で見られることがあります。クロアシアホウドリは、父島～母島周辺でも目撃例が多くあります。

Qおがさわら丸から沢山見られた鳥はアホウドリか？
A おそらくカツオドリ、またはオナガミズナギドリなどだと思われます。

Q：オガサワラヤモリは固有種ですか？
A：名前に「オガサワラ」とついていますが、実は外来種です。

Q：アノールトラップにオガサワラトカゲはかかりませんか？
A：オガサワラトカゲは地上性のため、樹上設置のトラップにかかる可能性は低いです。

Q：父島にいたネズミは何ネズミですか？
A：クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミが確認されています。

〈生物の捕獲について〉

Q：虫や魚を採ってもいいですか？
A：一部の地域、種類については、法律で捕獲が禁止されている場合があります。それ以外の場合でも、小笠原を訪れる利用者のみなさまには、「小笠原カントリーコード」にて、「動植物は採らない、持ち込まない、持ち帰らない」ことをお願いしています。

〈小笠原遺産センターの展示・設備〉

Q：Wi-Fiはありますか？
A：登録をして頂くと、国立公園Wi-Fiをご利用いただけます。無料です。

Q：シマカコソウはどうしてそこに生えているの？
A：2020年に開催した植物展の開催時期に、シマカコソウの鉢植えを玄関先で展示をしていました。その時に落ちたとみられる種から生え始めて、親株は一度無くなりましたが、その後再び生えてきて、今に至ります。

Q：世界自然遺産紹介パネルに写っているのはどこですか？
A：南島の鮫池と陰陽池です。扇池は写っていません。

〈周辺案内〉

Q：おすすめの近場スポットは？
A：大神山公園がおすすめです。海辺の景色も良く、山側ではさまざまな固有植物を手軽に見ることができます。

Q：母島はおすすめですか？
A：ぜひ訪れてみてください。乳房山や南崎のハイキングコースは絶景が楽しめます。固有のマイマイにも出会えるかもしれません。

〈おわりに〉

小笠原世界遺産センターの受付はこちらです。

「日本の国立公園乃印」企画の台紙とスタンプが2027年３月末まで設置されています。全国35箇所の国立公園および新宿御苑にスタンプが設置してあり、国立公園めぐりの記録や思い出づくりにご活用いただけます。
また、小笠原世界遺産センター独自の取り組みとして、「マイマイみくじ」もあわせてお楽しみいただけます。

世界自然遺産・小笠原について、もっと知りたいことがあれば、ぜひ小笠原世界遺産センターまでお越しください。

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]