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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

風情漂う「中途半端」な景色 ~ 大島の植生遷移の極み!

2025年05月22日
伊豆諸島 小野可蓮
こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
5月にもなると、色々な虫たちが出てきていて、うれしかったり、うれしくなかったり。
大島で植物を見始めるまで、虫は全く見ていなかったので(むしろ見ないようにしていた。笑)、発見だらけで楽しい日々です。

5月に見た虫:カラフルなカメムシ

最近はこんな子を見掛けました。
背中の質感(模様?)といい、小さいのに複雑で、わお!でした。
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△ モンキツノカメムシ 黄色や白の紋がある虫にありがちな名前ですね
ツルウメモドキにも、なにかいました。
ぱっと見、黒い背中に白い腹。
が、実は腹は黄色いし、足は三色(付け根が赤、間は白、先は黒)!
よく見ると顔もかわいめです。
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△ ツルウメモドキの上で蜜を吸っているキバラヘリカメムシ
カメムシって、こんなにカラフルだったんですね。
じっくり見ないと気付かないことばかりです。

春のテキサスコースの様子

久しぶりにテキサスコースを歩きました。
温泉ホテルコースや、表砂漠コースも魅力的ですが、それとはまた違った雰囲気と景色が楽しめます。
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△ テキサスコース 開けたところまで歩くと、三原山がどーんと現れます
実は、大島で推しているは、この「中途半端」な景色です。
噴火を繰り返している新しい活火山では、このように裸地から森林までの環境があります。

中でも、裸地、草原、森林のどれでもない、この感じ。
植生遷移が進んでいるからこそ見られる、ユニークな景観なのです。
 
何かがある訳ではないかもしれませんが、中々見られない風景だと思いませんか?
今でも変わり続けているので、このまま森林に発展していくかもしれませんし、噴火が起きたらまた1からのスタートです。
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△ テキサスコースでも植生の遷移が見られます
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△ 草原から森林に変わりゆく様子 草地に低木が生えてきています

オオシマツツジは相も変わらず目立ちたがり屋

まだまだオオシマツツジが満開でした。
この中途半端な景色の中では、めちゃくちゃ目立ちますね。
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△ 三原山とオオシマツツジ
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△ 開けた場所ではより目立ちます
色が目立つことはもちろんですが、ツツジを含む多くの花には「蜜標(ネクターガイド)」と呼ばれる模様があります。
上の花弁などに「点々」があるのをなんとなくご存知でしょうか?
これを使って虫たちを蜜に導いています。
 
花々は、私たちに見える色や模様以外にも、紫外線でしか見えないシグナルを、虫たちに向けて出していることがあります。
蜜標の周辺も、紫外線を吸収するため、更に濃く見えるようです。
虫(送粉者)の視点で花を見てみると、もっと新しい気付きがあるかもしれませんね!
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△ 大島のオオシマツツジ 存在感の強い色合い
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△ 上の花弁に蜜標が 新島、式根島、神津島でも自生しています
遠くからでも、いた!!とすぐ見つけられます。
みなさんも見つけられますか?
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△ ジオロックガーデンの中にぽつり こんなに遠くても一目瞭然です
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△ ジオロックガーデン(左)と奥山砂漠(右) オオシマツツジ、いましたか?

1986年にできた、ジオロックガーデン

右側には「ジオロックガーデン(1986年の割れ目噴火で流れた溶岩)」が1.7kmも続いているそうです。
しぶきがくっついてできた塊や、がらがらと崩れた破片など、様々な形のマグマがあります。
探してみると、おもしろい形の溶岩が見つかるかもしれませんよ。

溶岩流に沿って歩くと、当時どれだけの溶岩が溢れ出たか想像がつきます。
ちなみに、割れ目噴火口は合計9つありましたが、噴火後にそのほとんどが塞がり、今では頂上付近の3つしか見られません。
雨風の影響で、噴火当時と比べて大分低くなった溶岩流ですが、それでも4mくらいはあるかもしれません。
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△ 1986年の割れ目噴火でできた「ジオロックガーデン」
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△ 溶岩流の側面 この分厚さ、伝わりますか? 

大島でもあっと言う間に過ぎゆく春

満開のオオバエゴノキには、虫たちが一生懸命。
花の中に顔を埋(うず)める様子が、幸せそうに見えたのは私だけでしょうか。
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△ ハナムグリの仲間が、名前の通り、花に潜っています 
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△ オオバエゴノキ ほんのり香ります 実(み)はヤマガラの好物だそう
やっと春っぽい季節と思ったら、今度は湿度が上がってきて、なんだか梅雨入りを感じちゃいます。
ずっと春だったら良いのに、と思わなくもないですが、四季があるからそれぞれ楽しめるんですよね。
みなさまも、気候変動で季節に変化を感じていると思いますが、どうかご自愛ください。
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△ アカメガシワの鮮やかな芽
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△ 帰りもキョンに遭遇(道の奥の真ん中) 今年はやたらと遭遇率が高い気がします

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