
アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
祝・トキの本州初放鳥2026 ~舞台裏①~
2026年10月16日
佐渡
皆さん、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の右田です。
2026年、ついにトキの本州放鳥が実現しました!
第1回目の放鳥は5月31日と6月14に石川県羽咋市で、第2回目は10月7日に中能登町で、合計27羽のトキが飛び立ちました。
佐渡自然保護官事務所の右田です。
2026年、ついにトキの本州放鳥が実現しました!
第1回目の放鳥は5月31日と6月14に石川県羽咋市で、第2回目は10月7日に中能登町で、合計27羽のトキが飛び立ちました。
2008年の佐渡での初放鳥から18年。ついに本州の自然にトキが帰るという歴史的な一歩が成し遂げられました。
今回と次回のAR日記では、少し遡って、その記念すべき一歩を踏み出す直前の舞台裏の様子を2回に分けてご紹介します。
今回と次回のAR日記では、少し遡って、その記念すべき一歩を踏み出す直前の舞台裏の様子を2回に分けてご紹介します。
舞台裏その1:GPS発信機の装着
本州でトキを放鳥した場合、初期段階の動きが読めないことや、本州では広く分散する可能性がありトキの追跡が難しいと考えられることから、本州に放鳥されるトキにはモニタリングを補助するためにGPS発信機を装着する方針となりました(初回放鳥から2年間を想定)。
佐渡でも過去に発信機を装着したトキが放鳥されていたことがあります。その当時は、翼にハーネスをかけてリュックを背負うようなかたち(ウイングループハーネス法)で装着されていました。
佐渡でも過去に発信機を装着したトキが放鳥されていたことがあります。その当時は、翼にハーネスをかけてリュックを背負うようなかたち(ウイングループハーネス法)で装着されていました。
しかし、ハーネスタイプは、トキへの負担が比較的大きく、天敵に襲われやすくなるなどのリスクが懸念されたことから、よりトキに負担の小さい発信機と装着方法が検討されました。
そして今回選ばれたのが、ソーラーパネルで充電できる足環型の発信機です。小型で軽量かつ行動への影響も少なく、トキへの負担が小さいと考えられました。
そして今回選ばれたのが、ソーラーパネルで充電できる足環型の発信機です。小型で軽量かつ行動への影響も少なく、トキへの負担が小さいと考えられました。
ただ、これまでトキへの装着例がなかったことから、最終決定までには慎重に様々な検証を重ねました。
①トキの脚の計測
- 発信機(足環)の適切なサイズを決定するため、まずはトキの脚のサイズを調べるところから始めました。獣医師や専門員を中心に飼育されているトキの脚のいろいろな部位を計測しました。
たくさんの個体を計測したので私もお手伝いをしましたが、トキの脚の太さや形状を改めて観察することができました。羽毛から飛びだしたむき出しの脚に触れると暖かい体温が感じられ、なるべく負担の少ない装着をしなければと痛切に思いました。
②装着箇所の検証
- 脚の計測により、足関節の上下どちらにも同じサイズの足環型発信機が装着できることがわかったので、実際に飼育トキのオスとメス、関節の上と下に装着し、適した装着箇所を検証しました。
トキの行動に異常がないこと、ソーラー充電が可能でデータ送信がきちんと行われることなどを確認しました。 - これにより、関節の上に装着することが決定しました。
環境省のHPでは、このGPS発信機によって得られた情報をまとめた「本州におけるトキの生息情報」を公開しています。ぜひご覧ください。
舞台裏その2:石川県や出雲市におけるモニタリング体制構築への協力
GPS発信機により生存状況や分散状況などは把握できますが、やはり実際にトキの観察をしないことには、採餌状況や生息環境はわかりません。また発信機の装着は2年間を目途としているため、その後は壊れたり装着個体が死亡することによっていずれGPSデータは得られなくなります。そのため、GPSで大まかな個体位置情報が得られている間に、目視でモニタリングを行う体制をしっかりと整えておくことが重要です。
とはいえ、取組み自治体の方々はこれまでトキの観察経験がありません。放鳥を前に佐渡を訪れた石川県と出雲市の関係者に我々のモニタリングに同行いただき、佐渡で行っているトキのモニタリングを実際に体験してもらいました。
とはいえ、取組み自治体の方々はこれまでトキの観察経験がありません。放鳥を前に佐渡を訪れた石川県と出雲市の関係者に我々のモニタリングに同行いただき、佐渡で行っているトキのモニタリングを実際に体験してもらいました。
いずれも数日間の滞在でしたが、観察する際のトキとの距離感を体感したり、トキの足環を読み取って個体識別に挑戦したりしてもらいました。皆さん口々に難しいとおっしゃって苦戦されていましたが、この経験を生かして今後トキの見守りをぜひとも頑張っていただければと思います。
〔おまけ〕
モニタリングの際の識別ではナンバーリングの番号を読んだり、カラーリングの色の組み合わせから個体を特定したりしますが、今回、ちょっとでも識別チャンスが増えるように、GPS発信機の蓋にも手書きで番号を記入しました。書体はもちろんナンバーリングに揃え、汚れが付着して判読しづらくならないように上から汚れ防止にレジン加工を施すという徹底ぶり。これは日々モニタリングに汗水流す私たちならではのこだわりです!